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相手に、自分が望むアクションを取ってもらうためには:目的毎の必要準備

前回、ビジネスにおけるコミュニケーションの目的は、「相手に、自分が望むアクションを取ってもらうこと」とお伝えしました。

今回は、ビジネスコミュニケーションの目的毎に、相手に自分が望むアクションを取ってもらうために必要となる準備をお伝えします。
代表的なコミュニケーションの目的として下記をあげます。
1.ヒアリング
2.討議
3.意思決定
4.報告


1.ヒアリング

ヒアリングの目的は、こちらが知りたい内容に関する質問をコミュニケーション相手に行い、必要な情報を引き出すことです。
業務改革やDX、新システム導入等のプロジェクトの初期段階で、現状を把握し課題を抽出するためのインプットを得るために、ヒアリングを行う機会は多いです。顧客満足度をヒアリングするケースもあります。
仮に、自動車部品メーカーの営業であれば、カーメーカーに、新車の開発計画をヒアリングしたいというニーズがあるでしょう。

ヒアリングの必要準備タスク

ヒアリングしたい内容を事前にリストアップしておく、ヒアリングを実施する背景、目的も整理しておくことは当然実施しますが、こちらから関連する情報を先に提供・提示できる準備をしておくことも有効です。
コンサルティングプロジェクトのおける現状分析フェーズであれば、想定される現行業務フローを書き、課題を仮説ベースで現行業務フローに追記し、相手に見ていただきながらヒアリングすることで、課題確認の網羅性を担保しつつ、次フェーズにインプットとなる有用な情報が得られるでしょう。
自動車部品メーカー営業が、カーメーカーに新車開発計画をヒアリングしたい時であれば、カーメーカー側が興味を示しそうな自社製品の新技術開発ロードマップを情報提供することが、情報収集の端緒になるかもしれません。

2.討議

討議の目的は、イシュー(論点)に関する意見交換やアイディア出しをコミュニケーション相手と実施することです。
コンサルファームでの業務改革系プロジェクトであれば、現状分析フェーズで抽出された課題の対応方針を検討したり、メーカー系事業会社であれば、新商品・製品の企画を検討したり、顧客からの納入価格低減要望に対してどのように対応するか協議する、等です。

討議の必要準備タスク

討議したいイシュー(論点)だけ提示しても、有益な意見はでにくいケースが多いです。討議したいイシュー(論点)背景、対応方針として選択可能な案を複数事前に用意して提示することが有効です。
自動車部品メーカーを例に取った場合、「自社製品の部品の生産数を討議したい」と相手に提示するだけでなく、カーメーカー側の今後数ヶ月の車両生産計画、過去数ヶ月の自社製品の販売予定に対する販売実績・予実差異、競合他社動向を参考情報として提示しつつ、楽観・成り行き・悲観3ケースでの生産計画の想定と各ケースを取った場合の影響分析も想定して出せると、討議はスムーズに進むでしょう。

3.意思決定

意思決定の目的は、特定のゴール達成のために、複数の案から最善と想定される案をコミュニケーション相手に選択してもらうこと、になります。

意思決定の必要準備タスク

意思決定を依頼したい内容は明確になっている必要があります。意思決定を依頼するコミュニケーションであるのに、単なる報告になっており、意思決定者が「何を決めればいいのか?」となってしまうコミュニケーションは実際多いです。意思決定依頼内容は、明確に文章化して会議資料の冒頭に記載することが有効です。
可能であれば、選択肢として複数のプランを提示できると、プラン間の比較をすることで、各プランのメリット・デメリットがより明確になります。意思決定者の心理としても、プランが一つしかない状況で採用するか・しないかを迫られた場合、この結論の検討は網羅的に実施されたのか、疑問が生じてしまうことになります。プランが複数あることで、検討の網羅性が担保されている考えて貰える確率が上がります。

4.報告

報告の目的は、様々あります。当方が伝えたい内容の理解をしておいて、今後のプロジェクト・業務遂行する際に留意してほしい、なにか気になることがあればアドバイスをして欲しい、事前に話をしておくことで、「後で聞いてなかった」等とひっくり返されるリスクを低減したい、等多岐にわたります。

報告の必要準備タスク

上述のように報告の目的は多様であるため、目的を明確化することが必要です。「後で聞いてなかった」等とひっくり返されるリスクを低減したい目的であれば、調査・資料作成に長時間かけて大量な報告書を作ることは、労力に対して得られるメリットが見合わない可能性があります。既存資料を流用しつつ、インフォーマルな場で相手の反応を確認しながら話す方が有効である可能性が高いです。
アドバイスをもらうのが目的であれば、報告内容とともにアドバイスをもらいたい箇所で相手に質問をするなど、相手側にレスポンスを適宜促すコミュニケーションが有効だと考えられます。

サマリ

相手に、自分が望むアクションを取ってもらうためには、コミュニケーションの目的を把握することが必要です。意思決定が目的であるのに、報告やヒアリング用の準備をしてもうまくいきません。目的が、ヒアリング、討議、意思決定、報告のどれに該当するのか想定した上で、目的毎に異なる必要準備をすることが効果的です。

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