人を動かす単純な動機
こんにちは!
こしあんです。
人が何か行動を起こす時の動機って自分で「これがやりたい!」と思って芽生えることもありますよね。
でも実は、「周りがやっているから」という単純な理由だけで、意思決定している可能性もあります。
【人が節電する意外な理由】
夏場になるとやれ「節電だ」、「エアコンの設定は28度で」というフレーズをよく聞きます。
「地球環境を守るため」と取り組んでいますが、実際は、「会社がそうしているから」、「みんながしているからやっている」という理由のほうが多いのではないでしょうか。
省エネに関して、こんな実験もあります。
800人以上のカリフォルニア州住民を対象に、エネルギー消費についてアンケート調査をしました。
その時、省エネを決断する際、次にあげる要因がどのくらい重要ですか?
という質問をしました。
①お金のために節約する
②環境保護に役立つ
③社会のためになる
④みんながしている
の4つの中から1つ選んでもらます。
その結果、カリフォルニア州の住民は、重要な要因は②の「環境保護」と答えました。
「社会のため」は二位、「お金のため」は三位、「みんながしている」は最下位という結果です。
日本でやってもこのような結果がでそうですね。
さて、心理学者は、この結果を額面通りには受け取りませんでした。
そこで、これが本心なのか確かめようと、ある実験をしたんです。
研究チームはカリフォルニア州のサンマルコスのほぼ400世帯を訪問し、次にあげる4種類の広告のうち1つを無作為に配布しました。
①省エネで「お金を節約しよう」・・・研究者によればエアコンではなく、扇風機を使うと月に約5400円の節約ができます。
という内容。
②省エネで「環境を保護しよう」・・・研究者によるとエアコンではなく、扇風機を使うと温室効果ガスの排出量を月に119キロ減らせます。
という内容。
③「未来の世代のために」省エネに取り組もう・・・研究者によれば、エアコンではなく、扇風機を使うと月の電気代が約29%減らせます。
という内容。
④「ご近所と一緒に」省エネしよう・・・あなたの住む地域では77%の住民がエアコンではなく、扇風機をつかっています。
という内容。
その後、研究チームは、どの広告を持っているかわからない状態で、各家庭を一軒一軒訪ねてインタビューをしました。
住民たちは、広告によってどのくらい省エネする気になったか尋ねられると、④の「ご近所と一緒に」という広告を配布された住民が、もっともやる気がなかったそうです。
やる気を表すと「環境保護」>「未来の世代」>「お金の節約」>「ご近所と一緒」といった感じです。
やっぱり、環境保護を考えている人のほうが節電をする気があるんだなーと思いますが、実はそうではなかったんです。
面白いことに、研究チームが住民の光熱費の請求額を調べてみると、住民の自己申告したやる気とは裏腹に、その後2か月間、もっとも省エネに取り組んだのは「ご近所と一緒に」の広告をもらった住民だったことがわかりました。
この広告をもらった住民の消費電力は、ほかの3つの広告の住民より、1日平均5~9キロワット時少なかったそうです。
ちなみに、他の3つのグループはどれも等しく節電効果はあがっていなかったことがわかりました。
やる気と行動は必ずしも一致しないということでしょうか?
「他の人が節電しているから自分もやろっかな」という軽い動機の方がひとは行動を起こしやすいかもしれません。
ただ、1つの可能性として、節電の意識が高く、すでに節電していた可能性もあるということで、電力の無駄遣いをしている人が、それをやめるかどうかを確かめるため、研究者たちは290世帯を対象に別の調査を行いました。
今度は、住民に過去一、二週間の電力消費を「近所の似たような家庭と比較して結果が書かれたもの」を、玄関のドアのところにかけてもらうという実験をしました。
その後、住民が節電するかどうか調査しています。
結果は、電力を無駄遣いしていた人たちは、1日平均1.22キロワット時、エネルギー消費を減らしていることがわかりました。
これは、近所の人の平均使用量よりも自分が電力を使っていることがわかったせいで、その平均使用量に合わせようとエネルギー消費量を減らしたというわけです。
ただ、これがうまくいくのは、近所の人たちと比較した場合に限られるそうです。
確かに、遠く離れた外国の電気料金や同じ日本でも住んでいる県などが違えばそんなに気にならないかもしれません。
そもそも人は、類似した他者にもっとも影響を受けるとされています。
省エネをしようとする決断は、意思決定者に一番類似した人たち。
つまり、同じコミュニティの住民にもっとも強力に影響を受けたということです。
たとえば、日本でも「暗黙のルール」というものがありますよね。
これはその集団の中だけでしか通用しないものですが、「同調」と呼ばれる現象によってつくられます。
同調は、周りの人たちと同じように合わせる現象です。
この同調は心から納得していないけれども、集団の中でつまはじきにされたくないために、無理やり自分の行動や考えを周りの人たちに合わせる行為でもあります。
アメリカの心理学者ソロモン・アッシュが発見した同調の圧力については、あまりに有名なので説明を省きますが、私たちはもしかすると「環境を保護することが大切だ」と口では言っていますが、実は周りがやっているからという理由だけで動いているのかもしれませんね。
今回はここまで
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それではまた次回お会いしましょう。
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