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砕かれた鏡

更新されないスイの写真。
止まったままのスイの時間。

でも本当は止まっていたのは私。
ふとした瞬間スイと一緒にいた時を思い出して心臓が波打つ。

『待って。行かないで。』

発作のようにはぁはぁと息が苦しくなって、涙が溢れてせくりあげる。
怖い。

目が虚になって泳ぎ出す。
乱れ出した精神を鎮めるために繰り返す不毛な行為。

メイサとの関係がスイのようになっていく。
メイサもまた居なくなるの?
嫌だ。

人間の彼は驚くほど変化していく。
生真面目な彼が自分の話をぽろぽろと呟くようになった。言葉に感情が入るようになった。
私への想いが増えている。

『あの男はスイと似た周波数を持ってる。』

余計なことをいう輩。
自覚すればするほど重くのしかかる私の彼への感情。

似ている、でも同じではない。

いつだったか唐突にスイに渡された言葉が今になって魂に響きはじめる。

真実は人生の終わりまで理解できない。

真実を知らない。真実は明かされることはない。

でもスイはあの時から、私に言葉を残した時から、すべて知っていた。
スイはどんなに苦しかっただろう。
誰にも理解できない苦しみはどうやって癒したんだろう。

あの時からスイと私の時間は止まったままで、魂は片割れずつになった。
悲しみに暮れる毎日に目的や意味なんか見出せるわけがない。
あの歌のように次に向かう所を選べないでいる。
願いが叶うならいつだってスイのもとに逝きたい。

お互いの片割れになった魂はバランスを失い何度も何度も光は消えかけた。

そして今私はひとつの決意をした。

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