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TakakaのPupu Springs

いつかまた訪問したいと思っている場所、Pupu Springs。
当時の私は、ミクロの中にマクロがあり、マクロの中にミクロがある、と考えていました。Pupu Springsで見た光景は、まさにそれを体現したような景色でした。


居心地が良かったので、思いがけなく一週間もTakakaで過ごしてしまった。Takakaはとても小さな町だ。ある晩のこと、食べ過ぎて動けなくなった私は、町を散歩することにした。歩いていると、犬の散歩中の女性が我々を呼びとめた。

「あそこにいるグレーの猫ね、ここから2ブロック先に行ったところのお家の猫なの。ちょっと連れて行ってあげてくれない?」

どこの家がどの猫を飼っているのか、町中の人が知っているのだ。さすが小さな町。私は小さな町が好きだ。

そんなTakakaを去る時が来たようだ。どうしようもなく、次の風に向かって進みたい。

朝、いつもの時間に起きる。コーヒーを飲んでくつろぐ。あまりにもくつろいでいるので、ホストファーザーに「今日、旅立つんだったよね?」などと聞かれてしまう。ええ。今日はNelsonを通過して、Blenheimで一泊しようと思っています。

一週間かー。人様のお家にずいぶんお世話になったなぁ。

一週間も、という気はするが、一週間しかという気もする。一週間しか過ごしていないのに、Takakaは私にとって忘れられない場所になったし、お世話になったホストペアレンツのことも忘れられない。
本当にありがとうございました

外はいいお天気だ。庭で記念撮影だ。本当に居心地が良くて、温かくて、ご飯の美味しいお家だった。こんな人達とずっと一緒に過ごしてきたなんて、カズ、本当に幸せだね。

最後にTakakaで一番のお気に入りである、PUPU SPRINGSへ寄ることにした。PUPU SPRINGSは世界一透明度の高いである。湖でもなければ、沼でもない。私は何度となくここへ足を運び、安らぎを覚えた。湿った森の匂いやせせらぎの音、鳥の声、きらめく水面。これほど小さく、密やかで、美しい景色を誰が作り上げたのだろうか。泉の中央では、涌き出る水が水面を揺らしている。

きらきらと眩しい水面は、私を飽きさせることがない。思いきり空気を吸う。冷たく湿った空気が、五臓六腑にしみわたる。

いつまでも水面を見ているわけにはいかない。いつか必ずここへ再び戻ってこようと思う。持ってきた空のボトルを泉の水で満たす。ボトルを太陽にかざす。泉の水はどこまでも透明で、純粋だった。これを飲めば、私自身の汚れまで洗い流してくれるのではないだろうか。

名残は惜しいが、泉を後にする。泉からのびる森の遊歩道を抜けた時の、目の前に広がったあの光景を私はきっと忘れない。足元を見ながら歩いていたのだが、ふと顔をあげると、白くて繊細な姿をしたたくさんの松の花が、朝露に濡れて輝いていたのだ。いいや、松の花だけではない。目の前のどの枝にも朝露が輝いていた。雫の一粒を指に取る。ああ、なんて小さな美しい世界。雫を覗き込むと、丸く歪んだ世界が見えた。小さな世界。私が旅をしているこの世界だって、水の玉に入ってしまうくらい、小さな世界なのかもしれない。

さよなら、PUPU SPRINGS。そしてTakaka。
また必ず訪れるから、どうかいつまでもそのままの姿でいてね。

カズにありがとうと言って、私はTakakaを後にした。
(つづく)


泉から滾々と湧き出る水紋の中心から、突然女神が出てきて、私に斧の色を尋ねたとしてもなんら不思議に思えません。そして、きっと妖精は逆さまの世界を封じ込めた雫の中から生まれると聞いても、それを疑うこともないでしょう。

それくらい、夢のように美しい光景でした。

次回は、NZの先住民マオリ族のモルガンとの出会いを綴っています。モルガンはとても不思議な人でした。見た目は、調子のいいクリス・ハートという感じでした。

#そこに行くだけで浄化される #パワースポット #魂の穢れは #ここで洗い流そう #泉に興奮

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