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4.円満退社のススメ【カイケイシタイヨウ第1章起業編】


:前回までのあらすじ:


10年ぶりに再開した高校時代の先輩タイヨウと僕(大谷)。
再開したタイヨウから、起業するための書類「青色申告」について話を聞いていた。さらに質問はつづく。

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(ここからつづき)



「ところで、
今の会社に退職する話はもうしたの?」

「いえ、まだです。
なかなか言い出せずでして。
そもそもいつから起業するかを、
まだ決めてないんです。
近々とは思って、
少しずつ準備はしているんですけど。」

「そうなんだね。
そうしたらまず、
起業する日を決めることからだね。
決めるとそこに向けていろんなことが
動き出すし、準備も加速するよ。」

「うーむ、確かに。そうですね。」


「それと、
これは個人的な意見だけど、
会社とは極力円満に退社することを
おすすめするよ。
もし引き継ぎに時間がかかる仕事を
しているのなら、
それに必要な時間を考えて、
上司ときちんと相談したほうがいい。
今の会社が嫌で辞めるわけでは
ないんでしょ?
もし今の会社がブラック企業だった
りするなら、話は別だけど。」


「はい、そうですね。
仕事に飽きてきたみたいなところは
あるんですけど、人間関係は良好ですし、
お客さんともいい関係は築けている
と思っています。」


「そうしたらなおさらだね。
そこでの人間関係を大切にすることで、
今後に生きるかもしれないから。
たとえば、
何か仕事を回してもらえたりする
可能性もある。」


「なるほど。」


今の会社は人でが足りなくて、
仕事をよく外注業者さんに
依頼するケースがあることを思い出した。


「起業して一番困るのはお客さんを
どう獲得するかだからね。
もちろん、
集客はビジネスをやっていくうえで
とても重要なテーマだから、
これは余計なお世話かもだけど。」


集客!?
営業すら一度もやったことのない僕は、
その言葉に一瞬ドキッとした。
なんとなく毛嫌いの感が。



「人とは、
どこでどうつながるかわからないから。
できる限り、良好な人間関係は
大切にしておいたほうがいい。
実際におれは、
起業して一番最初にいただいた仕事は、
以前お世話になった会社から声をかけて
いただいた案件だったんだよ。」


「なるほどそうだったんですね。
確かにそうですね。
退職後はどうするかとか、
自分のことばかり考えていましたけど、
もし自分が抜けた後の会社の仕事は
どうなるんだろうとか、
あまり考えてませんでした。
正直に言うと、
あとは上司がどうにかしてくれるかなー
くらいにしか思ってなくて。」


「うん、そうだね。
もちろん組織である以上、
人はいずれいなくなるから、
それを想定して、
誰かが辞めても仕事が回るように管理する
のは経営者や管理職の重要な仕事だよね。
ただこういう機会って、
辞める側からすると、
残された人のことを考えたり、
やがて自分が経営者として反対の立場に
なったらどう思うだろうかと考えてみる
いい機会なんじゃないかなと思うんだ。
仕事って、
相手のお困りごとを解決することで
成り立つ面もあるからね。」

うううむ、なかなか深いぞ。
仕事とは何かなんて考えたことなかった。



「独立したら、
会社のブランドは助けてくれない。
少しおどすようなことを言うようだけど、
フリーランスになればいずれ気づく。
そんな時にものをいうのは
個人の信頼なんだよね。
ちょっと説教くさくなってしまったけど、
人の信頼は築ける時に築いておくことを
おすすめするよ」


「ありがとうございます。
本当に心に沁みますね・・・。


よし、まずはいつ起業するかを決めます。
そしてその日まで、
お世話になった会社にできることを
しっかりやって、
引き継ぎもきちんとしていこうと思います。」


「うん、それがいいね。
繰り返しだけど今の話はあくまでオレの
意見だからね。
それから・・・」

タイヨウは、間髪入れずに質問を続けた。

(つづく)

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