運営している本人の予想を超えた、コワーキングスペースもりおかから生まれたプロジェクト
今から2年前のゴールデンウィーク前に、北上市の方がコワーキングスペースもりおかに来て、色々聞きたいことがあるということで問い合わせがありました。うちはいつでも気軽に待ってますのでいいですよということで返答しまして、問い合わせからしばらくしてお越しいただきまして、ここを始めた経緯とか想いとか取り組んでいることとかを、下手ですけども説明をしたのを覚えています。それからしばらくしてできたのが、ワラタネスクエアという不登校や社会的引きこもりの方が集まるプロジェクトで、その代表の方というのがこの時に問い合わせをして来ていた後藤誠子さんという引きこもりの息子を抱える方でした。
後で話を聞いた時に、ワラタネスクエアを作ろうと決心したきっかけというのが、このコワーキングスペースもりおかに来て話を聞いた時だったようです。そこから定期的に不登校や引きこもりのためのスペースを開き、北上市役所や市議会に働きかけたり、不登校問題に取り組む方を呼んで講演会などを開いたり、TVの取材を受けたりと、今となっては私にも欲しいと思える位の行動力を発揮して、不登校や引きこもり問題を取り組む人には全国区に知られるプロジェクトとなりました。そして今年4月から、北上市の引きこもり支援の協働事業という形で毎週火〜土曜に常設のスペースができたようなので、先月ですが1日だけ休みまして北上市にあるワラタネスクエアさんに行きました。
元々はお店があったスペースをそのまま活用して、リフォームをしないでパーテーションだったり椅子やテーブルを置いたりしている、うちとそんなに変わらないような設備のところという印象でした。そこにステークホルダーとなっている北上市の職員さんと打ち合わせをしてたり、働きたくても働くことができない同年代くらいの方が数名来ていてスタッフさんと一緒に談笑していたりしていました。その中には北上市以外の方もいて、矢巾からきていた方もいました。本当にゆったりとした時間を立場とか関係なく過ごしているだけなんですが、それぞれの人生に価値のある時間があったと感じました。
こういう風にコワーキングスペースもりおかを通じて、またきっかけにして、事業やプロジェクトができていく事は、始めた人間として本当に嬉しいです。ワラタネスクエアがここまで発展できたのは後藤さんの行動力だと思いますが、きっかけになったのはコワーキングスペースもりおかがあったからと話してくれているのは本当にうれしい限りです。
さらに、ワラタネスクエアの影響を受けて、兵庫県の丹波市でも引きこもり支援の居場所プロジェクトをやっている事を知りました。兵庫県というのは、神戸市には日本初のコワーキングスペース「カフーツ」があったり、それを通じて知り合った方で丹波市で様々な活動をしている横田親さんが住んでいるところだったりするのですが、巡り巡ってこうして、コワーキングスペースもりおかでの取組が、別な形で身を結んでいるのはさらにうれしいですし驚きました。Instagramが当初コワーキングスペースから生まれたアプリであることがコワーキングをご存知の方だとよく知られた話ですが、コワーキングスペースもりおかを通じてそのような事例が小さく作れたのは、自分が想像していたコワーキングスペースが地域にある影響をはるかに越していきました。
よく地域活性化を目的としてコワーキングスペースを作ろうとか、地域課題の解決のためにこの課題対策を地域活性化としてやろうという動きは聞きますが、特段スペースのある地域だけ効果が出ればいいやという発想でやっているところが大半だと思うのです。それでもいいと思うのですが、その地域とは全く関係のないところで影響を及ぼしている事例が出ているというのは、やっている身としてさらにうれしいことだったりします。コワーキングスペースとして目指したいところでもありましたし、こういう地域おこしだってあっていいはずですし。とはいえ、自分の中では地域の影響力を持ちたくても持てない中で細々とやっていたというのもあるので、コワーキングスペースもりおかがあったからこそ盛岡でコワーキングスペースをやろうと思って始めたということはあるとしても(正直うれしいですが)、他地域にコワーキングスペースもりおかの影響を受けたプロジェクトができることはありえないことだとは思っていました。だから、引きこもりになりかけてたとかクラウドファンディングを申請しようとしても却下されるとかハンデはかなりあったけれども、本当に勇気を振り絞って始めてよかったと感じる出来事でした。
また、こうしたスペースが網目のようにつながっていって、そこに行き交う人の人生や仕事のサポートやフォローアップにつながるような情報や意見を気軽に交換できる「コミュニティミキサー」プロジェクトを本格的にやりたいなと、今少し動きながら考えております。コワーキングスペースがその地域に1ヶ所あるからそれでいいじゃんという訳ではなくて、コワーキングスペースやフリースペースが複数ありながら有機的にプロジェクトを展開したい人を繋げつつそのプロジェクトや関わる人の信頼に繋げられるようなところにまでいかないと、「コワーキング」という働き方や「コワーキングスペース」というビジネスが間違って理解されるのではないかと肌で感じていた(まあ、文字情報や伝聞、画像や動画だけでコワーキングを理解するのは本当に無理で、しっかりコワーキングスペースで体感しないと伝わらないと実感したのもあるのですが)ので、それを許せる限りこの地に伝えていきたいなと最近思っております。ワラタネスクエアの源流になったところとして少しでも恥じないように、これからも続けられるのであれば、このような事例をもっと作っていけたらなと思います。よろしくお願いします。
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