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経営企画って何やるの? 開示業務①

こんにちは!ジョン万次郎です。現在、東証一部上場企業の経営企画部で仕事をしております。

外から見るとよく分からない「経営企画部」の仕事内容について引き続き解説していきます。今回は、開示業務についてです。

経営企画に興味がある方、開示業務をやることになったけど全体像が分からない方に有意義なnoteにできると嬉しいです!

前回はこちら:https://note.com/corporate_note/n/nb27f4a5be6c9


開示業務とは

開示業務と言ってもいろいろありますが、ここではIRを除いた所謂「法定開示」にスコープを絞って話をしたいと思います。

開示を What「何を開示するか」で考えると、以下の2種類があります。

決算開示:決算情報を開示
適時開示:重要な意思決定をした場合、重要な事項が発生した場合に開示

開示をWhere「どこに開示するか」で考えると以下の2種類あります。

EDINET:金融商品取引法に基づき、金融庁へ開示書類を提出 & 開示
TDnet  :上場規則に基づき、証券取引所へ開示書類を提出 & 開示

これらを順に説明していきますね。

決算開示

決算開示する書類は数が限られており、日ごろ目にするものが多いです。

EDINET(金融庁)への提出:有価証券報告書、内部統制報告書など
TDnet(取引所)への提出:決算短信など

「など」と書いていますが、基本的には上記の書類を抑えておけば、経企実務としては十分だと考えます。

決算開示でポイントになるのは、「早く、正確に提出すること」です。

決算短信の提出は、決算日後45日、可能なら30日以内とされています。
参考URL:こちら

一方、EDINET提出書類は、四半期報告書が45日、有価証券報告書が90日とされています。仮に期限に間に合わない場合、事前に財務局へ承認を受けたうえで、適時開示および臨時報告書を提出する必要があります
「そんな機会ないだろ~」と思っていましたが、コロナのようにいつ発生するか分からないので、万が一のケースに備え記憶の片隅に入れておきましょう。

次に提出する書類の正確性ですが、特に有価証券報告書に気を付ける必要があります。というのも、決算短信は事前に東証の担当者らにチェックしてもらい、気になるとこをつぶして開示、という進め方ができますが、金融庁は会社ごとに担当者がついたりしないので、有報であればそこまで入念な事前チェックを受けることは結構難しいです。

さらに、有価証券報告書は最近かなり記載内容に変更が入っており、「去年と記載要項が変わったのはどこか?」「どういう記載内容が正しいのか?」という状況になりがちです。

一方で、年度ごとに財務局が「有報ちゃんと書いてるか?」という抜き打ちチェックをしています(有価証券報告書レビューといいます)。
これに引っ掛かると金融庁の担当者から電話が直接かかってきて、「次までに修正しないと、訂正報告書出させるわよ!」と、半沢直樹の黒崎検査官ばりの上から口調で指摘を受けるはめに・・・
参考URL:金融庁HP

こうならないためには、開示書類作成システムを提供している会社(プロネクサスや宝印刷など)と、事前に改正論点洗い出しや対応をまとめておくといいと思います。あとは、他社(特にトヨタやエーザイなど積極的に開示をしている会社)の開示例を参照するのも重要かと思います。

決算開示はこんな感じでしょうか。

適時開示

わたしの大嫌いな適時開示です。なぜ嫌いかって?
ええ、適時開示すべき事項をスルーしてしまいがちだからですとも!!

ということで、適時開示の最大のポイントは「開示すべき事項を漏れなくちゃんと開示しているか」という点につきます。ここについて解説していきましょう。

適時開示は、証券取引所に提出する適時開示と、EDINETに提出する臨時報告書に分かれます。基本的には、適時開示の基準のほうが臨時報告書の基準よりも少しだけカバー範囲が広いので、「もれなく開示してるか?」を確認するには、証券取引所の適時ガイドブックを見るとよいでしょう。
参考:ガイドブックはなんと有料です・・・

そんなもん買いたくないよ!という人へ、東証上場規則402条に開示すべき事項の一覧が記載されております。

見ていただくと分かるのですが、「開示すべき事項」は鬼のような数があります。しかも、軽微基準(重要性の低いものは開示しなくていいよ、という定量基準)も開示事項それぞれで異なります。。。

ということで、ジョン万次郎が使用している、「開示基準に引っ掛かるかも基準」を共有いたしますので、これに引っ掛かる事項が役会に上程されそうな場合は、ガイドブックを必ず参照するようにしましょう。

影響が・・・
1.資本金の10%を超えそう
2.売上の10%を超えそう(売上は直前の事業年度通期数値)
3.営業、経常、当期利益の30%を超えそう(同上)
4.株式に関わる

フワっとしていますが、これでおおむねカバーできると思います。
あとは、臨時報告書(EDINETのほう)の提出漏れにも気をつけましょう。よくあるのが、M&Aをした際に、適時開示はしっかり出したのに臨時報告書のほうの提出を忘れた、というパターンです。

適時開示するということは、臨時報告書も開示があるはずだ!というスタンスで臨めば、開示忘れも減らせるのではないかと思います。

終わりに

いかがでしたでしょうか。
あまり目立たない業務ですが、上場企業にとっては非常に重要な経企業務、「開示業務」の解説1回目でした。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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