詩　　月

うさぎが餅をつくように見えると
幼い頃に教えられたあの月は

違うどこかではカニの姿に見えるらしい

見上げればどこでも見えて
望む場所で表情をいくつも変えている

見方で様相を変えるのは
どこか地上の僕らにも似ている

今話をしているあなたもきっと
違う場所では知らない顔を見せていて

その身体は一つでも
見えない心が形を変えて
映し出された表情が
また違ったあなたや僕になっていく

頭上の月がその心と重なって
身体の中で小さな月となって現れる

月が綺麗だね、その言葉に愛を感じるのは
ありのままを受け入れて、それを美しいと呼んだ
暖かさと愛情のせいでもあるのかな