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「 箔押しパズルのコースター 」

コスモテックの青木です。
今回、2023年9月18日(月)東京の原宿にオープンしたコーヒーショップ 『 PAP.COFFEE(パップコーヒー) 』 で販売する紙製品である、ちょっと変わったコースターへの箔押し加工をお手伝いする機会をいただきました。

PAP.COFFEE(パップコーヒー)
住所   : 東京都渋谷区神宮前1-10-6 セリジェ神宮前102
電話番号 : 03-6447-1988


『 PAP.COFFEE 』 を運営する母体の会社は、なんと老舗紙加工会社 三洋紙業株式会社( 東京足立区にある )です。

「 紙加工会社がコーヒーショップをはじめる!? 」
私は今回コースターの製作・加工でお手伝いさせていただく際に、はじめてこの異業種への新たな挑戦のお話を聞いたのですが本当に驚かされました。

「 紙の新しい価値 」 を提案するコーヒーショップ 『 PAP.COFFEE 』 のブランドアートディレクション、デザインはコスモテックの note ではお馴染みの小玉文さん( BULLET Inc. )が担当されています。

◉ 小玉文さんと今までのお仕事( note の記事より )


今回のコースターへの箔押し加工は、小玉さんが三洋紙業株式会社とコスモテックとの橋渡しをしてくださり、箔押し加工に携わるきっかけを作ってくださいました。


◉ ちょっと変わったコースターの全貌

『 PAP.COFFEE 』 で販売するコースターは、なんとジグソーパズルの加工技術が活かされたデザインになっております。デザインは小玉文さんによるもの。紙加工のプロフェッショナル 三洋紙業株式会社の主力であり、得意とされているのは、実はジグソーパズルの加工技術なのです。この加工技術がコースターにたっぷり盛り込まれています。

コースターがパズルになっており、
ピースを分離・合体もできる「 質感は美味しそうなクラッカーのようにも見える! 」


また、さらにコダワリのポイントがコースターの紙素材にも見受けられます。コスモテックで箔押し加工する前に、コースターで使用予定の紙を拝見させていただく機会を設けていただきました。

紙を見て、触ってみると、厚みがあり表面がゴツゴツ・でこぼこしていながらも柔らかさもある。そして、生(なま)のまま素朴で飾らない、無骨な質感のその紙が印象的でした。

紙の表面の凸凹感を写真からも見て取れる


「 きっと紙好きにはたまらない紙なのでは!? 」
私にはそんな印象が今も強く残っています。はじめて出会った謎の紙でした。

三洋紙業株式会社のご担当者さま、そしてデザイナーの小玉さんからこの謎の紙の正体について教えていただくと、この紙は今回のコースター製作のために実験的に三洋紙業株式会社の製作・加工から生まれた古紙(こし)を活かして新たに作り出した紙(※)、ということでした。

※ 今回の紙 「 古紙 」 ですが、グレーの方は、ジグソーパズルの廃材から出来ています。よく見ると写真などの絵柄が粉砕された破片が混ざっています。

ワイルドな質感を指先で味わいつつも、「 この紙に箔を押すのは、なかなか至難の業かもしれないな 」 という思いがよぎりました。

◉ 荒々しく、がっつり箔を押す要望

コスモテックで箔押し加工する際、使用した箔はなんと全11色にもおよびます。白箔、黒箔、銅色の箔、水色の箔などなど… デザイナーの小玉さんセレクトによる箔色を贅沢に11色のカラー展開で箔押し加工しました。

コスモテックで箔押し後、三洋紙業株式会社にてジグソーパズルの加工
写真は三洋紙業株式会社の加工現場に搬入した時のもの


箔押し加工で非常に難しかったポイントが 『 圧の加減 』 です。
先にも挙げた通り、紙の表面には荒っぽい凹凸があり、通常は箔ですっきりシャープな表現を求めようとすると圧を弱めて箔押し加工するのですが、今回はそうすると箔が溝に負けて擦れてしまう。逆にしっかり読ませることを意識した場合は圧を強めてがっつり箔押し加工しますが、今回の紙では図案の周辺に若干箔の絡みが生じてしまいました。

校正(テスト)の段階でこの紙への箔の押し方にコスモテックの現場は非常に頭を悩ませました。圧を弱めると箔が擦れ、圧を強めると箔の絡みが生じる。どうしたものか… と悩みながら、この2パターンの校正(テスト)をデザイナーの小玉さんにお見せしたところ、なんと 「 がっつり圧が非常にいいですねー! 」 のお返事をいただきました。

強圧でしっかりと箔押し
箔押し部分は紙地がめりこむくらいの強い圧力をかけている


がっつり箔を押すことで、素材である無骨な紙の良さがより生きるとのことでした。「 雰囲気を重視して、強い圧をかけて箔を押してください。押された部分周辺の紙地部分が盛り上がっているのもポイント高いです! 」 と小玉さんから明快な回答をいただいたことで箔表現の着地点がはっきり見え、私は安堵しました。

◉ デザイナー 小玉文さんよりコメント

[ 触感 ] は、楽しいものです。
このコーヒーショップは、様々な紙モノがデジタルに移行する流れに逆行する、リアルな紙の魅力を楽しむ実験場です。

パッケージやショップカードなどなど、さまざまな紙アイテムたちを凝りに凝ってデザインしていく中で、三洋紙業さんから出てきたアイデアがこの 「 パズルのコースター 」 でした。

デザインが無い状態でも 「 カワイイ! 」 と思ったのですが、この厚いボコボコの紙に、強めに凹むように、箔を押したら……!? しかもそれが、パズルの同じ位置に加工されていれば、組み替えて遊べるのでは……!?
と、思った瞬間、コスモテックさんにご連絡していました。笑


ぜひ店頭で、お気に入りの2色をGETして、組み替えて遊んでいただけると嬉しいです!

コースターの正式名 : コースターパズル
販売価格      : 1枚 500円(税込)

Q. 箔の色はお店で選んで購入することができますか?
A. はい、好きな色を選んで購入いただけます!

◉ 違う紙色・箔色同士を組み合わせる

箔押し加工でお手伝いさせていただいたコースターは、紙色2色 × 箔色11色なので、今回はなんと22パターンのコースターを製作しております。

いくつかコースターを 『 PAP.COFFEE 』 で購入すれば、ジグソーパズルの特製を活かして、さまざまな箔色同士を組み合わせた自分だけのオリジナルのコースターを生み出すなんて楽しい体験もすることができます。

このジグソーパズルのコースターは 『 PAP.COFFEE 』 の原宿のお店にてお求めいただけます。22パターンのコースターから選ぶのは流石に迷ってしまうかもしれませんが、「 どれにしようかな? 」 とじっくり悩む時間も楽しいものですよね。

今回のコースターのために生み出されたオリジナルの紙、ジグソーパズルの加工技術、強圧の箔押し加工など要所に感じることができる、ちょっとしたコダワリとマニアックさをぜひお手元でご堪能いただけると嬉しいです。

三洋紙業株式会社さま、そしてデザイナーの小玉文さん、今回箔押し加工でお手伝いさせていただき、本当にありがとうございました!

皆さま、原宿の 『 PAP.COFFEE 』 でおいしいコーヒーを飲みながら、コースターをはじめとするさまざまな紙製品を愛でるのはいかがでしょうか。

PAP.COFFEE(パップコーヒー)
住所   : 東京都渋谷区神宮前1-10-6 セリジェ神宮前102
電話番号 : 03-6447-1988


【 連絡先 】

ようこそ!行列のできる『箔押し印刷工房』へ
http://blog.livedoor.jp/cosmotech_no1/
有限会社コスモテック 青木政憲
〒174-0041 東京都板橋区舟渡2-3-9
TEL:03-5916-8360 / FAX:03-5916-8362

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