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「Dahlの簡約版が楽しめるPenguin Readers」~英語多読のための読書ガイド [多読用リーダー]~

英語学習誌『多聴多読マガジン』連載記事「多読のための読書ガイド」からのスピンアウト! 多読のプロたちによるおすすめの良書(英語の本)を紹介するコーナーです。



GR/LR編 ~2024年08月号~

執筆:古川昭夫(SEG英語多読教室主宰)

GR = Graded Readers: 外国人の英語学習者向けに語彙制限されたリーダー
LR = Leveled Readers: 英語圏に住むネイティブの子ども向け学習リーダー


Dahlの簡約版が楽しめるPenguin Readers

Penguin Readersは、Penguin Random House UKが発行する8段階の段階別読み物(Graded Readers: GR)です。

大手の出版社が発行している強みを活かし、古典から現代作品まで人気作品が多数出版されています。

朗読音声は公式サイトから入手可能です(音声DLには、パスコードの入力が必要)。

新刊を積極的に出版している数少ないGRシリーズで、現在163タイトルが刊行されています。

大手洋書店やインターネット書店で購入できます。

今号では、Penguin Readersのサブシリーズとして誕生したRoald Dahl ReadersからBilly and the MinpinsRevolting Rhymesの2冊を紹介します。

Roald Dahlは、Charlie and the Chocolate Factory で知られるイギリスの著名な児童文学作家です。

作品の多くが映画化もされているのでご存じの方も多いでしょう。このリーダーには、The BFGJames and the Giant PeachMatildaThe Witchesなど主要作品すべてが収録されています。

予測不可能な展開と風変わりなキャラクター、くすりと笑えるユーモアは簡約版でも楽しめます。

(1)『Billy and the Minpins』 (Penguin Readers Level 1)

YL 1.4
著者 Roald Dahl
出版社 Penguin Random House
総語数 1,933 語

少年Billyは、大きな森の近くに住んでいました。母親は、「森には絶対行っては駄目。

人を食うモンスターがいて、戻って来た人はいないんだから」といつも言っていました。

「モンスターなんているわけない」と思ったBillyは、ある日窓から抜け出し、森に向かいます。

実際、森に入ってみると動物の声が全く聞こえません。

やはり、モンスターが住んでいるのでしょうか?


(2)『Revolting Rhymes』 (Penguin Readers Level 2)

YL 2.4 
著者 Roald Dahl
出版社 Penguin Random House
総語数 3,837 語

rhymesというと、韻、韻文、詩を意味しますが、ここでは、nursery rhyme=「童謡、童話」を意味しています。

ジャックと豆の木、うさぎとカメなどの有名童話を、Dahlがパロディ化した6話が掲載されています。

例えば、「うさぎとカメ」の話は、両方がインチキをして勝とうとネズミに大金を払って工作し、双方が罠にハマって途中でレースを棄権し、ネズミだけが儲けるという話に作り変えられています。


『多聴多読マガジン8月号』明日、発売!

特集は「ミステリーを英語で読むための4ステップ大作戦」

犯人は誰だ!? 結末が気になるミステリーは最後まで読み通す強い動機づけになり、多読におすすめです。

多読継続のために、そしてミステリーファンのために、4段階の無理のない読み進め方を提案します。

最初は英語学習者向けに語彙制限されたリーダーからスタートし、児童書、シャーロック・ホームズものやアガサ・クリスティーの名作、綾辻行人や東野圭吾の英訳本とステップアップ。

さらに、まだ翻訳されていない作品にも、癖がなくてすらすら読みやすく、とびきり面白い本があります。最後はそんな旬のミステリーの世界にご案内します。

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