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【世界最先端の戦略がわかる amazon】

概要

今や私達の生活に何かしらの形でAmazonのサービスは深く根付いている。

企業の成長率も圧倒的な数字を残す
Amazonの戦略、キャッシュフロー、組織を知ることで、
ビジネスの考え方だけでなく、今後の世界の動向もわかるのではないか。

キャッシュがあることでビジネス戦略上、とても優位に立てるということを改めて思い知らされる一冊。

私的な要約

戦略

新しい事業への赤字覚悟の投資を厭わない
→リーマンショックやITバブルで窮地に陥った際も、ブレずに物流網に投資した(2→8箇所)

・Amazonは秘密主義
→AWSの売り上げの詳細がわかったのも最近の話(営業利益43億ドル)
→ジェフベゾフ自身もあまり出ない
→家族との時間を大事にしているという理由から
・ECにおけるFBAの存在(フルフィルメント・バイ・アマゾン)保管〜返品処理まで全てを代行。個人商店や中小企業が活用

・マルチチャネルという仕組み
→楽天で買ってもAmazonの倉庫に預けておけは、発送してくれる(これは他社は脅威!)
→楽天も最近自社で物流網を築いたが(子会社 楽天物流)途中で頓挫。現在は解散
・クリック課金のオンライン広告もできる!
→宣伝〜購入〜発送〜返品交換まで!

・Amazonローンチパッド
→スタートアップのための商品ページ
→背景や商品説明など記載。担当者もつく
→結果、新しい商品の動向も知れることになる
・Amazonプライムの価格は最初は安価で後から付加価値を上げて高くする。(LTVを重視し、顧客のロイヤリティを重視)

M &Aしたい会社がらあれば、ECにて赤字覚悟の競合サービスを立ち上げ、相手を窮地に立たせた上で交渉することも(赤字は1億ドルに上ることも!)

・事業を立ち上げても辞めることも多々ある
→ただその事業も新しい事業の布石になることも

事業展開

・ECに加え、配送、融資サービスまで横展開。顧客の利益を最優先。
→融資サービスは法人向けの金融事業

・本業をする上で生まれた技術やサービスで横展開できそうなものがあったら、それに多額の投資をし、育てる。

・隣接する事業領域があればそれも乗り出す

それぞれの事業には裁量や決定権を持たせ、コントロールを無理やりしようとはしていない
→これが意識しているかどうかは不明
→事実AWS最高責任者はECは全く関係ないと言い切っている

・楽天と一見ECにおいては事業内容が似ていると思いきや、「自社で物流網を持っている」という点が全く異なる
→マネタイズも楽天は「企業」、Amazonは「個人」が主な顧客
→その「物流網」が最大の武器になる
→楽天は拠点が全国で3箇所。Amazonは15箇所。楽天の全ての拠点の床面積はAmazonの1箇所にも及ばない!

・アパレル分野も拡大。日本も視野
→zozoとユニクロの一騎打ち。物流網の強さから二社はAmazonへの苦戦が予想される

・B向けビジネス用事務用品も(Amazonビジネス)
→将来的にはMonotaRoやASKULと競合か?

キャッシュフロー

CCC(キャッシュコンバージョンサイクル)が-28.5日という事実
→物が売れる1カ月も前に現金がある
→一旦Amazonがキャッシュを預かり、後に企業に支払うスキームであるから可能になる
→このキャッシュをまた投資に使う(2017年度で一兆円!)
AWSだけの営業利益(43億ドル)でほぼ全てを賄っている。(Amazon全体で41億ドル)
・Amazonプライム・ビデオなどの事業展開はこの利益が投資されている
AWSの値下げも実に60回!
・ECは北米では28億ドルの営業利益だが、北米以外では実は赤字

取り巻くビジネスの変化

・アマゾンエフェクトという単語
→Amazonにより、個別の企業の消滅や産業の消滅など、環境そのものの変化

組織・労働環境


コミュニケーションは必要ない。強調ではなく、「個のアイデアが優先される組織であれ」
全ては顧客のためにを掲げ、幹部でもビジネスクラスは禁止
→そのかわり働きに対する報酬は高く、部長職なら2000万前後という
・長時間労働、週末の休み返上は当たり前、有能でなければズタボロに、有能であればもうダメというところまで働かされる

新しいサービス(プロダクト)について


ローンチは中途半端でいいから、plan(計画)、do(実行)、see(評価)を繰り返す

物流網の革命


・早く顧客に荷物を届けるべく、自社で倉庫だけでなく、トラックや貨物飛行機、海運業(現在は他社に委託)までを手掛ける
・輸送業にも事業を広げる可能性も
・アメリカではUPSやフェデックス、日本ではヤマト運輸の脅威となるかもしれない
・倉庫の革命
→KIVAという人に変わる倉庫ようロボット
フリーロケーションという棚に商品ごとという概念とはない。(DBに場所を蓄積しているから商品の場所はどこにおいても良い!)

金融にも及ぶ


Amazonレンディング
→銀行の様に決算書から融資を判断せず、Amazonの販売履歴、在庫状況のデータで既に融資可否を判別し、融資可能の通知を行なっている

→10万から5,000万までの借り入れが可能
→Amazonにて登録してある口座から自動引き落とし or 売上から相殺する

コンビニ革命

・Amazon GOの存在
→事前にアプリをダウンロードすれば、カメラとAIで商品を検知、アプリのカートに追加され、ゲートをくぐれば決済されるというもの
→将来的にはこのプラットフォームをあらゆる小売業者に一式提供可能し、ストック収入も考えられる。もちろん顧客のあらゆるビックデータも。

IT技術


ECではビックデータをもとに「予測出荷」
→購入履歴、返品実績、特定商品にどれだけカーソルがあっていたかまで!
→ユーザーが購入する前に予め近くの倉庫に商品を送って保管

最後に

本の中で印象的なものは、
・「プロダクトは中途半端でいいから早く!後から分析・評価を!」
・「組織はコントロールしない。個を大事に。」
・「M&Aしたい会社は自社で競合サービスを作って、交渉を優位にする」
・「利益を次の投資に大きく使う」
・「役員でも移動手段でビジネスクラスはNG。その代わり報酬は高く」
・「完全顧客主義。ある程度規模が大きくなると値下げも厭わない」
・「Amazonの倉庫はフリーロケーション。商品ごとという概念はない」

日本の企業にそのまま当てはまるかわからない点もあったが、考え方としては深く興味があるものであった。

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