「特殊紙 『 パチカ 』 製の御朱印 完成!」
コスモテックの青木です。
去年( 2023年 )の年末、クリエイティブ・ディレクターの島田夕貴さんとグラフィックデザイナーの佐藤浩二さん( 株式会社コージィデザイン )のお二人からお声がけいただき、コスモテックは特殊紙 『 パチカ 』 を使用した御朱印の製作・加工をお手伝いさせていただきました。
◉ はじまりは9月中旬のこと
最初に佐藤さんから 「 『 パチカ 』 を使用して、とある神社の御朱印をつくりたい 」 とコスモテックにご連絡をいただいたのが2023年9月の中旬でした。
佐藤浩二さんは、自著 「 ロゴデザインのコツ プロのクオリティに高めるための手法65 」 を執筆・発売されるなど、精力的に活動の幅を広げているグラフィックデザイナーです。書籍は重版されており、注目度の高さがうかがえます。
グラフィックデザイナー 佐藤浩二さん
実は佐藤さんが法人化された際、コスモテックはありがたいことにご縁をいただき、インパクトのある年賀状 兼 法人化案内状の製作( 2015年 )をお手伝いさせていただきました。
洗練された佇まいと仕様で、私にとっても思い出深い製作物です( ちなみに佐藤さんとのはじめての出会いは2010年なので、今からなんと14年も前なことに気づき驚きました! )
今回、特殊紙 『 パチカ 』 を使用する御朱印づくりのお話をいただいた際、「 佐藤さんがデザインする御朱印はきっと素晴らしいものに間違いない 」 という期待感と 「 一体どのような図案なのだろうか? 加工で上手く表現できるのだろうか? 」 とプレッシャーも同時に感じました。
『 パチカ 』 は紙の性質上、加工の取り扱いが非常に難しい特殊紙です。
今日までコスモテックでは1,000図案以上の 『 パチカ 』 の加熱型押し加工( ※ )に携わらせていただきましたが、今もその都度、お客さまからご依頼いただくデザイン・図案と向き合っては頭を悩ますことが多々あります。
佐藤さんからは
「 しっかり透かしたいこと 」 「 半透明感とマッチする紙の厚みはどのくらいか? 」 「 どのような図案だと 『 パチカ 』 に加熱型押しをした際に歪みが生じやすいのか? 」
などの 加工に対するご要望や紙と加工と図案の関係性についてのご質問をいただき、一つ一つを最初の段階から共有し、クリアーにしていきました。
◉ 兵庫県にある高嶺神社の御朱印
佐藤さんとのお打ち合わせから約一ヶ月後、佐藤さんから今回の制作におけるクリエイティブ・ディレクターの島田夕貴さんにバトンが繋がれ、島田さんから今回の 『 パチカ 』 御朱印 制作の全貌が明らかにされました。
由緒正しき高嶺神社
高嶺神社は家庭円満、『 幸せを運ぶ宮 』 と知られ、創建は972年。
その歴史は1050年であり、多くの人たちから愛され、今も大切にされている由緒正しき神社です。
この長き歴史のある高嶺神社の御朱印を特殊紙 『 パチカ 』 を用いて製作するためにコスモテックへお声がけいただいたことが分かりました。
また、ブランディングプロデュース・クリエイティブディレクションを島田さん、ロゴ・ツールのデザイン面ではグラフィックデザイナーの佐藤さん( 株式会社コージィデザイン )という布陣で臨まれているとのことでした。
クリエイティブ・ディレクター 島田さんからのコメント
島田さんから、佐藤さんによる 『 パチカ 』 仕様の御朱印のデザインをこの時はじめて拝見させていただき感じたことは今回の加工の難易度の高さと 「 このデザインで実現できたら絶対に美しい御朱印になる! 」 という確信でした。
今までの 『 パチカ 』 加工の経験から、御朱印の周囲をぐるりと加熱型押し部分が囲むことで、外周はパリッと半透明、御朱印の中央部分は 『 パチカ 』 特有のふわふわ、ふかふかしたやさしい触感が残ると予想しました。
またデザイン上、機能面としてよく考えられていると感じたことは、仕上がりフチを加熱型押しで半透明化させることで 『 パチカ 』 の強度を増して、「 御朱印の仕上がりフチに耐久性を持たせているということ 」 です。
9月に佐藤さんとやりとりさせていただいた内容がまるっとデザインに活かされており、うれしくなった瞬間でもありました。
◉ いざ、『 パチカ 』 製の御朱印を!(文:前田)
コスモテックの前田です。
青木(コスモテック)から 「 『 パチカ 』 で神社の御朱印を製作することになった! 」 とはじめて聞いた時、 「 『 パチカ 』 の強度や耐久性を考えると実用性の面で大丈夫だろうか? 」 という一抹の不安が私の頭をよぎりました。しかし、デザインを見てみるとそれらの心配が全てカバーされており、加工の現場としても前のめりに はやく押してみたくなる図案でした。
「 限界まで透かしたい、しかし 歪まないような仕上がりに! 」
と青木から聞いていたため、加工にとりかかる前段階から 「 このようにすれば素材を傷めず、良い形に持っていくことができるのでは? 」 と様々なシミュレーションをし、加工に挑ませていただきました。
加熱型押しによって、『 パチカ 』 の半透明化を最大化させ、それに伴って生じる歪みを軽減させるために製作の過程では特に工夫を凝らして加工に臨んでおります。今までのコスモテックの 『 パチカ 』 加工の経験や叡智を結集して製作しました。
また、前衛的な仕様で難易度の高い加工でありながらも安心して加工に臨めたのは、グラフィックデザイナー 佐藤さまのデザインの力によるものでした。 紙と加工の特性をよく理解しデザインを組まれていることが図案から感じ取れ、感謝の気持ちでいっぱいになりました。
そして、クリエイティブ・ディレクターの島田さまによって組まれた、早い段階からプロトタイプを製作してデザインの微調整を行い、その後2023年の年末には量産させるというスケジューリングにも大変助けていただきました。
御朱印は一枚一枚、コスモテックの加工現場で手作業で加熱型押しを施し、半透明化させております。「 しっかりとした半透明化を 」 「 とにかく加熱型押し後の歪み・たわみを少なく 」 を念頭に入れ、加工にとりかかる前の具合出し( 調整 )の段階からきっちり時間を掛けて仕上がりを最高のコンディションまで持っていけるよう努めました。
◉ 完成形を見て感動
コスモテックで加熱型押しし納品した後に、高嶺神社で上の写真のように朱色の印と墨文字を入れています。コスモテックの現場で加工の真っ只中にいた時は最終的な仕上がり( ※ )が一体どのようになるのか分かりませんでしたが、完成形の写真を共有いただき、納得の美しい仕上がりに大きな感動を得ることができました。
※ デザインについて
ロゴのテキストは佐藤さんご自身が隷書体( れいしょたい )で描き、その後 細部にわたって調整を加え制作されたとのことです。家庭円満を願う高嶺神社をシンボライズし、なんと御朱印の印面もオリジナルデザインなのだそうです!( ちなみに御朱印の墨文字は高嶺神社で書かれたもの )
光にかざすことでしっかりと透け感を実感することができるのはもちろん、透けた御朱印の雰囲気が神聖で神々しく、景色やシーンに溶け込む・馴染む印象も受けました( 上の Instagram 動画は佐藤さんの投稿。仕上がりの透け感を動画から見て取れる )
クリエイティブ・ディレクターの島田さん、グラフィックデザイナーの佐藤さん、今回 大切なお仕事で 「 ここぞ! 」 という加工をお任せいただき本当にありがとうございました!
後日談
納品後に島田さんから、今回コスモテックに 『 パチカ 』 への加工をご依頼くださった経緯について伺いました。
実はこちらの御朱印、コスモテックにご依頼くださる前にすでに取引のあった印刷会社に見積もり・校正( 試作 )依頼をされていたそうです。しかし、校正を送ってもらったところ、 『 パチカ 』 の最大の売りである透け感が出ない、歪みが起きるという事態が起きていたそうです。そのため急遽、佐藤さんからコスモテックをご紹介いただいたとのこと。
島田さん 「 コスモテックさんから校正を送っていただいた時、その美しさに驚きました。 」
コスモテックではこれまでに、簡単なものから難解なものまで実に1,000図案以上の 『 パチカ 』 への加工実績があります! 独自の加工ノウハウも蓄積しておりますので 「 ちょっと難しいかな… 」 と思うものでも、ご一緒に理想に近づくための加工方法を考えさせていただきます。ぜひ一度ご相談くださいませ。
【 連絡先 】
ようこそ!行列のできる『箔押し印刷工房』へ
➡ http://blog.livedoor.jp/cosmotech_no1/
有限会社コスモテック 青木政憲
〒174-0041 東京都板橋区舟渡2-3-9
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