夢と現実 2

彼女が僕の前からいなくなっても朝は来た。
まだ僕の中から彼女の存在は消えない。
まぁそんなにすぐ消えると思っていないけど。

昨日はあれから気づけば外が僕を待っていたかのように黒くなっていた。
妙に居心地が良かった。
このまま世界が終わってしまえばいいのに。そう思った。
でもきっと僕はこれからこの苦しみと罪悪感を抱えていかなければならないのだと思う。
それが僕にできる唯一の償いだ。
なんて綺麗事を並べては苦しむ、それの繰り返し。

いつものように顔を洗い、いつものように服を着替えて、いつものように食事をする。
いつもと違うのは、彼女がいないということだけ。
彼女がいないということ以外いつも通り。
なのに。
顔を洗ってもスッキリなんてしないし、服を着たってはっきりしない。
ましてや、食事なんて。喉を通らない。美味しくない。
温かかったご飯もすっかり冷めてしまった。
部屋には台所からポタポタ落ちる雫の音だけが慰めるように鳴り続ける。

こうしているうちにふと気づいた。
付き合っていた時よりも彼女のことを考えている。
僕には彼女が当たり前になっていた。
当たり前じゃなかったのだと気づいたって今更どうにもならないのに。
後悔と自分を責める気持ちと彼女への申し訳なさに押しつぶされそうだ。
いつかの僕が言っていた。
「別れてからその人の大切さに気づくとか馬鹿だよな」
傷んだ。
一番なりたくなかった、なると思ってもいなかった"馬鹿"になっていたことにも気づかなかった。

彼女は、今までありがとう。と。
幸せだったよ。と。
そう僕に告げた。
僕は本当に幸せにしてあげられていたのだろうか。
感謝してもらえるようなことを、与えられていたのだろうか。
僕はいつからか大切なものを見失っていた。

なんとなく、布団に入り横になった。
同じ布団も一人だとこんなに寒いのか。
いつも見てる天井の景色さえも違って見える。
まるで何か黒い塊が落ちてくるように。

そうしてまた、黒い夜が僕を迎えに来る。

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昨日完結させたつもりだったけど続編書いてみました笑

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