見出し画像

68. ヒトラーやプーチンを生んだ民主主義。

民主主義。

これは簡単に言うと「物事をみんなで決めよう」という考え方である。

しかし、国民全員で話しあおうとするとどうなるだろうか。

話し合いが進むはずがない。

そこで採用されたのが選挙というシステムである。

自分の同じ考え方の人に自分の意見を託して、代表として議会で発言してもらう。

そうすることで、国民一人一人の意見が国の政策に反映されるという方針である。

現在の日本人にとってあまりに当たり前のこの権利は、約300年前までは到底ありえないような仕組みであった。



1789年以前のフランス。


王に絶対的な権力があり、戦争や浪費などで莫大な金額を使っていた。

画像2

     ベルサイユ宮殿(当時のフランスの王によって作られた。)



そして、そのお金回収するために税金として国民に負担をさせようとした。

その理不尽さに憤慨したフランス国民が団結し、10年間で約200万人を犠牲にしながら、王を処刑し、国民の意見を国政に反映させる民主主義のシステムを手に入れた。

画像1

その後、世界にその流れは波及し、次第に民主主義国家が広がっていった。





この対義語が専制主義である。(独裁)

これはある支配者が独断ですべてを決めていくという考え方である。



民主主義と独裁は相反する言葉である。

では、民主主義であると独裁者は生まれないかというとそうではない。

あの世界を震撼させた独裁者のヒトラーは実は国民に選挙で選ばれたのである。

画像3

彼は、自分に何事も決定する権利(裁量権)をより集めるため、国の様々なルールや仕組みを作り替えた。

国民が望んで代表者に選んだヒトラーは、他人から口出しされず、自分の一存で国を動かせるシステムを作ったのだ。

全てを自分の判断で国を動かせるようになった彼を止められるものはもはやなくなっていた。

そうして第二次世界大戦を含め、様々な人類史に残る負の遺産を生み出したのである。





そして、今、これに類似したことが起きている国がある。

それはロシアである。

ソ連崩壊後、ロシアは民主主義国家を掲げて新たな出発をした。

そしてあのプーチンも実は国民の大統領選挙で当選したのである。

ではどのようにしてプーチンはそれほどの人気を集めたのだろうか。



彼が人気を集めた一番の理由はチェチェン紛争を抑えたからであるといわれている。

チェチェン紛争とは簡単に説明すると、ロシア国内にあるイスラム教の地域が国として独立するといった際に、それをロシアが許さず、武力行使で鎮圧した出来事である。

画像4


当時、チェチェン共和国で独立運動が起きた際に、モスクワで爆破テロ事件があり、国民はテロの恐怖に震え上がった。

画像5

そこで、プーチンが

「このテロはチェチェンの奴らが引き起こした。テロは許さない。チェチェンをぶっ潰す。」

そうして、チェチェンの独立運動を空爆などあらゆる非人道的な手段を使って沈めたという話である。

このことでロシア国民は

「自分たちを恐怖のどん底に陥れた悪い奴らをやっつけてくれた。プーチンはロシア人のスーパーヒーローだ。」

となったのである。

ちなみに、このモスクワでの爆破テロ事件はのちに、チェチェンの独立運動を止めるために何をしても正当化されるように口実づくりとしてプーチンが自作自演で行ったことがわかっている。

今回のウクライナ侵攻もロシア人がウクライナで大量虐殺をしているという事実無根の出来事を理由にウクライナ侵攻を正当化している。

本当に目的を達成するためなら手段を選ばない男である。

そんなことを知る由もない国民は彼を支持し、大統領に選出されたのである。



その後、当時第二次世界大戦やソ連崩壊などで最悪の経済状況であったロシアを国の資源である天然ガスや石油などを売ることで復活させた。

そして、国のトップになったプーチンの政策は評価され、国民からもまた、評価された。


そんな中、彼がひそかに行っていたのは自分に権力や裁量権が集まるシステムやルール作りである。(メディアの買収をし、自分に有利な情報ばかり流すシステムや地方議会の力を弱め、国の権力を高めるシステムなど)


その後、4年×2の任期が終了すると、自分の言いなりになる部下を大統領にし、裏で操りに人形のように操っていたのである。

二度目の大統領選挙ではプーチンは一度結果を出しているので圧倒的な支持率で当然のように当選するかと思っていたが、プーチンの予想とは裏腹に、独裁政権になることを懸念した国民からの支持率は想像以上に下がっていた。

そんな中なんとか大統領選に選ばれると、このままでは次からの選挙では自分の地位が危ないと思ったプーチンは、まず、自分がより長くその地位にい続けられるようなシステムづくりをした。

画像6

そして自分にとってあらゆる面で不都合な人達を大量に暗殺してきた。

画像7

また、次の選挙から不正をしたり、不当に野党議員を逮捕をしたり、民主主義の根本を覆すような状態を作っていったというのが現在のロシアの状態である。


画像8




以上のことを簡単にまとめるとこのようになる。

①国民からの支持で選ばれたプーチンは、結果を残す中で、より人気を高めた。

②そして、より自分が指揮を執りやすいように自分に権力を集め、結果として、独裁体制が完成し、国民の言論の自由が奪われつつあり、現在誰も彼を止めることができない。



皮肉なことに民主主義が独裁者を生んでしまったのであり、これはドイツのヒトラーに非常に通ずるものがある。




では、このことから私たちは何を学ぶべきか。

今、ありがたいことに日本は民主主義国家であり、選挙によって国民の意見を反映することができる。

そうであるにもかかわらず、政治への関心や選挙への参加率が非常に低いことが問題になっている。

私自身恥ずかしながらこれまで政治に対して全く興味を持ってこなかった。

しかし、このロシアの現状を見たときに、政治への関心をなくしたり、選挙に参加しないことは非常に危険なことであると感じた。



今、我々の代表者がどのように振る舞い、どのような政策を立てていっているのか。

これらを知らずに代表者の評価をできない。

また、どの政党がどのような方針で取り組んでいこうとしているのか。

これらを知らずに自分の意見を託すことができない。



民主主義を獲得するために命を落とした人の数は計り知れない。

それほど、多くの人が命を懸けてでも獲得しようとするほど選挙権は尊いものなのである。

しかし、今の日本人はどうだろうか。

その人たちの思いを踏みにじるような行為をしてしまってはいないだろうか。

我々はもっと政治を監視し、積極的に選挙に参加して一人ひとりが自分の意思を国の決断に反映させていかなければならない。


過去のドイツや、現在のロシアのように手遅れになる前に。













この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?