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2023年春 ウズベキスタン・タジキスタン② セントブ村

タシケントを経てブハラに入って数日を過ごした後、ウズベキスタン北東部のローカルエリアへの旅が今回です。舞台はセントブ村。

前回の旅行記は以下からどうぞ。

ブハラからセントブへ (Day3, AM)

この先は日本からメールベースで予約をしていたツアー。なんというか「安心感」のしきい値が下がっていたのが今後の諸々の起源(良くも悪くも、というか、結果上振れのみ)ですが、朝の涼しいブハラの街角からスタート。

朝7時半ごろまで寝て起床。宿主のアブドゥルさんとあいさつをしつつ、8時前に娘さんが学校へ行くのをご家族総出+私で見送りつつゆっくり朝食。8:45、ついに出発の時。ほんま、ブハラのこの宿いいので行く方はぜひ。(ステマっぽっくてすいません。)アブドゥルさん、完璧に英語で楽しくお話しできますし、お母さんは英語苦手ながらカタコトのロシア語で楽しくお話してました。

この先は2泊3日ツアー。ドライバーのお兄さん(お名前聞き忘れたのが悔恨)のお世話になります。「同じ日程で同ルートの人がいれば"I'm willling to share the trip!」などと、シェアツアーをオファーしてたのですが結局はプライベートツアーになってしまったので兄ちゃん2名で3時間半のドライブ。ブハラから北東へヌロタ州の方向へ快適なドライブ

峠を越えて高原地域に入った13時前、暑いブハラから涼しい山間の村、セントブに到着。標高700 mほどの高原にある村で、涼しく乾いた風が吹き抜けるところでした。読書も書き物も捗る。この日は結局、お世話になった宿の方にお世話になりつつ、以前に書いた『ぐるりのこと』を読んだり、ネットがないのをいいことに原稿を書いたり。この日の夕食で頂いたオシュ(中央アジアのピラフ)は今まで頂いた中で最高! コメのアルデンテと出汁の味が完璧でした。あまりに美味かったのでその余韻に浸りつつ、涼しい風の中で眠りに落ちる20時半。自分の特性に100%ハマっている夕べでした。風通しがよく、湿度の低い暗冷所。

間違いなく、今まで頂いた中でベストのオシ。うますぎ。


セントブ村からトレッキング (Day3, AM)

朝の光景。写真では伝わらないかもしれませんが、半端ない清々しさ。

翌朝5時半に朝日で目が覚める。すばらしい目覚め(結局のところ、20:30-5:30の睡眠時間が自分の睡眠リズムに一番合っている)。2日目は山へトレッキング。顔を洗いつつ近所を散歩すると、無数の水路が張り巡らされていることに気づきました。傾斜地に住むうえで水路が命なのは祖父母のスタイルを見ていて身に染みていること。そんな「ウズベキスタン版里山の風景」は、どことなく京都北山の奥や能郷白山麓の温見あたり、あるいは私のoriginなど、奥ながら人の手が入っているの雰囲気を感じました。

朝9時、山へのトレッキングスタート。ガイドとして来られたのは私の親世代(60代)と思しきおじさま、なんとなくうちの親父の面影もあり、ロバに乗って現れる。


--<<この先のトラブルの原因は、結論から先に言えば私の確認不足の致すところですんで、その点あらかじめ認識された上で読んで下さい。>>--

歩いて行く中での素晴らしい里山風景。


「???」
「ん、大丈夫??」

このツアー、山の上の湖、フォジルモン湖へ行くものと思い込んで申し込んでいたツアー。村から結構距離があるのに、開始時間が遅めだったり、ガイドさんがうちの親父と瓜二つだったり。この「ガイド」さんは、よく聞けば宿の隣の家の方ということ。カタコトのロシア語でコミュニケーションをとりつつ沢を詰めていき、美しい森を歩きながら沢の二股地点。


10:30 湖へは右股の沢に行くはずが左股へ。「??」と思いながらも「地元の方しか知らないルートなのだろう」と案内されたのはおじさんのダーチャ(дача: 山の別荘小屋)。

11:00 ダーチャでお昼ご飯を頂きつつ湖の話。手持ちの言語で聞いてみると「それは遠い、4-5時間かかる」。時間的に日没にはまだ間に合う。流石に父親ほどの年齢のおじさん(とロバ)に遠路ついて来てもらうのも申し訳ない。加えて、地図も水も行動食もあり、何よりそれまでの道中、おじさんの足取りから、この山の「道のロジック」(と私が日頃呼んでいるもの)を教えてもらえてたのがデカい。こういった言語にはできない情報は本当に大きい。

湖へソロトレッキングを試みる (Day3, PM)

11:10 「すいません。一人で行きたいです。ここまでありがとうございました。」と私から発言。
さすがに一人、異邦人を山の中でリリースするのは厳しいと思ってもらったのか、おじさんも出発の準備。「いいです、地図(maps.me)も持ってるので、ひとりで行けます。」という制止も聞かず動き出してもらう。その先はmaps.meにない間道を湖への近道を先導してもらう。

11:30  道の二股へ。再度おじさんから「ここからは遠いぞ。」みたいな話を受けるが結局、「すいません、私は一人で行きたいです。」「地図も水も食料もあります。14時には引き返します」と宣言して、湖の方角へ歩き出しました。

12:30  順調に標高を上げつつ高原の手前。それにしても「どこでコミュニケーションの行き違いが起きたのか」自問自答しつつ歩を進める。

13:00 ついに高原へ。遠くにアイダルキョル湖の広い水域が見える。それにしても、高原に出ても牛飼小屋がいくつかあり、ヒツジやウシを追っている人と15分おきぐらいにすれちがうことに驚く。ここでは山の上も放牧地になっていて、いろんな方が自由に行き交っていることに、驚くやら親近感やら。(うちの祖父母の集落では山の平原で牛を飼っている)

13:30 高原を進む。風が気持ちよい。ここらで最終の引き返し時間を20分後と定める。こういう基準は絶対に動かさないほうが良い。

引き返し地点にて。

13:50 タイムアップ。湖の手前1 km付近で引き返す。こういう「時間切れ引き返し」も初めてではなく、「まぁ登山してると『あるある』かなー」と笑って引き返す。ま、久々のこういうヒリヒリした限界チャレンジで「オラ、ワクワクしてきたぞ!」感が強かったこともあります。のこりの10分間は持っている水を飲んだりお菓子を食べたり。14時ちょうどに村に向けて引き返しました。
過去イチで『果てない草原 風がビュンビュンと ひとりぼっち』という光景だったので、何か、ありがとうございます!

村へ戻ってから誤解を解く (Day3, PM)

15:45 引き返してから2時間弱、村に戻る。村に一つの売店でコーラを買って一気飲み。やっぱり、山から下りたあとは、世界共通でコーラが一番うまい。冷えてはないけど、そんなの関係ねぇ。

16:30 宿に戻り、何か行き違い(特に旅行会社のシェルゾードさんと私の間で)があったようなので確認のメールを入れる。

17:00 早速返信。明日のサマルカンドへの帰路、オフィスの近くを通るので旅行会社のシェルゾードさんと会うアポを取る。

18:00 テラスに据える大型ベンチ(チャイハナによくあるやつ)を運ぶのを手伝って夕方を過ごす。これを見ていた子ども達からは💪ポーズをもらえるようになり、「お前なかなかやるやん」的評価も頂けてなにより。

ベンチが乗用車の屋根に乗ってくる。こどもたち大興奮。
みんなで運ぶ。アジーン、ドヴァー、ダヴァーイ!!(1,2,go!)

18:30 グルムラートさん(村でシェルゾードさんの会社の窓口になってる)が来られる。使える言語は全部使って事情を丁寧に説明していただく。そもそも今回のツアーは渓流コースだったと概要は判明(さらなる背景は次投稿参照)。やはりガイドさん含めて村サイドには何の落ち度もないと理解。

19:30 グルムラートさん(宿のおばさんの弟でもある)がウォッカ持って登場。結局宴会。宿のムミントさん(音楽が得意)が伝統音楽を演奏してくださる。この村はウズベキスタンにあってみなさんタジクの方々。学校の教科書もタジク語とのこと。初めて聴くタジクの音楽はとても新鮮でした。

20:30 そんなこんなでお開き。グルムラートさん「必ずSNSでシェアしてくれよな」。はい、もちろんです。というか、この記事を書いたのは、このグルムラートさんと交わした「約束」によるところが大きいです。


昔読んだ『うしろめたさの人類学』(松村圭一郎,2017)で出てくるような光景。そういう「借り」みたいなものを頂いて1日が無事に終わりました。

(次回、もっと誤解を解く展開です:つづく)


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