時間の引力
電車が傾いた
うとうと右に体を傾けたからではない
ゆるい円弧のカーブを
電車は曲がろうとしていた
人生がまっすぐなんてあり得ない
たいていは蛇行しているもんだ
もしも 弓のように
しなやかになっているなら
ぼくは身を委ねてゆるく曲がるだろう
蛇行しているときは
たいていは悩みを抱いている
でも人生は蛇行しながらでも進んでいく
まっすぐなときは時間を感じない
時間の引力を感じるときほど
人生は深く刻まれる
引力の痛みも重みも振り返って思うもの
紅葉し始めた時間が今は
ゆっくり進むことを勧める
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