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人生のある一時

人生のある一時
世間的には青春と呼ばれる期間
何をしても若いと
何をしても青いと
言われ続けて
やりきれない思いが抜けなかった

あの少女も
この若者も
どこかで言われているのだろうか
正論をどこかに隠して
理不尽さに屈しているのだろうか
やさしさを飲み込んで
ボランティアに精を出しているのだろうか

彼女よりも
余裕のあるはずのオトナは
彼よりもずっと
影響力を及ぼせる立場のオトナは
武装した言葉を操りながら
それを見ている
非難さえすることもある

人生のある一時
何をするにもどこか飢餓感があった
渇いた喉を潤すものを探していた
その時に得られなかったものを
得た安堵感からか
オトナはぶくぶく太りだした
そして飢餓感の先にある
未来を見なくなった

青春という電車の向かう先は
どこだったのだろう
あの少女も
この若者も
行く先が希望もない未来だと
わかっていたなら
乗ることはなかったろう
オトナになることを
拒否していたかもしれない

渇いた胸の内を
今も持ち続けているオトナもいる
充たされない感情の中で
揺れ動きながら
まっすぐ行く先を見つめている
青春という電車の動力は
乗車した少女や若者の思いだ
誰も動力を与えてはくれない

人生のある一時は
何も決まっていない時間
それは今も昔も変わっていない


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