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「『 広告 Vol.416 特集:虚実 』 デボス加工 」

こんにちは、現場の前田です。

今回加工でお手伝いさせていただいたのは、大手広告代理店 博報堂が発行する雑誌 『 広告 』、Vol.416 特集:虚実 のデボス( 型押し )加工です。

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2019年7月にリニューアル創刊され、「 いいものをつくる、とは何か? 」 という全体のテーマがどん! と据えられており、リニューアル以降、私にとって、とても気になる雑誌です。リニューアル以降発売された Vol.413 特集:価値 〜 Vol.415 特集:流通 まで全て愛読しております。


私にとって、もともと気になって購読していた雑誌ということもあり、今回お声がけいただき、加工のお手伝いさせていただけたことは本当に光栄な出来事でした。


◎ 話は突然やってきた!

株式会社アイワードのプリンティングディレクター浦 有輝さま、有限会社篠原紙工の篠原 慶丞さまより加工のご依頼をいただきました。前振りなしのご依頼だったため驚きましたが、私とコスモテックを信頼して頼っていただけて嬉しかったです。

今回は、製本された状態の表紙にタイトルをデボス加工( 型押し )するというものでした。表紙も黒、側面の3方の断面にも黒で着色され、雑誌全体は黒色で統一された独特な雰囲気を醸し出しています。

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◎ すさまじい雑誌の山・山・山

製本された状態の雑誌、約1万部ちかくの加工。
コスモテックの現場はあっという間に黒い塊の雑誌と茶色の塊の山( 加工前の梱包された状態 )がひしめき合った状態になりました。

すし詰め状態とはまさにこのことです。

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茶色の塊の山が合計10~15パレットもある大ボリューム


茶色のクラフト紙をまずは開梱し、一冊一冊全て手作業で、箔押し加工する機械と同じ機械で型押し加工していきます。押しては積み上げ、押しては積み上げ、加工された雑誌はみるみる黒い山へとなっていきます。

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押しては積み、押しては積みを繰り返していく…

◎ シンプル、しかし難しい表現

加工は表紙に文字をデボス( 型押し )するというシンプルな加工。
実はこの加工、もともとはコスモテックで行う予定ではありませんでした。
そのため本番加工時、すでに別業者さまで行った校正に押し具合を合わせること、そして合わせる感覚が必要( 下記 ※1 )となります。

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雑誌の左上に文字が見えるでしょうか
この小さな面積を加工するのもなかなか至難の業なのです


今回この押し具合を合わせるという調整が特に難しい作業で、デボス( 型押し )の凹み具合や文字の見え方を、別業者さまで行った校正時のものに近づけるため、圧加減や温度など手探りで押し具合を合わせなくてはなりません。

※1 別業者さまで行った校正は表紙のみの平らな状態、今回コスモテックで行った本番の加工は製本された状態で行いました。加工時のコンディションが異なるだけでも、加工の再現性は変わってしまいます。


いざ、本番加工してみると、なかなかうまくいきません。
その時、篠原紙工の篠原さまから 「 加工の際、熱の温度を限界まで高くするとどうかな? 」( 型押し時に、熱を使いつつ、且つ高温で加工 ) とご提案をいただき、やってみると文字の見え方が校正のものにグッと近づきました!

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校正時の設定通りに押してしまうと、校正のような仕上がりにならず
本番時、土壇場で、短い時間の中、試行錯誤しました


雑誌の表紙にはPP加工がされているため、高温の版で押すとPPが熱で溶けて押した部分が薄っすらと白くなり、文字が読みやすくなりました。

そこから更に 「 より校正時の仕上がりに近づけられないだろうか? 」 といろいろ試してみました。すると、雑誌と加工で使用する金属版の間に特殊な和紙のロールを通して加工することで、更に文字の見え方を校正時の仕上がりに近づけることができました( ※2 )

※2 表紙はつやつやのPP加工が施されており、和紙のざらざら感を生かして型押しすることで 『 グロスとマットの質感の違い 』 を生み出しました。質感の対比により可読性を底上げする試みです。

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表紙にさりげなく、ポン!と押されたタイトルは、加工自体は大変シンプルですが、実はこのように様々な工夫、そして 「 どうにかしてお客さまの求めるものに近づけたい! 」 という思いがぎゅっと詰まっています。

浦さま( アイワード )、篠原さま( 篠原紙工 )、この度はお声がけくださいましてありがとうございました!  今回、製作のお手伝いをさせていただき、雑誌 『 広告 』 のテーマでもある 「 いいものをつくる、とは何か? 」 を、まさに身をもって体験させていただきました。


コスモテック 青木より
紆余曲折を経て、今回 前田瑠璃(コスモテック)がデボス加工で製作のお手伝いをさせていただきました。クラフト紙で梱包された雑誌 『 広告 』 を開梱し、前田が一冊一冊を慎重に押しては積み、押しては積みを繰り返しました。

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デボス加工を終え、整然と積み上げられた 雑誌 『 広告 』


雑誌表面の傷つき易さにも配慮し、丁寧に、ゆっくりとデボス加工を施しています。そして加工を終えたものから再びクラフト紙に包み込み、傷がつかぬよう気を配って作業しました。

今回のデボス加工の面積は非常に小さいものであり、一見すると 「 むずかしい加工ではないだろう 」 と思うかもしれませんが、加工で取り扱うものの状態・形態によって、いかに面積が小さくとも加工の難易度は上がることがあるということを改めて感じました。

この雑誌が多くの人の手を介して丁寧に制作されている雑誌ということは 『 広告 』 の奥付からも見て取れます。『 広告 』、Vol.416 特集:虚実 、ぜひ多くの方に手に取っていただきたいと願っています!


【 箔押し加工 】

有限会社コスモテック 現場リーダー 前田瑠璃
〒174-0041 東京都板橋区舟渡2-3-9
TEL:03-5916-8360 / FAX:03-5916-8362

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