「紙の博物館 70周年記念レッテルラベル」
こんにちは、現場の前田です。
今回は、今年( 2020年 )の6月、70周年を迎えると同時に3月17日 リニューアルオープンする 公益財団法人 紙の博物館さま からお声がけいただき、光栄なことに70周年記念レッテルラベルのデザインと加工をお手伝いさせていただきました。
紙の博物館さまは1950年に発足後、半世紀を超える歴史があり、和紙、洋紙問わずさまざまな資料を保存、展示されている、世界有数の紙専門のユニークな博物館です。紙とは何か、その歴史や紙の製造方法など多彩な展示物から紙に関して学ぶことができます。
■ 印刷加工の結晶のような仕様
今回のレッテルラベルのデザインは、私 前田が任せて頂くことになりました。記念すべき70周年、今後も多くの方に足を運んでいただき、紙のことを知っていただきたいという願いを込めて、縁起の良い八角形の形にしています。
コーポレートカラーの青を基調に活版印刷2色、箔押し3色、エンボス加工、型抜き加工の7つの印刷加工てんこ盛りの豪華仕様のレッテルラベルです。
紙専門の博物館ですので、土台の素材は「 やはり紙の質感が感じられるものを! 」と1層目( 下層部 )には上質タック90kg、2層目( 上層部 )は和紙コットンと2種の紙を貼り合わせ、紙の風合いを感じられる厚みのあるフカフカの土台にしています。
1工程目は…
特色青の活版印刷で土台の和紙コットンを活かし、あえて少し擦れたように印刷しています。その上に、銀消し24号箔で「 70 」の文字を囲んでいる紙のリボン柄を箔押ししています。
当初は銀刷りの活版印刷を予定していましたが、実際印刷してみると、銀の色味が青の色に沈んで暗い色になってしまったため、銀消し箔押しに変更しました。
2工程目は…
落款と「 70 」の文字の背後のストライプのテクスチャーは、当初、圧強めの型押し加工のみで表現する予定でした。しかし、あまりにも目立たなかったため、圧強めの銀色の活版印刷に変更しました。
銀色の活版印刷はあまり主張しすぎないよう、元々予定してた型押し加工のイメージに近づくよう、インクの絞りを強くして線がシャープに出るように調整しております。
その後、「 70 」の文字を上下に挟む文字をP-7白箔で箔押ししています。実はこちらも、当初は白色の活版印刷を予定していましたが、色味が沈んでしまったため、急きょ白箔押しに変更しています。
自分の予想と実際の印刷加工の相性・出来栄えのギャップに驚き、改めてデザインと印刷加工を思い通りにマッチさせることの難しさを痛感しました。
3工程目は…
まず、「 70 」の文字とラベルの縁のギザギザ部分を華やかな金箔で箔押し加工。校正時は6号金、7号金、26号金という色味の異なる3種類の金箔を試し、最終的に7号金と26号金の中間の明るさの6号金を選択。
その後、6号金で押した「 70 」の文字の部分だけをエンボス加工し、最後に変形腐食型で抜き加工をおこない完成です。
エンボス加工はなるべく高く盛り上げて立体感を、という思いがありましたが、盛り上げすぎてしまうと紙が破れてしまうため、破れる手前ギリギリの盛り上げを目指し加工をしています。
また、経年変化した古い紙の端っこをイメージしたギザギザのフチの部分は形状が複雑なため、腐食型を使用して型抜き加工をおこなっています。
見た目はシンプルに見えますが、実は加工内容はかなり盛りに盛られた仕様、さまざま加工によって、立体感・存在感をもたせ、見て・触れて、紙の加工も感じていただけるよう製作いたしました。
■ 現場ならではの即興で
今回の加工では、自分が当初想定していた仕様を思ったように表現ができないというアクシデントがありました。
しかし、そこからどうすればより理想に近づけるのか、良くなるのかを考え、即興で新たな仕様に変更することで、思い描いていたものに近い、良いレッテルラベルが完成できたと感じています。
「 紙好きの方はもちろん、紙のことをよく知らない方も是非、リニューアルオープンされる紙の博物館に足を運んでみてはいかがでしょうか!? 」
紙の博物館さま、この度は70周年おめでとうございます!
このような記念すべきレッテルラベルのデザインから加工までお手伝いさせていただき、誠にありがとうございました!
【 箔押し加工 】
有限会社コスモテック 現場リーダー 前田瑠璃
〒174-0041 東京都板橋区舟渡2-3-9
TEL:03-5916-8360 / FAX:03-5916-8362
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