町内会、ヤカラと 斯く戦えり
若者に人気のこの街は、控えめに言っても、そうとうに芳ばしい。古着、雑貨屋から始まり、飲食店、酒場、ハコ等、遊び場には事欠かさず観光客を多様に吸い寄せる。シーズンを問わず商店街は観光客でごった返し、コロナ禍で観光業が打撃を受ける前は、観光客がスーツケースをひく姿を街の目貫き通りで見ない日はなかったと言っても過言ではないくらいだ。
さもありなん。こうした状況と人流をみて、一儲けしようとたくらむヤカラが現れる。
突如出現したのは、観光客を目当てに一儲けをたくらむ商店主が営む問題店舗だった。
問題店舗は、簡易宿泊所とイベントスペースとライブハウスを兼ねたもので、住宅地に隣接する近隣商業地域の雑居ビルの一室に突如現れ、周囲に騒音をまき散らしはじめた。
そして商店主は、常識しらず、公序良徳もお構いなし。騒音は深夜にも及び、異形の酔客が大声で騒ぐ燥ぐ。外国人風の話声。時折、奇声が聞こえてくる。イベント・ライブは夕方から始まって、問題店舗からの騒音被害は翌日の早朝にも及んだ。
そこに重低音風の大音量だ。住宅地に隣接する雑居ビル上層階からの騒音だから、基地局のアンテナよろしく、音は上から降ってくる。近隣住民はおちおち寝ていられない。精神衛生上もよくない。
住人が勇気を振り絞り、騒音主に口頭注意にいっても馬耳東風。住民が行政に騒音相談にいっても所詮は他人事。業法を逆手に取るような悪意のヤカラ相手には、事態は1ミリも好転しない。
古くからの住民は泣き寝入り。ヤカラは往々にして徒党を組みがちだから、商店主の言動や異形の酔客に威圧を感じて精神的に参ったり、嫌気して、転居を余儀なくされたケースもあったようだ。
一言で言って、人としてサイテーだ。
商店街で観光客目当てに商売を営むのは結構なことだが、近隣商業地域は近隣の住宅地の住民が日用品や食料品などを購入する事を目的として設けられた用途地域であり、歓楽街ではない。ましてや、そこで暮らす住人にとって街は生活の場であり、日常であり、現実であるのだ。
そんな中、町内会は、どう動いたか?
そう、僕の属する町内会は、商店街に団体交渉を申し込み、書面による運営改善を騒音主に誓約させたのだ。
なにしろ、町内会のユニフォームを着た住人が、とっかえひっかえ、問題店舗に乗り込んで、責任者に口頭注意に行くのだから騒音主もたまらない。そうして、公民館の会議室を借りて、騒音主との直接交渉を重ね、運営改善の書面化と誓約を実現した。
これこそが本来の意味の自治であり、地域における紛争解決こそが、唯一、当該地域で当事者能力を有する、町内会・自治会に課せられた使命なのだ。
ランチェスターの法則が正しければ、武器効率(質)×兵力数(量)^2で戦闘力が決まるというから、逆包囲戦である。ヤカラは徒党を組んで近隣住人を威圧しているつもりが、逆包囲され、逆包囲による攻撃機動で町内会はヤカラの悪行を打ち破ったのであった。
古都 京都とて、オーバーツーリズムや民泊問題に苛まされているという。僕自身も本件は広域連携の必要性を感じているので、同様の問題意識やお困りごとを持つ方は、コンタクトいただければ大歓迎だ
(続く)