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3.開業に必要な2つの書類【カイケイシタイヨウ第1章起業編】

:前回までのあらすじ:


10年ぶりに再開した高校時代の先輩タイヨウと僕(大谷)。
再開したタイヨウから、起業するための書類「開業届」について話を聞いていた。

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(ここからつづき)



「そうなんですね。
あのー、
その「開業届」っていうのは、
いつまでに税務署に持っていけば
いいんですか?」


「うん、
「開業届」は、
開業した日から1か月以内だよ。
ちなみに1か月後がちょうど土日の場合は、
その翌日までだ。」


「そうなんですね、
開業した日とかじゃないんだ!」


「うんそう。
ちなみに、
e-taxというWebサイトから提出できるし、
税務署に直接持って行っても大丈夫。
おれが独立した時はまだよくわからなくて、
税務署に持って行ったなぁ。」

そう言うと、
タイヨウは斜め上のほうを見ながら、
なつかしそうな目をして話した。
その間にすかさず僕はメモをする。



「そうそう、
「青色申告承認申請書」
も忘れずにね。
これは開業後2か月以内に出せば
いいんだけど、
「開業届」
とセットで出してしまったほうがいい。
これを出さないと、
いろんな特典が受けられなくなるからね。」

「え?なんですか、
その特典申し込み用紙みたいな感じ
の書類って?」


「うん、その前に
「青色申告」っていうのはね、
確定申告のやり方の話なんだ。
白色と青色の2種類あってね、
何も申請しなければ白色になる。
そして、
「青色申告承認申請書」
を提出すれば、
青色で確定申告ができるんだ。
青色の場合は、
白色と比べて複式簿記で一定の帳簿を
備えたりと、
白色と比べて少し手間はかかる。
その分メリットも大きい。
なにより最高65万円の特別控除が
受けられるんだ。」


「複式簿記って、
あの簿記検定のやつですか?
なんだか昔、
なんとなく就活で有利になるかなくらいの
気持ちで、
3級くらい取るかと思って合格したので、
ちょっとはわかります。
でもトクベツコウジョ?
なんですか?
65万円ってすごいなっていうのは
わかるんですけど。」

「うん、
あまり聞きなれない言葉だから
わかりにくいよね。
特別控除というのはね、
税金を計算するときの対象となる
所得から差し引ける金額なんだ。」


「所得??
なんか聞いたことはあるけど、
ちゃんと言葉の意味を調べたこと
なかったです。
収入みたいなもんですか?」


「ブブー。おしい!
所得というのはね、
収入から経費を引いた金額だよ。
たとえば、
ホームページを制作して10万円の収入を
もらったとしたら、
そこから交通費などもろもろの経費2万円を
差し引いた8万円が所得になるよ。」


「なるほど。
収入から経費を引いたものが
所得なんですね。」


「そう。
そこからさらに控除金額を差し引いて、
残った金額に税率をかけると、
所得税が計算されるんだよ。」


「そうなんですね。
そうしたら、
その控除の金額が大きい方が、
税金も安くなるってことですね。
ちなみに青色じゃないと控除は
いくらなんですか?」


「その場合は白色申告と言って、
現状は10万円になるよ。
つまり、最大55万円の開きがある。
大きい差だよね。」


「たしかに!
知りませんでした、
それは絶対に青色申告のほうがいいですね。
ただ、
僕みたいな簿記3級程度のシロウトだと、
複式簿記できるか
とても自信ないんですけど・・・。」


「今は、
クラウド会計ソフトなんかで
簡単にできるようになっている。
もちろん、操作の仕方に慣れたり、
多少の勉強は必要だけどね。
早く慣れて、
その後は定期的に作業する日を決める
などして習慣化してしまえば
そんなに大変ではないよ。」

クラウド会計ソフト。
なんか聞いたことあるぞ。

「そうなんですね。
わかりました、もしよかったら、
そのソフトを今度教えてください!」

「もちろん。」



「それと、
「開業届」
とか
「青色なんちゃら申請書」
って、書くの大変なんですか?
はじめてなので自信なくて。
なんだかハードルも高い気がして、
不安なんですが。」


「そうだよね、わかるよ。
おれも最初はそうだった。
でもね、書類は1枚もので簡単だし、
今はネットでググれば山ほど
書き方の情報が出ているから、
それを参考にすれば大丈夫。
会計ソフト会社が入力用のソフトを
無料で提供してくれているものもあるから、
それを利用してもいいと思うよ。」


「タイヨウさんもそうだったんですか。
ちょっと安心しました。
わかりました、ありがとうございます、
やってみます。」

僕はとても頭には入りきらない量の情報を、
必死にノートに記入した。

ノートを持ってきた自分を褒めてやりたい気分だ。

タイヨウはニコニコしながら、
うんうんとうなずき、
コーヒーをうまそうに飲んでいる。
そして、次の質問をしてきた。

(つづく)

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