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ことばの魔力

Xでは文化祭編が進行中です。

はじめてこの記事に辿りついた方はまずはこちらからお読みください。

今週はことばについて考えさせられるシーンが多かったのでことばについて書いてみたいと思います。

松尾くんの所属するコンピュータ部の展示を見るシーンです。

松尾くんの発明した対話型人工知能はお互いに会話を重ねるうちに人間でも理解できない独自の言語で会話をはじめます。

こういったことは実際にありえる話なのでしょうか。

この記事を見ると2017年の時点ですでにFacebook社(現Meta社)で人工知能同士が独自の言語で話をすることが記事になっています。

人工知能同士が独自に生み出した言語を人間が逆に勉強する。

藤井聡太棋士のようにコンピュータとの対戦が当たり前の世代が磨いた感性が上の世代を凌駕しているのをみると、そんな時代がきてもおかしくないと思わせます。

それでは、コンピュータでも生み出せない人間にしか生み出せないことばっていうのはあるのでしょうか。

わたしはすぐに現代詩を思いつきました。

文体やストーリーなど構造を持つことばは大量のデータを分析することで模倣される可能性がありますが、詩については論理を飛躍したイメージの連鎖や時代の感性とのマッチによる独特のことばの選定が必要なのでなかなか難しいのではないかなと。

この記事ではコンピュータに詩作をおこなせる実験について書かれています。

後半の歌詞を生み出されるくだりはおもしろいですね。

詩を書いていて意図しない方向に言葉が向いた瞬間に、その言葉に他者が触った跡のようなものが見える気がするときがあります。その際に誰かが確かにこの世界にいるんだって実感できるんです。昔からその瞬間がとても好きで、それがあるから他者と話さなくても平気でした。

第7回 永井玲衣さん(哲学研究者)が、最果タヒさん(詩人)に会いに行く


最果タヒさんのインタビューからの引用ですが、詩人に降りてくる言葉は論理的に生み出した言葉ではなく、本人の意図とは関係なく、降りてきたことばを追いかけているうちにことばそのものの中に他者の存在を感じる。

きわめて詩的な感覚ですが、そんな風に読めました。

「死んでしまう系のぼくらに」

「きみの言い訳は最高芸術」

「夜空はいつでも最高密度の青色だ」

最果タヒさんの詩集のタイトルですが、難しいことばは何ひとつ使われていないのに自分では生み出せないと感じさせるセンテンス

そして、読んでみたくなる不思議な魔力

ことばによって、人は喜んだり悲しだりします。

政治的なことば、文学的なことば、芸術的なことば、官僚的なことば、学校のことば、宗教のことば、恋愛のことば

ことばにもたくさんのことばがあり、わたしたちはそれに一喜一憂しながら毎日生きています。

そして、ある日、ことばの持つ魅力に取りつかれた人がこうやってnoteで自らのことばを発するようになります。

Xでも引用したようにジークムント・フロイトはその生涯を精神分析の解明にかけましたが、人間の精神の状態をさぐる鍵もやはり、ことばでした。

退治した患者が発することばを分析し、シャーロック・ホームズのようにその患者の深層心理に隠れている鍵を発見していく

人工知能が魅力的なことばを生み出すことができるようになるのかどうかはわかりませんが、美しいことばをつむぐ詩人がいる限り、わたしはやっぱりことばの魔力に取り憑かれたままなんだろうなと思います。

きょうはここまで

みなさまと一緒にワクワクしながら、この不思議な旅を楽しんでいきたいと思います。


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