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自立とは、「助けて」と言えること

私は、息子が4歳の時にフランス式の教育に出会いました。

フランスの学校は3歳から義務教育が始まります。3歳だとお昼寝時間もあったり保育的な要素もあるのですが、名前にもちゃんと「学校」とつく立派な教育課程の一つです。この小さな学校に3年、そこから小学校5年が初等教育です。

この8年間で1番大切にされているのが、「自立」しているかどうかということ。なぜなら、11歳から始まる中等教育では「自立した態度・意識・思考」が求められ、これがないとカリキュラムについていくのが非常に厳しくなるからです。

ということで、「自立」について小さな頃からことあるごとに指導をうけるわけです。(もちろん年齢によって求められる「自立」のレベルは異なります。)

自立はフランス語ではautonomeと言います。辞書によると語源はギリシャ語のautonomosで、この意味は「 qui se gouverne par ses propres loi」。自らを律することのできる人、くらいの意味ですかね。

はじめ、「自立」といわれた時、「自分で全部こなせる事」をイメージしていたのですが、通知表(のようなもの)に書いてあった項目は「適切な相手に助けをもとめられるか」ということでした。

同じ「できない」でも、「できないまま、一人で困っている」のはダメで、「手伝ってください」と言えれば、それは自立の第一歩だと先生にも言われていました。

これは、目から鱗で。

まだ、海外に出てきたばかりで、右も左もわからず、知り合いもおらずオタオタしていた私にも、大切な言葉となりました。

誰にも迷惑をかけずに一人で乗り切ることが自立ではないのです。必要に応じて助言を求める。手を借りる。物理的にも精神的にも、誰かに助けを求めてよいのだと、それが自分の足で立つことつながっていくのだと教えられ、少し肩の荷が降りたのを覚えています。

実際、実行に移そうとすると、「助けを求める」ことの心理的ハードルはものすごく高くて、ホントにこれは能力だな、と思ったものです。

子どもも同じで、何かでつまづいた時に「手伝って」「どうやるの?」と先生や友達にきけるかどうかが大切なポイント。ヘルプを求められた後、どの程度手を貸すのか、ちょっとヒントを与えて自分でやらせてみるか、というのは教育者サイドの腕の見せ所、ということなのでしょうね。

因みに、「手伝って」が言える子は、他の子の「手伝って」に応えてあげることができるようになっていました。

根本になる概念や、最終目標は日本の教育もあまり変わらないかと思うのですが、色々やり方があるんだなぁと興味深く思ったものです。

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