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創業から7年で社員数75名になったスタートアップのバックオフィス体制の変遷

こんにちは、筆が不精過ぎてもはや筆不精の武将に出世しかけているころくです。そうこうしているうちに、ナンバーナインはこの4月に8期目を迎えました。みなさまいつもありがとうございます。

7期は中途採用の強化と新卒採用の本格的に開始した結果数十名のメンバーが新たに加わり、5月末時点でインターンを含めたメンバーは75名となりました。ナンバーナインはもともと少数精鋭の志向が強かったので、一年でこれだけたくさんの人が増えるのは初めての経験です。

組織規模としては、メガベンチャーと比較すると大したことはないかもしれません。それでも、会社としても、事業としても、組織としても、大きく変化してきました。創業時のナンバーナインといまのナンバーナインはもはやまったく別物の可能性すらあります。

今回のnoteでは、こうした会社の成長を支えるバックオフィスの体制がどのように変化してきたのかを書いてみようと思います。

現在起業を考えていらっしゃる方や、起業して会社が成長していく過程でのバックオフィスの体制構築に悩んでいる経営者の方が、このnoteを読んで一つでも学びを持ち帰ってもらえたら嬉しいです。

フェーズ1(2017-2019): 創業期のバックオフィスは全員野球

ナンバーナインは代表の小林、COOの荒井、そしてCXOの僕の3名からスタートした会社です。初めて正社員を採用したのは2017年の8月で、2019年半ばごろにようやく社員数が10名を超える規模感になってきたくらいです。

それまでのバックオフィスは、人事や経理、総務、労務といったポジションの専任担当者はもちろんおらず、役員3人が持ち回りで対応していました。自分のスマホに入っていた太古の写真を遡った時にこんなスクショが残っていたのですが、当時の様子が伺えますね。創業からしばらくの間は男性が多い職場だったので、ゴミが落ちてる・落ちてないでこんなやり取りをしていたのが懐かしいです。

スタートアップ業界で布教されていた「オフィスが汚いスタートアップは大成しない」という話を強く信じていたので、いつも怒っていた気がします。風紀委員的な意味で。

契約書については各自が都度顧問弁護士さんに確認を依頼していましたし、バックオフィスの機能はほとんど個の力でなんとかしていたような時代でした。

この時はまだ、組織図なんてものは存在していません。なぜなら、作る必要がないくらい小さかったし、一人ひとりの役割がいまのように明確でなかったからです。

フェーズ1のバックオフィス責任者: 

人事…荒井
総務…荒井
経理…小林
法務…荒井
PR・広報…小禄

過去の組織図上は上記のようになっていましたが、実態としては小林=お金を持ってくる人、荒井=事業開発する人、小禄=コミュニケーション設計する人、というくらいざっくりした役割で、境界線も非常に曖昧。しかも我々の下にメンバーがいないため、経営陣が総出でバックオフィス業務を担っていました。

僕個人としては初めての起業で何もかもが新鮮で、すべてハンドメイドな会社づくりに全然ストレスがなかったです。

また、経理は税理士事務所、法務は顧問弁護士がそれぞれ相談役としていて、PR・広報に関しては小禄の個人的にお世話になっている方に都度相談するような形でやりくりしていました。

フェーズ2(2019-2021): 拡大前に押さえるべきバックオフィス人材の採用

ナンバーナインは創業期に立ち上げた事業から新しい事業へピボットした歴史があります。それが2018年の出来事です。

最初の事業でマネタイズすることがなかなか難しかったからなのですが、結果的に当時は社員数が大きく増えることもなく、有償インターンのみなさんの協力のもとでなんとかやりくりしていく時代が続きます。社員数はざっくり10-30名程度。

同時に、新しい事業(いまのデジタル配信サービス「ナンバーナイン」)の芽が大きく花開く兆しがあり、2019年に新規事業を拡大するために採用を強化しました。宮崎県日南市にナンバーナイン初のサテライトオフィス「日南デジタル漫画ラボ」を設立したのも、この年。

こうして体制が枝分かれしていく中で最初の組織図ができあがったのですが、ともあれ正社員の数はまだまだ少数だったため、引き続き同じ人間がいくつもの役割をになっている状態です。

バックオフィスの体制としては、2019年頃にようやく経理と総務のポジションで採用を始めました。サービスが増えていくにあたり、売上管理、月次決算、支払い対応など、収支の管理を行える経理経験者の採用は最優先事項だったなと思います。加えて、人が増えると各自が担当している雑務や事務手続き等を引き受けてくれる総務の必要性も高まってきました。経営陣が雑務から解放され、事業に集中するために総務ポジションを採用することはとても重要です。

一方で、この頃の採用についてはまだ代表の小林が責任者として対応しています。SNSを活用したソーシャル採用と友人・知人の縁故採用がうまく回っていたので、まだ専任の担当者は必要なかった認識です。

20-30名規模の社員数で大量採用などに舵を切らない限りは、採用の専任者はあまり活躍できるフィールドがないのかもしれません。組織人事の観点では僕が見ていたので、この時点ではナンバーナインにおいては不要だったとも言えます。(あとは、僕が新卒時代に人材業界で働いていたこともあり、求人広告の制作や発信を一人でできてしまうというのもありました)

フェーズ2のバックオフィス責任者: 

人事…小林→小禄
総務…荒井→小禄
経理…小林→荒井
法務…荒井
PR・広報・デザイン…小禄

このフェーズで経理と総務の採用を行い、経営陣に加えてバックオフィスメンバーが2名ジョインしました。この頃から、経理業務や事務作業などは徐々に役員の手から離れ始めます。ただし、各領域の責任者は以前役員のまま。

ナンバーナイン初の地方拠点「日南デジタル漫画ラボ」は、当時はCOOの荒井が中心となって拠点立ち上げから安定稼働化までを1年ちょっとで実現させました。それに伴い、僕のバックオフィス担当領域が拡大し、資金調達や新規事業開発は小林が、組織については小禄が、既存事業(デジタル配信サービス)と宮崎は荒井が担当するような役割の変化が訪れます。

現在は宮崎市内にも拠点「宮崎ひなたオフィス」が誕生していますが、バックオフィス業務についてはいまでも現地拠点のメンバーみんなで持ち回りで対応してくれています。

フェーズ3(2021-2022): 組織拡大を目指した攻めの人事採用

ナンバーナインは、フェーズ2の期間にデジタル配信サービスが安定して成長を遂げていたので、「第二のデジタル配信サービス」となりうる新規事業を模索していました。それがフェーズ3で本格的に取り組み始めるIP事業です。社員数はざっくり30-50名程度。

フェーズ3に入った頃からは、いよいよオリジナルIPの制作を目指すための事業部が誕生します。2021年にオリジナルIP創出のための横読み漫画編集部が誕生したのですが、同年末にはWEBTOONにかじを切る決断をし、いまのWEBTOON事業部に華麗なる転身を遂げます。

会社としては、「デジタル配信サービス率いるクリエイターエコノミー事業部の成長拡大」と「WEBTOON事業部立ち上げ」を目的として採用の強化を開始。ここでようやく人事の採用に取り組みました。

数名程度の採用なら、SNSに強いスタートアップであれば比較的容易にかつパワープレイで採用はできちゃいます。しかし、複数ポジションで二桁人数の採用を目指すにあたっては、いよいよ人事マネージャー候補の存在が求められます。

フェーズ3のバックオフィス責任者: 

人事…人事マネージャー
総務…小禄→人事マネージャーが兼務
経理…経理マネージャー
法務…荒井
広報…小禄

少しずつ、役員がバックオフィスの現場から離れようとしているのが分かります。このフェーズを経て、人事ユニットに2名(MGR&プレーヤー)、経理ユニットに2名(MGR&プレーヤー)、総務ユニットに1名(プレーヤー)といった具合にバックオフィスの人員も役員を除いて5名に増えました。

採用強化、組織人事強化を目指した人事ポジションの採用では、採用の専門性の高さを持ちつつ、自分が関わったことのない未知の領域にも挑戦するベンチャーマインドを持ち合わせた「攻めの人事」を担える人を採用することを意識していました。結果として、採用人事だけでなく、組織人事や総務ユニットのマネジメント、労務領域のテコ入れまで様々な領域においてパフォーマンスを発揮してくれています。

宮崎については、2020年からゆるゆると、小禄が人事として隔月で出張へ行くなどして日南デジタル漫画ラボのメンバーのサポートを行っていました。

フェーズ4(現在、そしてこれから): 組織の強度を高めるための基盤強化

このフェーズ4が、いままさにナンバーナインが取り組んでいるバックオフィスの体制強化です。

これまで役員が工夫しながら設計・構築してきた制度の耐用年数が限界を迎えつつあるなかで、バックオフィスチームに頼もしいメンバーが多く入ってきたことで脱・経営陣、現場主体の制度づくりに着手できるようになってきました。

大きく変化したのは社内の体制だけではありません。創業期からサポートしてくださっていた社労士さんとは今年の2月で契約を満了し、会社の目指す方向に同じ目線を持って伴走していただける社労士さんとの契約を結びました。

個人的にも、会社のフェーズや目指すべき方向が変わるタイミングで士業の方々とのお付き合いも変わるということは大きな学びになりました。

とは言っても人事・総務については専任者がいるものの、労務周りについては知識も経験も未熟なままだったので、現在は労務のスペシャリストに相談役的な立場で関わっていただいています。

フェーズ4のバックオフィス責任者: 

人事・労務…人事マネージャー
総務…人事マネージャー
経理…経理マネージャー
法務…荒井
広報…小禄

見たところ、フェーズ3と大差はありませんが、フェーズ3で任せ始めたマネージャーたちがいよいよ会社の未来についての制度設計や仕組み化、ルール化に着手し始めたのが今年ではないかと思います。

また、上述の通り社労士が変わったり、労務顧問に参画いただいたりと、より弊社の行く末に伴走いただけるスペシャリストの方々の強化に努めています。

僕たちの成長は、まだ始まったばかりです。

スタートアップのバックオフィス体制で完璧を目指すのは不可能

創業から今に至るまで、バックオフィス体制は試行錯誤の連続でした。いまでもまだ、完成された状態とはとても言える状態ではありません。

僕自身これまでのキャリアでバックオフィス領域に一度も触れたことがなかったので、まさに手探りです。周囲のいろんな人の力を借りつつも「未熟ながらよく頑張っている」と言えようにはなってきたかなと思います。しかしながら、社員にとって安心して自分の仕事に集中できる環境を作れているかと問われると、まだ胸を張ってYesとは言えないのが正直なところです。

特に2022年の後半はものすごく悩んでいて、結構辛かった記憶がまぁまぁあります。そんな時に出会った労務のスペシャリストの方(いま相談役としてお世話になっている方)にはものすごく救われました。

その方に相談すると常に的確かつ明快な回答をいただけるのですが、「スタートアップなんだから、制度は1-2年で変わるものと思って作った方がいい」と言われたのが胸に残っています。

ナンバーナインが2022年から2023年にかけて社員数が大幅に増えたことからも分かるように、組織や事業の成長に合わせて制度もアップデートする必要があるということと捉えています。

当時人事制度の見直しを考えていて、「制度を毎年のように変えるのはイケてないから、少なくても3年以上、できればずっと使えるような完璧な制度をつくらなければいけない」という気負いがありました。だから、そもそも組織が発展途上だからそんなものは作れないという前提に立つことでものすごく気持ちが楽になりました。歳を重ねれば重ねるほど、プロフェッショナルの言葉の重みを実感する機会が増えますね。

その理屈でいくと、バックオフィスの体制ももうしばらくは完璧な状態になるのは難しいのかなと思います。大切なのは、常にいま足りない部分を自覚し、より良くするための策を講じ続けること。漫画スタートアップとして飛躍し続けるために、バックオフィスの挑戦は今後も続くでしょう。

気づいたらもう5000字を超えているので、一旦ここで筆を置きます。このnoteがたくさん読まれるようでしたら、後編としてスタートアップが取り組んできた具体的な制度設計(就業規則や福利厚生といった制度設計など)についても書いてみようかなと思います。

8期も元気よく中途・新卒採用を行っております!

最後に、現在様々なポジションで採用活動を行っています。私たちと一緒にナンバーナインを、そして漫画業界を盛り上げていきませんか?

◆中途ポジション

【WEBTOONディレクター】未知なる挑戦が待つ、WEBTOON漫画の舞台へ。ディレクター職を大募集!

【WEBTOONアートディレクター】キャラクターたちが躍動する空間を演出する、アートディレクター募集中!

【SNSマーケター】情報発信のプロとして、SNSで漫画作品のブランディングを担当しませんか?

【経理】経理の正確性と制作の効率性を兼ね備えた、サポートのスペシャリストを大募集!

◆新卒ポジション

24新卒採用!日本発のヒットを作る未来のWEBTOONクリエイター募集

◆25新卒向けインターンポジション

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