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「家入くん、居場所っていうのはレイヤーなんだよね」|インタビュー企画「家入さんとの対話」の落穂拾い

こんにちは、インターンのたにぐちです。

これまで「家入さんとの対話」と題し、二回に分けてインタビュー記事を公開してきました。

そんな中、記事化するにあたり泣く泣く削除した部分があったのですが、「文字起こしもしてありもったいない!」ということで、落穂拾いとして公開したいと思います。

構成としては、落穂拾いした物をそれぞれの記事の内容に合わせなんとなく割り振っています。

これまでの記事を読まれた方は内容がより深まるものになっていると思います。

また、この記事が初めての方も読んでみて興味を持っていただけたら、ぜひこれまでの記事をお読みいただけると嬉しいです。

家入さんってこんな人
CAMPFIRE、BASE、NOW、ペパボなどの共同創業者。cotree顧問。100社のスタートアップ投資、現代の駆け込み寺リバ邸や、#やさしいかくめいラボも始めたり。

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まずは「家入さんとの対話」の第一弾『「最初は警戒していた。」そんな家入さんがcotreeのアセスメントを受けて気づいたこと』からの落ち穂拾いです。

cotreeの第一印象

——cotreeへの印象はどういったものでしたか?

家入:うーん、なんだろうなー。

なんか、良くも悪くもそのままというか、等身大というか、誠実な感じというか。

「良くも悪くも」という言い方をしたのは、さっき「見せ方をもうちょっと考えたほうがいいんじゃないか」っていうアドバイスを僕がしたじゃないですか(注:このインタビューの前の月次定例会での家入さんのコメント)。

その時、自分で「見せ方」って言いながら、「見せ方」って言葉がこんだけ合わない会社ないなーって思ったんですよね(笑)。

往々にして、「見せ方がうまい」なんて言葉を使う時って、実がともなってなくてハリボテな感じというか、誤魔化すというか、ネガティブな意味が込められたりすることも多いじゃないですか。

だけど、僕は別に「嘘をつけ」「大きくみせろ」って言いたいわけじゃなくて。

要は、cotreeとして信じている未来や世界、哲学とか、「これからこういうことやっていくよ」みたいなことも含めて、実も伴った、ワクワクさせる形で、「正しく伝える」っていうことが、これからcotreeとしても大事になってくるんじゃないかと。

そう思ってさっきそういう話をさせてもらいました。

なので第一印象は……、なんか、そう。イメージと中身が一致してた

起業して「あ、ここにいていいんだ」と初めて思えた

——話は変わりますが、先ほど話されていた「自分は起業によって救われた」というお話について、詳しく聞かせていただいてもよろしいでしょうか。

家入:僕、中二で虐められてから学校行けなくなっちゃって。

まあ、対人恐怖症みたいになっちゃったんですよね、中二で。

外に出るとやっぱ同級生とすれ違うんじゃないかっていう不安で、もう部屋から出られなくなっちゃって。

かといって家にいても親に対する申し訳なさみたいなのがすごくあったので、居場所のなさをずっと感じていて。

唯一「パソコン通信」っていう——インターネットの前身ですけど、それで知らない人とコミュニケーションすることが救いになってて、まあ、カチャカチャやってたんですね。

で、そのまま10代を過ごして。何もなければきっと、ずーっと引きこもってたんでしょうけど、オヤジが交通事故で働けなくなって。

妹弟いましたし、言っても借金まみれの家だったので、僕が長男だし、働かざるをえないみたいな。

でも、その時はもちろん起業なんて全く考えてもみなくて。

プログラミングを趣味でやってたので「何かしらコンピューターに関われる仕事があったらいいなぁ」くらいでした。

それで、福岡の片田舎だったんですけど、なんとか1社目は住宅開発かなんかの——っていってもSIerみたいな感じですけど、まあ会社に入れて。

で、働き始めたんですけど、それまでずっと引きこもってた人間がいきなり就職してるような感じなので全然馴染めなくて。

最初は稼がなきゃって気持ちで働いてましたけど、もうすぐに心がダメになっちゃって行けなくなっちゃって。

ただ、まあ生活はあるし、もう一回働こうってことで仕事を探したら、今度は割とweb系の方に行けたんですね。

そこでインターネットの仕事に出会えて「あ、ホームページってすごい」みたいになって。

自分で作ろう!」って自分でホームページ作ったりもしました。

でもやっぱ、そこの会社も途中で行けなくなっちゃって、クビになって。

そういうことを繰り返してる中で「あー、自分はなんかもう本当に、普通に働けないんだな」って絶望したのを今でも覚えてるんですけど。

なんか、なんでしょうね。

既存の組織の中で働くって本当にできないけど食ってかなきゃいけない。

だからもう、せめて人と会わずにできる仕事を自分で作るしかないってことで、paperboy&co.(現GMOペパボ)という最初の会社を立ち上げました。

で、最初は一人でやっていくつもりだったんですけど、立ち上げたら思ったよりどんどんお客さんが増えていって。

「あ、これは一人じゃ回らない」ってなって、自分のホームページの掲示板によく書き込んでくれてた大学生に連絡して。

「手伝わない?」みたいな。

それが今のペバボの社長なんですけど(笑)。

だから自分で、なんで起業したのかって考えると、「この会社大きくしてやりたい」「たくさんの雇用を生みたい」「すごいミッションがあって起業した」とかでは全然なくて。

どっちかっていうと消去法で最終的に起業っていう道に行き当たったみたいな。

なんか、就職して生きるっていうのもできない、こういう生き方もできない、できないできないってなった後に、起業するっていうやむを得ず残った選択肢だけがあって。

それをいざやってみたら、そこに少しずつ仲間が集まっていって、そこは居場所になっていった感じがすごくあるんですね。

あ、ここにいていいんだ」って初めて思えたというか。

まさに雰囲気的にはね、cotreeみたいな雰囲気はあった気がするんですけど。

——起業が居場所作りも兼ねていた?

家入:兼ねてたなって、まあ後になって思うわけですけど。

「ああ、自分はここにいていいんだな」って思える場所を、自分で作るっていうのが僕にとっては起業だったっていう。

メンタル領域に興味を持ったのはなぜか

——そういった起業の経験は、cotreeやメンタル領域に興味を持ったことと重なってくるんでしょうか。

家入:うーん、まあ、でもそうなんですかね。

ある程度ペパボが落ちついてた頃に「Liverty」っていう団体を立ち上げたんですけど。

っていうのも、当時の僕の周りには学校に行けなくなっちゃったようなやつや、僕みたいに会社入ったけど、ちょっと心がダメになっちゃって行けなくなっちゃったやつとかがわんさか集まってたんですね。

それで、「じゃあ、一人じゃ何もできないってみんな思い込んでるけど、プロジェクト単位で集まって、いろんなサービス作っていこう」ってことチームを作ったんですよ。

それが「Liverty」で。

で、そういうのやり始めたら、僕の当時借りてた六本木のオフィスに割とみんな寝泊まりし始めて。

そしたら、なんか悪臭とかもすごいし始めたんですよ(笑)。

これはまずいなってことで、とりあえずオフィスで寝泊まりしてるやつを全員そこに放り込んで作ったのが「リバ邸」だったんですけど。

そしたら、そこからいろんな起業するやつが出てきたりもして。

なので、リバ邸っていう活動を始めた時は、そこから起業家を生み出したいとか最初は全く思ってなかったんですよね。

たまたま、そういう行き場所のないようなやつが集まってたから、

「かつての自分にこういう場があったらよかったなと思えるような場所を作れば、こいつらはちょっとの間だけでも『あぁ、生きてて良かった』みたいな感じになるのかなぁ」

みたいな、そのくらいで。

cotreeは誰のためのものなのか

——cotreeにはいくつかのサービスがあると思うのですが、例えばcotreeのオンラインカウンセリングサービスっていうのはどういった層のためのものだと捉えていますか。

家入:うーん、「捉えているか」か。

それはなんか、僕の中でもまだわからなくて。

以前に「カウンセリングをもっとカジュアルに使ってもらえるものにしたい、と僕は思ってるんだけど、果たしてそういう思想でいいんですかね」っていう質問をcotreeの皆さんにさせてもらったんですけど。

例えば若い起業家が、「ちょっと、家入さん相談があります」って来たときに、それまでは僕が話を聞くくらいしかやりようがなかったんですよね。

でも、escortができたことによって、escortを紹介したりとか、cotreeを紹介したりとかできるようになったんです。

あと最近だと名指しで「櫻本さんを紹介して欲しいんですけど」っていう相談とかもめっちゃきます。

要は相談が来た時に適切なところを紹介できる、ハブみたいな存在になれたというか。

元々、素人が生半可にメンタリングとかをするのは、ちょっと怖いことだなとも思っていて。

僕も話は「うんうん」って聞くけど、自分の意見は言わないように心がけているというか。それが押し付けになっちゃうこともあるので。

そういうのはちゃんと学んだ方々に、適切につないであげるってことがすごく大事だと思っていて。

ある時、友人と打ち合わせで話しているとき、すごく心の調子が悪そうで。

ああ、これはなんか、結構ギリギリのところまで追い込まれてるんじゃないか」と思って。

かといって僕が話を聞いたところで、まあ聞いてあげるくらいはできるけど、それ以上は何もできないし、って感じで、確か僕の方から「櫻本さんに会ってみたら」っていう感じで繋がせてもらって。

ちょっと櫻本さんのリソース奪っちゃってる可能性はあって、それは申し訳ないんだけど(笑)。

そういった意味でいうともっとcotreeやescortってものがもっと一般化するといいなとは思ってるんですけど……。

すいません、ちょっと答え長くなっちゃった。

うーん……。

だから、どういった方のためのものっていうのは、僕の中ではまだ見えていない部分はあるかな。

***

次に第二弾『「安心して失敗できる場所をつくる。」起業を後押ししてきたからこそ感じる責任と想い』からの落ち穂拾いです。

「家入くん、居場所っていうのはレイヤーなんだよね」

——「居場所」というものをcotreeで考えるときに、cotreeが居場所がない人にとっての新しい居場所になるのか、それとも、居場所があった上でcotreeを活用していくのかというとどちらになるのでしょうか。

家入:「居場所」っていう言葉がいろんな定義とか、解釈があると思うんですけど。

僕の言う「居場所」って「安心して失敗できる」っていう意味だったりするので。

サードプレイス的なリアルな場所も居場所だし、頼りになるサービスだったり、人みたいなものも、きっと「居場所」なんだろうと思うんですよね。

もちろん、ずっとそこにいなきゃいけないとか、ずっとそこにい続けるべきなのかとか、そういった議論もあると思うんですけど。

ちょっと話が前後しちゃうんですけど、昔リバ邸最初に立ち上げた時って「全ての生きづらさを抱えた人のための居場所を作る!」みたいに意気込んでたんですよ。

「全員救う!」みたいな。

「救う」って言葉は今ではもう使わないんですけど、まあ当時はやっぱりちょっと若かったし、意気込んでたんですよね。

そんな中でリバ邸にも良い感じの奴らが集まってたし、良い感じで回ってて。

でも、「駆け込み寺」っていう言い方をしてたから、いろんな方が駆け込んできて、それでもう一気にぐちゃぐちゃになっちゃったんですよね。

で、結局来てくださった方も「全然救われない」って絶望して出て行ったし、それまでいた子たちも絶望しちゃったし、僕も全ての人を救うとか言って何もできずに荒れていくことに絶望したし。

これは一体なんなんだと思って。

その時に、NPOでシェルターをやられている代表の方に相談しに行ったら、

家入くん、居場所っていうのはレイヤーなんだよね」みたいな話をしてくださって。

「リバ邸がやるべき居場所がある。もっと深い、リバ邸では受け止められないような方々が行くべき居場所もある。」と。

「でも、そこでも受け入れられない人たちが行く、例えばそこはもう病院だったりするかもしれない」

「だから居場所っていうのはレイヤーで存在していて、そこでミスマッチが起きてしまうと居場所は崩壊してしまうんだよ」

っていう話を聞いた時に、「ああ、なるほど」って思ったのを覚えていて。

だから……、なんの話ししてましたっけ(笑)。

——(笑)居場所の定義の話ですね。

家入:そうそうそう(笑)。

なので、安心して失敗できる場所を作るっていうのが、僕の場合だとリバ邸っていう実際に駆けこめるシェアハウスっていう形を取ってたんですけど、U2plusとか、cotreeみたいに、まず相談できるものでもいい。

そういうものがあることを知ることによって、そうですね、その、救われる人もいるんじゃないかなというか。

一つの居場所が全てを担うわけではなくて、いろんな形のいろんな人に適した居場所が社会にあるといいなみたいな。

起業家は誰のせいにもできない


——コーチングの他に、起業家の方が頼れる居場所というのはあるのでしょうか? 一見、起業家のコミュニティが頭に浮かぶのですが。

家入人によっては家族だったり、共同創業メンバーだったり、同年代の起業家仲間だったりするのかもしれませんが、なかなか見つからない人も多いのではないかな。

——起業家だから、頼る人が少ないということはあるんでしょうか?

家入:起業家だからどうこうってことはないと思うんだけど……。頼りたい、相談したい、と思ってもなかなか言えないことって多いですよね。「弱音を吐いちゃいけない」なんて思い込んだりもするでしょうし。

何かあったとしても、他の何かや誰かのせいにできないじゃないですか、起業家って。

うまくいかない時にマーケットのせいとか、お客さんのせいとかにできないんですよね。

人ってうまくいかない時に、何かしら言い訳みたいなものを作ってあげられるバッファがないとしんどいなと思っていて。

でも、自分でビジネスやってると言い訳が割とできないんですよ。

市場が俺のことわかってくれない」って言ってもしょうがないし。

だから究極言うと「起業は自己責任」なんていうのはやっぱその通りだなと思うんですよ。

それを信じてついてきてくれるみんながいて、その人たちの生活を見てるっていう意味でも責任は重いし、強くなきゃいけないっていう側面ももちろんあるんだけど。

うん、その通りなんだけど……。

起業家の生存バイアス

——伺っていて「言えない」ということの裏には、「自分のことは自分で背負わなければいけない」という感覚があるように感じました

家入:そのちょっと手前の話になるんですけど。

一番最初にescortを櫻本さんに相談させてもらった時は、そもそも起業家って強いものであるということを前提に周りから見られるし、起業家自身も「強くなければならない」と思い込んでいるなと感じていて。

その結果、急に心が折れてしまってダメになるっていうことも何度も目の当たりにして。

もっと早く気づいてあげられたらよかったな」と思ってたんですね。

とはいえ、たくさんの投資先もあって、全員が全員、普段から話を聞いてあげられるわけではないし、彼らの側も僕にカジュアルに言える子もいれば言えない子もいる。

そういった中で、「こういうのがあるよ」って言える起業家のためのサービスができないかっていうのが最初の想定だったんですね。

だから、そもそもアセスメントやコーチング、カウンセリングの手前で、起業家が使えるものを作りたかった。

あとは、起業っていうものの選択肢が昔と今でだいぶ変わってきてるし、カジュアルになってきてるもいる。

でも起業した先には、よくハードシングスとか言われたりもしますけど、いろんなことがあるわけですよね。

お金がうまく回らないとか、みんなが辞めちゃうとか。そんな中でプライベートでも色々重なったりとか。

そういった時に、そこを超えてきた人たちだけが成功してるみたいなことを言っても、絶対的な母数が昔と今で絶対違うので同じようには語れない。

だったら、起業っていう生き方がもっとカジュアルになっているんだとすれば、起業した結果うまくいかないとか、起業した中でしんどいとかっていう時に、駆けこめる場所としてcotreeが、escortがあるといいなみたいなことも思ってました。

——若者の起業も一般的になってきている中で、「言えないことを言える相手」は時代的にもますます必要とされていくように感じます。

家入:なんか、これは僕自身も答えが出ないっていうかわかんないことなんですけど。

最近、イーロン・マスクの記事でもありましたけど、心の弱さやそこからくる怒りや負の感情みたいなものが、起業家自身のカリスマ性や魅力みたいなものに繋がってるんだとした場合に。

それこそcotreeやescortを使って、心の安定を取り戻したら、その起業家の魅力はどうなるんだろうみたいなことかは考えますよね。

——スティーブ・ジョブスがいた頃のAppleもそうですね。

家入:そうそう。ジョブズが本当に心身ともに満たされた時に、「あ、もう俺いいわ」みたいな。「iPhoneに隙間あってもいいわ」みたいな(笑)。

けど、少なくとも、僕の関わった起業家だったり、起業家に限らずですけど、辛そうにしてたらそこはなんとかしてあげたいなっていう感じです。

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編集後記

インタビュー企画「家入さんとの対話」はこれにて一旦終了となります。

全編通じて率直な気持ちをお伝えいただき、悩みながらも前に進もうと努力するその姿勢に、素直に「すごい人や……!」と思いました。

今回で連載は終了になりますが、皆様から嬉しい感想も多々いただいており、今後も何かしら記事を出せたらなぁと考えております。

今後ともよろしくお願いします。

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