くらやみの底
地面が曇り その底には病んだ人間がいた
蒼天の光のもとで 地面は暗闇そのものだった
病んだ人間は暗闇では見えない
地面の底には 誰もいないも同然の存在だった
蒼天の光で 膨れ上がった緑が
迫ってくるほど 山々を近づける
季節は初夏になろうとしているときに
病床に横たわる人間をまたない
憐れも 同情することもなく
摂理は容赦なく 蒼天にも地面にもあらわれる
畏しい法則のなかで 地面の底から
生き抜くことを強いられた
きびしい地面の底のどこかに
膨らんだ緑のような意思が萌えていた
蒼天の光のもとで 生き抜く
地面の底から 暗闇を抜け出していく
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