帝王学の書「貞観政要」から学ぶ組織運営のヒント ~ ②やわらかい表情の皇帝
現代の組織運営でも役に立つ貞観政要の話です。
貞観政要は7世紀の唐王朝で名君とされる太宗の問答の記録。
現代人にもわかりやすいよう原文にこだわらず、私の勝手な判断で表現を作り替えておりますことご容赦ください。
さて。
太宗はいつも威容が厳粛だったので、意見具申する官僚たちは落ち着いて
話すことができませんでした。
そのことに気がついた太宗は、臣下の諫言(かんげん:いさめること)を聴くときには必ず顔の表情をやわらかくするように努力したそうです。
組織で上位の立場になると、自分を偉く見せるために無理に厳粛さをよそおうとする人が多いですが、太宗のように努力して表情をやわらかくした君主というのはなかなかいません。
日本史の人物では、実際に工夫していたわけではなかったでしょうが、西郷隆盛さんでしょうか。
西郷さんには次のような話があります。
「如何にも愛嬌のある至って人好きの柔和な容貌で優し味があふれて居った」
「一度意を決した時の容貌は丁度それの真反対で、あたかも獅子の如く測り知れぬ程の威厳を備えて居られた。」
日本では厳粛な雰囲気をつくらないと、不真面目だとかバカにしていると言われたりします。
本音を隠すことを美徳とする文化がそうさせるのでしょうか。
心から心服されるタイプの人はいろいろです。
大久保利通のように厳粛な雰囲気が自然と出ている人もあれば、西郷さんのようなタイプもいます。
でも、威厳を見せつけようという意識が働く人は、まあロクな人ではないでしょう。
管理職の皆さん。部下の発言を聴いているときの自分の表情を一度確認してみましょう。
穏やかな表情で、
「君の話を聞きたいんだよ。なるほど君はそういう考えなんだねえ。」
という雰囲気を相手が感じ取れるように作り出せていますか?
おそらく、ご自分のイメージと相手側の感じ方とでは、けっこう違います。
鏡を見ながらご自分の表情を柔らかくする練習をおすすめします。
私もやっていますよ。
ありがとうございます。これからもどうぞよろしくお願いいたします。 <(_ _)>