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BEGIN ライブレポート

『復興元年 日本中を元気に』
陽だまりのメッセージが明るく照らした時間

BEGINビギンとは

左から:
上地 等(Pf&Vo)比嘉 栄昇(Vo)島袋 優(Gt&Vo)

メンバー全員、沖縄県石垣島出身。1990年『恋しくて』でデビュー。その後も順調にリリースを重ね、数多くのステージに出演。代表曲の「島人ぬ宝」、「涙そうそう」、「笑顔のまんま」などは老若男女に歌い継がれる楽曲となっており、最近では「海の声」が大きな反響を呼ぶ。

近年はブラジルやハワイで公演を行うなど国内外で活躍の場を広げ、
ブルースから島唄まで多彩な音楽性と幅広い年齢層から支持を集めている。
また、サンバの起源となったリズムである「マルシャ」と八重山諸島の言葉である“しようよ”という意味の「ショーラ」を掛け合わせた「マルシャ ショーラ」でこれまでの日本の音楽の中にはなかった、老若男女誰でも楽しめる新たな参加型の音楽スタイルで多くのファンを魅了し続けている。

2021年3月21日でデビュー31周年を迎え、
ますます精力的に活動の幅を広げている。
(BEGIN OFFICIAL WEB SITEより)


第25回 BEGINコンサートツアー2022 仙台公演に行った/クールマイン的見聞録

日付:2022年5月13日(金)
会場:仙台サンプラザホール

天気は雨。
折しもの悪天候と平日仕事帰りの方も多く、小走りでお客さんが集まって来る。雨天から逃げ込むように前屈みで中に入ると、会場内のフォトブースや満面の笑顔で迎え入れてくれるメンバーのパネル写真を見つけ、いつの間にかその背筋は伸び、顔がほころんでいる。もしかするとさっきまでの小走りは胸の高鳴りを抑えての行動だったのかも知れないな。そんな事を思っていた。

2019年の来仙以来、実に3年振りの仙台ライブ。
2月の公演延期を乗り越えての今日だ。メンバー、スタッフ、そして何よりファンの喜びも一入ひとしおだったのではなかろうか。バンドが積み重ねた歴史の重さも来場者から垣間見れる。老若男女、親子三世代に渡り愛されている現役アーティストがどれほど貴重で稀有けうな存在か。その歴史をBEGINを刻み続けている。


温かい拍手に迎え入れられ、メンバーは何度も深々と頭を下げた。集まってくれたお客さんへの感謝とライブの出来る喜びを素直に伝え、会場にもそれは充分に伝わっていたはずだ。

「どうぞ気兼ねなく、遠慮なく。」

Voの栄昇さんがそう言うと、デビュー曲にして最大のヒット曲、『恋しくて』からライブがスタート、一気に聴衆を引き寄せた。優さんの粒立ちの良いギターが泣きのフレーズで聴かせ、音の臨場感が胸に迫る。
批判的な意味では無く、「テレビでは音の伝わりは4割程度じゃ無いのかな?」そう栄昇さんは語る。やっぱり音楽を聴くベストな形は生ライブに勝るものは無いですよね?そう共感を求めているようであったし、会場内でもそれに大きく頷く姿が見受けられた。おしゃべりを挟みながらリラックスしたムードで来場者を少しずつほぐしながら前半のアコースティックコーナーが終了。転換の間もお客さんとのコミュニケーションで退屈させない、メンバーのサービス精神と懐の深さ。

演奏はフルバンド編成のコーナーに変わり、音の厚みと色彩がグッと増した。
JALホノルルマラソン2015 オフィシャルテーマソングにもなった『Blessing Rain』からライブから再スタート。逆境を跳ね返す程のポジティブな力に溢れた歌詞は、栄昇さんの強い意志を宿して響き渡り、奇しくも今日の天気を”Blessing Rain=祝福の雨”に変えたのだった。

バンドコーナーの演奏は沖縄県/石垣島発・アメリカ〜ハワイ、ブラジル経由の音の旅で、色彩豊かに聴衆をアテンドしていく。瑞々しい等さんの鍵盤の躍動感に魅了されながら快適な音の旅は続き、栄昇さんの歌心は再びウチナーへと還る。BEGINのパブリックイメージと言えばルーツの一つである沖縄民謡を歌謡ポップスにまで昇華させた功績であり、それが最大の魅力だと思う。島唄コーナーではあちこちで自然と”カチャーシー”(両手を頭上に挙げ、手首を回しながら左右に振る踊り。)を踊る姿も。

「そろそろ日本中が元気になる復興元年にしたい。」

冗談混じりで場を和ませながらも、会場に呼び掛ける栄昇さんの声は力強く、一点の曇りも無い。全員が客席から立ち上がり、『オジー自慢のオリオンビール』に合わせ高々とエアジョッキで乾杯を繰り返した。
熱気を帯びたこの光景を眺めながら、 遥か昔に訪れた沖縄旅行を独り回想していた。波打ち際の小料理居酒屋で三線等の楽器を持った生バンドの演奏に心酔した。泡盛を飲みながら見よう見真似で歌い、踊った楽しい時間の中で特に印象深かったのは、、、そうだこの曲だった。仙台に戻った後もすっかり”かぶれ”て、当時買うビールはオリオンビールばかりだったし、テンションを上げたい時によく流していたのもこの曲だった。それを一気に思い出していたのだ。レンタカーで恩納村から美ら海水族館のある国頭郡本部町まで走ったあの風景は筆舌に尽くし難く、そこに佇んでいた時間と空気の愛おしさは、走馬灯に甦ってほしいランキング TOP3に必ず入る。不意に大切な人との掛け替えのない時間を心から取り戻したいと思った。これこそが俗に言う”音楽は思い出のしおり”であり、音楽から貰える「よし、明日からまた頑張ろう!」の効力ではないだろうか。

この日の私的ハイライト

マルシャショーラ(上部"BEGINとは"の文中参照)で更に会場を揺らし、不朽の名曲『島んちゅぬ宝』で大団円、コンサートは幕を閉じた。歌詞に込められたメッセージの数々は平和への祈りと普遍的な人間愛を映し出し、暗い世相に一筋の光を差し込む陽だまりのようだった。会場のファンと共有したこの素敵な時間と場所をまた一緒に作りましょうと次の約束をし、どうかそれまでお元気でと健康を労う。そればかりか「おい子供達、人生何があるか分からないぞ!」と自身のエピソードも交えながら夢と未来への希望を持たせた。歴年の貫禄とすぐ側にいるような人柄を同居させたアーティスト、BEGINの愛情に満たされた聴衆は晴れ晴れとした顔で会場を後にし、それぞれの帰路に着いたのであった。


コンサート情報

第25回 BEGINコンサートツアー2022

2022年7月2日(土)
大曲市民会館
OPEN 16:00 / START 17:00
※2022年2月27日(日)の振替公演です。

2022年7月3日(日) 
天童市市民文化会館
OPEN 16:00 / START 17:00
※2022年3月5日(土)の振替公演です。

お問い合わせ(クールマイン)

BEGIN アーティスト情報



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