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星の瞬きと人の記憶
季節の変わり目に吹く風が独特の匂いを運んでいる
ベランダから眺める寝静まった街は街灯や信号だけが
活動を続けているようで
子供の頃に聞いたおもちゃの唄みたいなそんな雰囲気
が漂っているような気がした
タバコの煙が風に引かれるようになびいていく
街の灯に当てられた夜の空には一際輝く星が
モールス信号ようにきらめき瞬いていた
何億光年何光年、光の速度で途方もない年月を走り続けて
やっと到達するそんな場所
それはその世界の存在さえ疑ってしまいたくなるほどに
果てしない距離だ
空を仰ぐこの瞳に届いた光は終わりの見えない旅を
超えてきた最後の命の輝きなのかもしれない
遥か彼方から遅れて届いたメッセージは
今はない存在との束の間の交信
膨大な時間が生んだ奇跡の邂逅
日が昇り夜が明ければ青くなって消えてしまう
限りあるもの
人が星になるのは変わらず見守る優しさと
別れの切なさを込めた忘れないための記憶の保存
そんな気がした深い夜にじっと見つめていた星が
再びきらめいて揺らめきながら瞬いている
幻想的な美しさに癒されながら
たまに感じる切なさは
そのせいだったりするのだろうか
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