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新年の読書メモ:河合隼雄さんの『子どもと悪』

日本の臨床心理学の礎を築いたとも言われる、今は亡きカウンセラーであり思想家、河合隼雄さんの著書、『子どもと悪』を読んだ。

1997年に発行された本で、購入は中古品しかないようだが、図書館は所蔵しているところが多いと思う。

この本で河合隼雄さんは、まず「悪」とは何かという、答えの出ない疑問に考えを巡らす。そして、盗み、暴力、嘘、性、いじめなど、私たちにとって一般的に「悪」とされる主題ごとに章を分け、各主題と子どもの関わりについて、自らの思想を綴っている。
子どもと「悪」との関わり、「悪」を否定することは大切であり必然である一方、「善」ばかり子どもに吸収させようとすることにはリスクが伴うということが、児童文学や河合隼雄さんの実体験に基づいて書かれている。

ここからは、私の個人的な感想になる。

この本を読んで思ったのは「私ももっと悪い子でいても良かったのかもしれない」ということと、「それが思う存分にできなかった私」がいることだった。そのことが、今の私が抱えてる葛藤や問題の根にあるのかもしれない。
今の私が子どもが苦手なのも、私自身が子どもの時に「悪」につながる体験を、必要なサポートを受けつつうまく通り抜けるという体験ができなかった、ということがあるかもしれない。

私がこの本を読んだきっかけは、私自身が子どもが苦手なことだ。
年齢的に子どものいる友人も増えて、子どもが苦手だと居心地が悪いことが多いので、子どもについて何か気づきを得ようと思って、この本を手に取ってみた。

この本自体はもうかなり昔に書かれているが、今も通じるところがある気がする。
次回友人の子どもに会った時、自分の心持ちが少し変わっているかどうか、意識して見てみたい。