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5.起業前にやること【カイケイシタイヨウ第1章起業編】


:前回までのあらすじ:


10年ぶりに再開した高校時代の先輩タイヨウと僕(大谷)。
再開したタイヨウから、円満退社について話を聞いていた。

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(ここからつづき)



「さっき、
少しずつ起業の準備をし始めている
って言っていたけど、
具体的には何をしているの?」

とタイヨウからの質問。
脳みそフル回転で記憶を辿る。

「あ、はい。
えーと、
まずはパソコンがないと仕事にならないな
と思いまして、
仕事用のパソコンは何を使うかとか、
仕事に必要なソフトや、
備品関係をリストアップ
しています。購入はこれからです。
それから近々、
名刺も用意しようと、
仕事で知り合ったデザイナーさんに相談して、
デザインをしてもらっているところです。
先日の交流会で
名刺の作成の必要性を痛感したので。
あの、始めたのはその程度です・・・。」

「おお、素晴らしいね。
そうしたら、
これからお金を支払う機会が増えていく
感じだね。
今言ってくれたものは全て経費にすること
ができるから、
領収書やレシートはしっかり取っておいた
ほうがいいよ。」


「え??
まだ起業していないのにですか?
てっきり自腹だと思っていたので、
起業は金かかるなーなんて
思っていたところでした。」


「うん、
開業前でも開業のために使った経費は、
開業費として確定申告するときに経費に
できるんだ。
開業するために資格を取ったり、
セミナーに行ったりした時の費用も、
開業に関するものだと説明できるのなら
開業費にできるよ。」

「そうなんですか!」


「うん。
まあ、確かにフリーランスになったら、
会社に経費を請求できないから、
自分のお財布からお金が出ていく。
ただ、経費にすることで
その分の税金は減らせるよ。」


「開業費・・・、あ!
そういえば開業費という言葉、
簿記の勉強していた時に聞いた記憶
があります。
そっか、あれか〜。
すっかり忘れてました。
ありがとうございます、
聞いておいてよかった。」

さらにメモメモ。
もうすでに頭がフル回転しているのがわかる。
普段使わない脳みそが回転しているようで、
体温がポカポカ上がっている感じがする。
さらにタイヨウの話は続く。



「あとは、社会保険だね。
具体的には年金と健康保険だけど。」


「社会保険!
なんか源泉徴収票で引かれているやつですね。
見て見ぬふりで、詳しくわからないけど、
めっちゃたくさんの金額が引かれてます。」


「そうそれ。
今までは会社がまとめてやってくれて
いたんだけよ。
今度は、自分でやることになる。
会社員は恵まれていたと感じる瞬間だね。」


「そうかぁ、確かに、
起業したら誰もやってくれませんよね。
会社が天引きして手続きしてくれていた
ことのありがたさを感じますね。
それも自分でやらないといけないのかぁ。」


「そうなんだ。
役所に行けば手続きできる。
ただ、健康保険については、
もし今働いている会社の健康保険組合
を任意継続できるなら、
それを利用することもできるよ。」


「そうなんですか?
ありがとうございます!調べてみます。
今まで「健保だより」みたいな冊子を
もらっていたけど、一回も見ないで、
そのまま捨てていました・・・。
こう言う時のために、ちゃんと
勉強しておけばよかったなぁ。」


「うん、
健保組合に聞いてみるといい。
組合の人も会社員の大半は健保の仕組みを
知らないと思っているから、
意外とやさしく教えてくれるかもしれない。
ちなみに任意継続ができないと国民健康保険
になるよ。
国民健康保険は、一概には言えないけど、
割高な感じがあるかな。」


「ううぅ、
そこまで全然考えていませんでした・・・。
ありがとうございます、確認します。」


もはや、
やることリストを作ったほうがいい
レベルのメモボリュームになってきた。
こんなに知らないことだらけだったとは。
もしタイヨウに会わないで独立していたら
どうなっていたんだろうと、
考えるだけで恐ろしくなる。



「あとは、クレジットカードとか、
もし住宅ローンを組むことを
考えたりしていたら、
会社員の時に作ったり借りたりしておいた
ほうがいいね。
信用が全然ちがうから、
フリーランスになったりするとカードを
作りにくくなるという話や、
お金を借りにくくなったという話を
よく聞くよ。」


「そうなんですか。
そういえばショッピングモールとかで
簡単に短時間でカード作れたりしていたけど、
あれができなくなるんですね・・・。」


「そういう可能性があるということ。
絶対ではないけどね。それから、
事業用に銀行口座もあったほうがい。
事業用とプライベートのものがごちゃ混ぜ
になると、きちんと記帳できなくなるから。」


「確かに、ごもっともですね。
最近銀行口座作るのうるさいですよね。」


「ざっと起業に必要そうなことは
こんな感じかな。
他にもいろいろ細かいことをあげたら
きりがなさそうだけど、
一旦これくらいにしておこうか。」


「はい、ありがとうございます!
クレジットカード、銀行口座。
本当にいろいろ教えてくださり
ありがとうございます。
情報盛りだくさんで、
だいぶお腹いっぱいです!」


「ハハハ、そうだよね。
形式的には「開業届」を出せば
起業ってなるけど、
実際はそこに至るまでの準備だったり、
1人の事業主としてやることは
たくさんある。
とはいえ楽しんでやったらいいと思うよ。
2度とない経験かもしれないから。」


「楽しんで・・・。
今はやること山積みで緊張してきて
ウッとなってますけど確かにそうですね。
せっかくなんで楽しむ気持ちを忘れない
ようにやってみようと思います。」


うんうんとうなずくタイヨウは、
その後少し沈黙のあと、
遠いところをみるように、
おもむろにこう切り出した。



「あとさ、
おれが大谷と話していてちょっと
気になったことがあるんだけど、
聞いてもいいかな?」

「え?あ、はい。なんでしょうか?」

「大谷は独立して、
どんな想いを実現していきたいのかな?」

き、きたーーー、
またもや直球質問!!苦笑

(つづく)

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