あなたは間違ったアプローチをしていませんか?
こんにちは!
こしあんです。
会社などで何か行動を起こそうとしたとき、1人でやれることには限界がありますよね。
例えば、上司になんとか動いてほしいと考えたとき、どうやってアプローチしたらいいのかよくわからなかったりします。
情に訴えたほうがいいのか、それとも利益を示したらいいのか?
「よし分かった!」と言わせるにはどうしたらいいのでしょうか。
人が動くとき、どんな心理が働いているのか。
今回は、人を動かすときのアプローチについて話していきます。
会社での労働改善に携わる、何百人もの管理職と従業員を対象にした研究があります。
改善の試みが成功した場合と、失敗した場合を比較したとき、なにがそれを左右したのかを調査したものです。
改善の試みがされたとき、そこに表された感情の度合いや、比喩の方法、論理的な論議の展開、関係者への働きかけ、改善をチャンスとするか脅威とするか、といった要素において意外にも違いはなかったそうです。
では、一体何が要因となっていたのか?
実は、成功した場合と失敗した場合で異なっていたのは「切迫感」だったそうです。
頭の固い管理職に重い腰を上げてもらい、時間と資金を投入してもらうよう説得するには、なぜ「今」やらなければならないのかを、明確に示さなければならなかったということです。
ハーバード大学教授のジョン・コッターは、大規模な変革を考えている100以上の企業を調査したところ、まず企業が冒す失敗は、切迫感を植え付けられないことだと言っています。
調査対象の50%以上の管理職が、「今すぐに」会社が変わらなければならないことを、十分に説明できていないことがわかりました。
「切迫感がなければ、従業員は必要な犠牲を払おうとせず、それどころか現状にしがみついて抵抗するだけだ」と言っています。
【見る視点によって変わる問題】
ただ、切迫感に訴えかけるだけでは、なかなか問題は解決しません。
その問題に対する考え方は、見る視点によって随分と変わってしまいます。
まず、そのことを理解する必要があります。
アメリカの心理学者で行動経済学者のダニエル・カーネマンとエイモス・トベルスキーが行なった研究で面白いものがあるので紹介します。
あなたは今、ある自動車メーカーの重役で資金繰りに悩んでいるとします。
経済的な問題から、3つの工場を閉鎖し、6000人の従業員を解雇しなければならない状況に陥っています。
あなたは、自分の中にある計画を実行しなければなりません。
計画には2つの選択肢があり、どちらか1つを選びます。
プランA――—3つの工場のうち、1つの工場と2000人の従業員を救うことができる。
プランB———3つすべての工場と6000人の従業員を救える可能性が3分の1ある。しかし、工場も従業員も全く救えない可能性が3分の2ある。
あなたはどちらを選びましたか?
大部分の人はプランAを選びます。
最初の調査では、80%の人がリスクを冒すのではなく、安全な計画を選んでいることがわかりました。
では、さらに質問です。
どちらか1つを選んでください。
プランA———3つのうち2つの工場と4000人の従業員が失われる。
プランB———3つすべての工場と6000人の従業員が失われる可能性が3分の2ある。しかし、すべての工場と従業員を救える可能性が3分の1ある。
答えは出ましたか?
さて、理論上はこの2つの選択肢は最初2つの選択肢と同じです。
でも、心理的には違って見えますよね。
2つ目のセットでは82%もの人がプランBを選びました。
つまり、好みが逆転したんです。
1つ目のケースでは、「得るものは何か」の視点で選択肢が構成されています。
プランAが好まれるのは、人は利益を視点にすると、リスクを回避したいという思いが出てくるためです。
得るものが何かしらある場合、それにしがみつき守りたいと人は考えます。
すべての従業員を失うリスクを冒すのではなく、確実に2000人の従業員を維持できるように安全策を取るというわけです。
次に2つ目のケースです。
ここでは、「確実に失うものは何か」が提示されています。
これが提示されると人は、この損失を回避するためにはどうしたらいいか必死に考え、なんでもしようとします。
たとえ、大きなリスクを冒すことになってもです。
つまり、どちらにせよ何千もの従業員が失われるのなら、「いっちょ、勝負してみるか!」と思い切った行動や賭けに出て、何も失わないことを祈るのです。
この研究から、利益ではなく、損失が強調されるように少し言い回しを変えれば、リスクの見方を変えられることがわかります。
これを踏まえたうえで、”どう他者に働きかければ行動に移してくれるのか”を考えるといいかもしれません。
カーネマンとトベルスキーは1979年に「プロスペクト理論」というものを発表しました。
これは、不確実性における意思決定モデルの1つであり、個人の選択によって得られる利益や損益とそれが生じる確率を踏まえて、個人がどのような選択をするかを記述し説明するためのモデルだそうです。
この説明では難しく感じますね。
簡単に言えば、この理論によると、「同じものであっても人にとっては得る時に感じる価値よりも、失う時に感じる価値のほうが大きくなり、何かが失われそうになると、それを失わずにすむ方法を選択する傾向がある」ということです。
ちなみに、この性質は「損失回避性」とも呼ばれています。
人によって感じる価値が違うのであれば、いつも「リスク」に訴えかける方法ではうまくいかない場合もあります。
実際、イェール大学のピーター・サロベイの見解では、「新しい行動を相手が安全なものと認識するか、リスクが伴うものと認識するかによる」と言っています。
つまり、相手の認識によってアプローチを変えなければならないということです。
行動が安全だと相手が思っているなら、行動によって生じるすべての良いことを強調していけばいいということです。
「今これをすれば、確実に利益があります!」とか「今動けば、1歩リードできます!」といった、”動くことによって利益を生む”ということを強調していけばいいのではないでしょうか。
そういった利益を得るために、相手は行動を起こす可能性があります。
逆に、行動にはリスクが伴うと考えている場合はどうでしょうか。
いくらいいところを強調しても、うまくいかないかもしれません。
相手はすでに現状に満足しているため、変えることの利益を示されても魅力を感じないというわけです。
安全地帯にいるのに、わざわざ危険を冒す人はあまりいませんよね。
(ただ、安全だから勝負ができる!と考えることもできます。)
なので、行動を変えないと状態が悪化することを強調しなければなりません。
行動しなければ確実に損失がある場合は、リスクを冒すことに魅力を感じるようになってきます。
「これをしなければ損失をカバーできなくなります!」や、「予算を投入しなければ、500人近い従業員とその家族が路頭に迷うことになります!」といった感じで訴えかえればいいかもしれません。
日本にも「押してダメなら、引いてみろ」という言葉があります。
アプローチの仕方は1つではありません。
やり方を変えるだけで、意外とすんなり人を動かすことが出来るかもしれませんね。
ただ、注意点があります。
率先して行うと不利になる行動が1つあって、実は「提案をすること」だそうです。
製造業、サービス業、小売業、非営利といった分野を対象に行われた研究では、従業員が上司に向かってアイデアや問題を頻繁に意見するばするほど、2年以内に昇給や昇進を受ける可能性が低くなるという結果もあります。
うまく話を通したいなら、自分の地位を上げるかリーダー的存在を通して、仲間を増やしてから行動を起こすほうがいいかもしれません。
今回はここまで
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それではまた次回お会いしましょう。
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