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THE NEW COOL NOTER 賞文芸部門~文章作法と小説を読む際のポイントについて【赤星先生監修】

THE NEW COOL NOTER賞、そしてみこちゃん出版を応援いただいている皆様。
第3回コンテスト、文芸部門の先行募集が始まり、みこちゃんより参加予定者向けの小説講座が連載されたところです。

また、あわせて文芸部門エンタメ小説をご担当いただく、第2回THE NEW COOL NOTERコンテスト大賞受賞者にして、現役のプロ作家である赤星先生より、次のような、文芸作品記事を読む際のご方針が示されました。

本日は、一奥より、文芸部門へご参加予定の皆様の参考になればと思い、こちらの小説作法などについて概説させていただければと思います。

赤星香一郎が小説を読む際のポイントについて!

赤星先生が、小説を読む際に、どんなところを気にするのか。
ざっくばらんにお聞かせいただいたところを、下にまとめました。

なお、この『THE NEW COOL NOTER賞』は共通の審査基準というものは一切設けてありません。親ばかのように好きな作品を選ぶ。というのが主催者みこちゃんの定めた唯一の評価基準だからです。

ただ、何が好きかということかについてはある程度情報があった方がよい、というのもまた事実。

ですので、赤星香一郎先生がどのようなところで作品を好きになるかをお知らせできればと思います。

(1)題名

内容にふさわしい題名かどうか、人を惹きつける題名かどうか。

 → こちらについては、是非、みこちゃん小説講座を見てみてください!

(2)小説作法
いわゆる一人称、三人称などの視点のブレ。
改行のタイミングや、三点リーダーの使い方といった基本的な小説執筆作法をどれだけ遵守できているかどうか。

 → こちらについては、次章でさらに参考となるまとめを載せます!

(3)冒頭部
書き出しでどれだけ読者を引きつけられるかどうか。
漫才で言う「つかみ」に相当する箇所。

(4)内容の面白さ
内容が面白いかどうか。
特に、どこかで聞いたことあるような陳腐な話であるか、聞いたことがない斬新な話かなどといった、オリジナリティや独創性があるかどうか。

(5)オチの部分
ミステリでいう、
「やられた。そいつが犯人か」
「それがあったか」
など。

普通のエンタメ小説ならば、
「感動した」
「悲しすぎて泣いた」
など。

(6)ストーリーテリング
ありふれた内容であっても、ストーリーテリング(物語の展開やプロット構成など)が上手であれば読者は引きつけられます。
また、内容が面白くても「もっといい書き方あっただろ」と思わせる稚拙さがあれば、この部分の印象は悪くなります。

(7)表現
文章表現の巧拙について。
丁寧で上手な表現であれば加点対象となり、逆に、自己満足的な読みづらい描写であると減点対象になりえます。

(8)人物造形
登場人物の魅力を生き生きと描けているかどうか。そのキャラクターの性格や人となりが、十分に描けていることが望ましいです。

ただし、以上はあくまでも目安であり、厳格な基準というわけではありません。言ってしまえば「面白ければあり」というのは、赤星先生が、エンタメのプロ作家であるからという部分があるでしょう。

こういうところをプロは見る、という視点で参考にしていただければと考えます。

基本的な文章作法を守る意義について

小説においては、登場するキャラクターが、ある場面でどんなことを考えたか、そしてどんな行動を取ったか。
そこを描くことを通して、読者に、キャラクターの気持ちや、エピソードを通して何かを感じさせるものです。

このため、たとえば音楽を聞く時にあまりにも音程がずれていたら、そもそも聞く気になれなかったり、漫画を読む時に、そもそも絵が下手すぎて先に読み進める気にならないようなことが起きないよう、基本的な文章作法というものが存在します。

これは必須のものではありません。
しかし、私達が、たとえば小中学校の国語の授業や、一般的な本や小説を読む時などに、自然と学んできた「ただしい文章の書き方」と重なります。

「人と違う書き方」をすると、読者の多くは違和感を覚えます。
そういう違和感を覚えると、せっかくの良い内容でも、頭の中に入りこむ前に、「それってそもそもこうだろ」というある意味で冷静な自分が出てきて、作品の展開を素直に楽しめなくなります。

たとえば映画を観ている時に、ある職業知識について話されていて、それが現実とぜんぜん違ういい加減な内容だったらどうでしょうか。
ストーリーやキャラクターが仮によかったとしても、読者の中には、その違いが「作者の調査不足=怠慢」のように見えて、どうしても気になってしまい、作品を楽しむどころではなくなります。

なので、たかが文章作法。
されど、文章作法。

読者に小説の内容を自然に頭の中に入れて、あなたの作品の世界に入り込んでもらうためには、押さえておいた方がよいものばかりです。
せっかくのストーリーまで読み込んでもらう前に、読者が離れてしまう要因、気になる要因は、可能な限りなくしておきましょう。

今日から、THE NEW COOL NOTER公式アカウントにおいて、基本的な文章作法について集中連載させていただきます。
以下に、その目次をかかげますので、どうぞお楽しみにしていただければ幸いです。

<一奥による赤星香一郎先生の小説作法解説講座 ~ 目次>

1 三点リーダと中線について

2 文章の禁則について

3 「助詞や記号などの表現について」~前編
  「助詞や記号などの表現について」~後編

4 文章のリズムと、言葉の統一について

5 視点(人称)について

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