【エッセイ】腐敗していく死体
朝起きた瞬間に思う、ああ今日も1日が始まるなって。
期待でも落胆でもない。言うならば無力感と言った所だろうか。
働きたい、優しい人に囲まれて過ごしたい、友達が欲しい。
無いものを数えたらキリが無いけれど、それでもやっぱり望んでしまう。
幸いなことに家族は私に寄り添ってはくれている。
理解者もいる。
なんだってできるはずなのに、どうにだってなるはずなのに、なんだか上手く行かない。
いつだって体調不良が邪魔をする。
外に出ると強い不安感と吐き気に襲われて苦しくなる。
上手く立ち振る舞えなくなる。
話せなくなる。
しまいには動けなくなる。
学生のときは“この体調不良は自分の弱さなんだ”って思って周りと同じような日常を送ろうとしたけれど、体調が悪化してどうにも収拾つかなくなっただけだった。
どう足掻いても他の人と同じ日常なんて送れなかった。
だから仕事を辞めた。友達を手放した。そして自信を無くした。
私は今日も狭い自室のベッドで惰眠を貪る。
寝てばかりいる私は死体に向いていると思った。
全ての物事に対する不安と不信感ー。
心の奥で芽生えたそれは胸腔を腐らせていく。
少しづつ進んでいく腐敗。自堕落な生活。死んだように眠る私。
腐っていく死体みたいだ。
人と関われない性質がまた腐敗を加速させる。
今日は久々に外に出た。
曇っているのに眩しさに目を細める。
湿気を含んだどこか夏を思わせる風が頬を撫でる。
深呼吸をして新鮮な空気を肺いっぱいに満たす。
腐った細胞が生き返った気がした。
このエッセイを元に書いたノンフィクション小説です。気が向いたら覗いて行ってくれると嬉しいです。
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