見出し画像

「夏の日の心象スケッチ 京都京北」 【DAY2】食べること、昨晩のお金と揺らぎの話

明朝、久しぶりに足がつって目覚めた
朦朧とする意識の中で何度寝したのか
時間ぎりぎりまで粘って布団を出る
外の快晴具合と重いからだがアンバランスでふわふわしている

昨晩みんなで話していたときの
「勝手に給料が入ってくる感覚が怖くなったんですよね」
という言葉が頭の中をぐるぐる回っている
ぬるいシャワーを浴びてよいしょっと部屋を出る

祥子さんのお宅に着く
朝ごはんを頂く

・ニシンの塩焼きの柴漬け和え
・塩もみきゅうり
・自家製高菜と梅干し
・生卵
・白米
・冷茶

ほかほかの炊き立て白米にきゅうりやニシンを混ぜこんで
一気に口の中にかきこむ
うまい
お櫃から2杯目をよそって
またかきこむ
うまい
無言で食べる
からだが満たされて軽くなる
食べる

朝ごはんのあとは
今朝産み落とされた卵をみんなで磨く
初めはたどたどしかった手元も少しずつ慣れていく
からだで覚える からだが覚える
身になるということを実感しながら磨く

栗の木の下でチェックインしたあと
ぼくはこの日から合流する2人を迎えに
残りの3人は落花生畑の草抜きへ
・・・
2人と宿先で合流する
ママチャリを前にした2人は、昨日のみんなと同じ反応
2人はこれからどんな体験をするのだろうと思いながら
慌てず急いで
みんなでママチャリを漕いで畑に向かう

畑に着くと
修也さんが、やあ着きましたかじゃあやりましょう、と
着くや否や、言われるがままに草抜きを始める

先に始めていた3人は
炎天下も、ぼく等が来たことも気にしていない様子で
みんな同じペースで楽しそうに話しながら畝間をゆるゆる進んでいる
ぼくと2人は任された畝間の草をひたすらに抜く
正午前の日差しと土から立ち上げるむんむんとした熱気ですぐ汗だくになる
草に隠れていたこおろぎやかえるがぴょんぴょん顔を出す
生き物を見つけると捕まえようと無意識にからだが反応する

とりあえず暑い
けれど何とも言えない爽快感が同居する
気づけば重かったからだはどこへいったのか
問答無用の夏の直射日光がアドレナリンを誘発して
からだが元気になったみたい
からだは面白い

無茶と無理
なんとなく無茶はしないほうがいい気がするけど
無理はやってみるのも悪くない
無理と決め込んでいるのはたいていの頭(思考)の産物で
やってみるとからだは平気だったり、なんかできちゃったりする
今この瞬間の中に身を委ねて、からだが開放されると
あたまが何かの囚われから解放される

山羊と遊ぶ
畑の野菜たちの生存戦略を聞く
さあ帰ろうと帰り支度をすると同時に
ぽつりぽつり、ざざざぁっと一気に雨が降り始めた
天気とシンクロしている感じがした

少し遅めの昼食を頂く

・三輪そうめん
・前日の鶏肉の残りやがらで取った鶏だし汁
・薬味(すりおろしきゅうり、高菜、にしん、青ゆず等)

うまい
自然相手に動いていると時間なんてあっという間
際限なくやることがある
からだを使う仕事を通して時間概念が揺らぐ
食べる
満たされる

昼食のあと、山に入る
ほどよく手が入った森を横目に、林道をずんずん進んでいく
木漏れ日の少しぼんやりとした光
なんとなくひらけた場所まで行って、それぞれの時間を過ごす

ぼくは昨晩の話を続けたいと思って
「勝手に給料が入ってくる感覚が怖くなったんですよね」と話してた子と
お互いの会社や事業のことやお金やこれからのことを2人で話す
事業家と会社員のお金に対する根本的な考え方の違いや
今自分たちが考えていることをそれぞれ話す
なるほど!と、はっ!と、が交差する
いろいろと感じるものや心が揺らぐような言葉も受け取りながら
腹がすんと決まっている自分にも気づく
在り方の体幹

小川がさらさらきらきら流れている
2日間ずっとからだを動かし続けていたことに気づき
土のにおいを嗅ぎあげてゆっくり深呼吸してみる
へびが木の上をにょろにょろと登っていた

古民家に戻って夕食の準備
今日から合流した2人は、鶏をやる
昨日に引き続きBBQと焚き火
昨日より野菜のバリエーションが増えている
修也さんのからだとこころ論に、確かにそうだと合点する

季節外れの蛍が2匹
栗の木の脇を流れる小川から現れた
ぼわぼわと光を放って、ゆらゆら飛んでいた
焚き火を通して場の中に溶け込んでいくように
夜が更けていった

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?