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紅の花

今日5月26日から七十二候の
「紅花栄(べにばなさかう)」に入るそうだ。

文字通り、紅の花が咲き誇る頃になったということ。
この紅花は日本人にはなじみが深い花で、
紅花は咲き始めは黄色い花だけど、次第に赤くなる。
紅の染料になることでも知られている。

「紅」という字は「くれない」とも読むが、
これは「呉藍(くれあい)」が音変化したもの。
古の中国との交易によって伝えられたものだからそうだ。
でも、紅は赤色なのに、藍は藍色(インディゴ)だ。
なぜだろう?
藍は秋に薄紅色の小花を付けるからなのかもしれない。

ともかく、だから、べに色はくれない色ともいう。
日本に伝わったのは飛鳥時代、万葉集にも詠われ、
すでに万葉の時代から日本の言葉にもなっていた。
古くは高価で、望んでも得られない貴重な色だった。

時代を経ても「紅」には特別な心情的思いがある。
「紅」という字が入る言葉は日本語の中にたくさん
あることを知っていると思う。

「口紅」「頬紅」「紅涙」「真紅(深紅)」・・・
その多くは女性に関わる言葉だ。
「紅一点」などはそのまま「紅」は女性を表した。

本読んでいて「紅をさす」という表現に触れたとき
その情景を想像してどきどきした少年時代を
経験した人も少なくはないと思う。(僕だけ?)

そんなこともあって紅花の花言葉は
「化粧」「装い」「包容力」というらしい。
日本人にとって赤色の中でも最もなじみが深く
赤らしい赤が「紅」と言えるかもしれない。

「紅」は単に色彩表現をも超えてきた。
心に大切に秘めても外に現れてしまう心情や、
胸に深く沁み入る思いも表している。
こういう言葉は大切にしたいものです。


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