「【 続 】 みぞのくち醸造所 『 ノクチビアーズ 』 」
コスモテックの青木です。
「 みぞのくち醸造所 『 ノクチビアーズ 』 」 の続報です。
この春、コスモテックで印刷加工のお手伝いをさせていただいたビールラベル3種の製作過程については下記の記事をご覧ください。
2022年5月2日(月)にオープンしましたクラフトビールの醸造所 『 みぞのくち醸造所 』 ( 場所:溝の口(神奈川県)の複合施設 BOIL ) 、そしてラベル製作でお手伝いさせていただいた3種のクラフトビールは大好評のようです! ラベル製作に携わった者として大変うれしく思います。
『 みぞのくち醸造所 』 は、Twitter をはじめとした SNS上で話題にあがることが非常に多く、中には 「 コスモテックがラベル製作に関わっているのか! 近いし、今度行ってみよう! 」 と投稿して下さる方もいらっしゃり、僕はパソコンの画面越しにガッツポーズしています。
皆さま、本当にありがとうございます!
haconiwa さんにも 『 みぞのくち醸造所 』 が、どどん!と記事に取り上げられております。そして、今回の続報に関することも、実はすでにチラッと掲載されているのです…!
内容盛りだくさんなので、ぜひ下記のリンクからご覧ください。
続報! 新たなビールラベル2種類製作!
さて、前回のビールラベル3種に続いて、今回新たなビール2種類をリリースされるそうです。今回も大変光栄なことにコスモテックへ再度ラベル製作のお声をかけていただきました。
新しく登場するのは、上の haconiwa さんの記事内にも登場する フラッグシップビールでもある 「 ウタウト 」 と 「 ワラウト 」 です。 ラベルの制作は前回のビールラベル3種と同様に、アートディレクター / デザイナーの 野田久美子さま、プロジェクトマネージャーの金田ひかりさまとご一緒に制作に挑ませていただきました。
ビール名の 「 ウタウト 」 「 ワラウト 」 のとおり、「 ウタウト 」 には二人で肩を組んで楽しそうに唄を歌うイラストが、 「 ワラウト 」 には天を仰いで 「 わっはっは! 」 と満面の笑顔で笑うイラストが描かれています。どちらも楽しそうな雰囲気がまっすぐ伝わってきます。
イラストを見るだけで、なんだか元気な気持ちが湧いてくるようです。
( イラストは norahi さまによるものです )
ラベル製作前の微調整とラベル設計
上の画像はアートディレクター / デザイナーの野田久美子さまとデザインデータのやりとりをした時のものです。C版とM版の部分は印刷時に特色( PANTONE )に置き換えて印刷し、K版の部分は箔押しで表現します。
ラベルの仕上がりをイメージしつつ、細部にわたりテコ入れを行います。
以前製作のお手伝いをさせていただいたビールラベル3種は特色4色の掛け合わせで印刷を行いました。 今回の 「 ウタウト 」 「 ワラウト 」 ラベルは特色2色の掛け合わせ、そして箔押し加工で魅せるラベルなのです。
また、ビールラベルの材質は前回同様として、シリーズ全体に統一感を持たせつつ、耐水性も特に考慮に入れたユポタックを使用し、表面加工にはつやつやのPP加工を施す設計となっております。
こちら( 下記 )は、特色2色でユポタックに印刷した時の状態です。
デザインデータの時はC版・M版でしたが、特色の掛け合わせ表現で印刷するとデータ上と実物とでは印象が異なって見えます。
「 ウタウト 」 ラベルの特色2色印刷の掛け合わせ
印刷した 「 ウタウト 」 ラベルには下記の銅製の金属版を用いて、箔押し加工します。上の印刷した部分に箔押しがかぶさります。箔はキウイグリーンの箔色を使用します。
「 ウタウト 」 ラベルの箔押し加工で使用する金属版
下の写真は「 ワラウト 」 ラベルの刷り出しです。
今回 「 ウタウト 」 「 ワラウト 」 ラベルともに、印刷・箔押し加工をした後、その上からラベル全面につやつやのPP加工をします。
今回のラベルの印刷加工の工程順としては、 ① 印刷→箔押し加工→PP加工 と ② 印刷→PP加工→箔押し加工 の2パターンが考えられました。今回は、ビール瓶の結露に対する耐水性を考慮に入れつつ、箔押しの耐摩性( 箔押しは強い摩擦に弱く、箔が擦れる可能性がある )も同時に考え、① の工程順を採用しました( ※ )
※ 図案、ラベル素材、印刷色、箔押しの色などの組み合わせによっては ② が最適な工程順となることもあり、ラベルの用途などによって使い分けます。
「 ワラウト 」 ラベルの特色2色印刷の掛け合わせ
下の写真は図案と箔押し加工で使用する金属版を並べて撮影しました。
「 こうして見ると、どこか生っぽく、物質感がありますよね。 」
箔押し加工した上にPP加工をするので、箔押し加工時の圧加減はあまり強すぎないよう注意を払っております。 圧が強いと土台であるユポタックに段差が生じてしまい、その上からPP加工した時に気泡が入り易くなってしまうからです。箔押し加工の上にPP加工などの表面加工をする場合は、素材の平滑性は大事なポイントとなります。
「 ワラウト 」 ラベルの箔押し加工で使用する金属版
箔はメタリックグリーンの箔色で図版を表現
野田久美子さまより メッセージ
今回印刷をお願いしたビールは、その季節の旬の素材を活かしたり、実験的なビールを年に4回ほどリリースする、『 みぞのくち醸造所 』 のフラグシップブランドのビールです。
その 「 特別感 」 を演出するため、今回はシールに箔押しの使用を採用。ただし、箔押し版だけ初回の版を流用できるデザインにし、毎回特色印刷と箔の色を変えることで、フラグシップブランドである特別さを演出しつつも、変化する味にデザインが対応できるような仕組みになっています。
「 ウタウト 」
桃をふんだんに使ったビールには、「 2色のピンクの特色 」 に、 「 黄緑色の箔 」 で甘さの中にも爽やかさを。
「 ワラウト 」
信じられないほど大量のホップを使ったというビールには、ホップの緑色を 「 特色の緑 」 と 「 緑色の箔 」 、質感の異なる緑で表現し、味の奥深さを。
例え同じイラスト・印刷仕様でも、インクと箔の色味をそれぞれの味に合わせて吟味することで、商品を手に取るお客様が、季節ごとのリリースを楽しみにしていただけるようなデザインにしました。
制作過程の阿吽の呼吸
制作過程におけるアートディレクター / デザイナーの野田久美子さまとプロジェクトマネージャーの金田ひかりさまとのデザイン・仕様・スケジュール等のやり取りは、お二人とも展開を先読みして行動してくださるので進行が非常にスムーズでした。
アートディレクター / デザイナーの野田久美子さまからのコメント
手書きのコメントってうれしいですね。
このようなちょっとした気配りも制作過程の中で度々いただきました。
「 しっかり最終形まで落とし込まなくちゃ! 」 という気持ちになり、印刷加工の現場の職人も背中をとん! と後押ししていただいているような気持ちになった様子でした。
制作過程の中では、知識・印刷加工 技術だけではない、このような思いのやりとりもされています。チームの気持ちが一丸となって、より良い形を目指してゴールへ向かっていく感覚がありました。
上の写真中段にあるのは、アートディレクター / デザイナーの野田久美子さまが準備してくださった、出力イメージに PANTONE の色・箔色の色見本を貼り付けていただいたものです。
現場への指示書ではこの準備を僕が行うことが多いのですが、今回は野田さまお手製の指示書とそれに書き添えられたメッセージをまるごと印刷加工の現場への作業指示書として使わせていただいております。
デザイナーや作り手のまっすぐなご意見やメッセージをそのまま印刷加工の現場で加工に従事する者へダイレクトに伝える、伝わるということも非常に大切だと思っております。このちょっとした気持ちのやり取りが、チームの気持ちをまとめ、より良い仕上がりへ導いてくれるような気がします。
『 みぞのくち醸造所 』 の新しいビール 「 ウタウト 」 「 ワラウト 」 は、溝の口(神奈川県)の複合施設 BOILでお求めいただけます。 ぜひ陽気に笑い合い、歌い合いながら味わってみてはいかがでしょうか。
【 連絡先 】
ようこそ!行列のできる『箔押し印刷工房』へ
➡ http://blog.livedoor.jp/cosmotech_no1/
有限会社コスモテック 青木政憲
〒174-0041 東京都板橋区舟渡2-3-9
TEL:03-5916-8360 / FAX:03-5916-8362