雨の後先

雨は足跡がわかるように
道をやわらかくする

雨はその足跡も消していく
人が住んだ形跡も 
人が切り開いた道も 
田畠も
容赦なく消していく
雨に抗うすべもない

雨がやさしいのはいつの話だったか
雨が豹変した顔を見せるとき
脆くも崩れた営み 
飲み込まれた願い

やさしい調の雨はどこに行ったのか
とどまらないで逃げていった
その先にあるのか

歩いた足跡も
暮らしを営んだ形跡も
なければ生きていけない

残せよ
刻めよ
人が人で生きるために

ぼくらは失敗してきたから
これからも失敗するから
生きていかねばならない

痕跡をそこに残しながら


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