キレイゴト

虹の根元を見た。

早朝、急に降ってきた雨に濡れながら歩いていると強く太陽が射してきた。

鬱蒼と重たい空気をまとう方と天国みたいな光が溢れる方が混在している空が、私の心の中みたいだなぁと思った。

ちょうど、太陽が顔を出し始めた時

「今日が良い1日になりますように」って独り言を呟いた数秒後、空を跨ぐ虹を見た。

ニヤニヤしてしまう。近くでジョギング中に立ち止まって虹を撮影してる人に挨拶なんかしてみる。

(絶対に良いことある!)

確信して、すべてうまくいきそうな気がしてくる。相変わらず単純な私。


「あ、虹だ」

「見て見て虹が出てる」

「ほら、見てあそこに虹ありますよ」

見ず知らずの人同士が虹を見て笑いあってるのを何度も見た。人間は誰かと喜びを分かち合いたいみたい。

たぶん喜びだけじゃなくて、本当はみんな自分の感情を分かち合いたい。

強がったり見栄を張ったり平気な顔をしたりしていても、心の底では感情を晒したり、自身を理解して欲しいというのはきっと無くならないんだろうな。

自覚なく過ごしてる。自覚しようとしなくなってる。自覚するのを拒否してる。きっと今の人間たち。

うーん。安心したいはずなのに。

世の中の流れが早すぎて、追いつけない自分に負い目を感じる。

何をそんなに急いでいるんだろう。いつからこんな風になってるんだっけ。

なんでも先回りばかりしてる。みんな当然のように振る舞って日々を過ごしているし、馴染んでいそうだから、自分だけ追いつけてないですなんて言えない。言わない。

本当に大切なことはスピードや知識やお金じゃないのはわかっているのに。

それらを持っていないと変わり者。同じように扱われない。闘えない。

でも、それらを全部ひっぺがした後に残るモノの方がとてつもなく重要なんじゃないのかな。

この先、きっとこちらが必要になってくる。

私にちゃんとその「モノ」は、心は在るだろうか。

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