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【アゼルバイジャン暮らしの日記】暮らしと旅の境界を溶かす。

2024年1月20日

今日のアゼルバイジャンは喪に服している。1990年、ソ連邦からの独立の混乱時に起きた大虐殺の慰霊の日。毎年、この日は雪が降るね、あの夜も雪だった。34年前を知るひとはまだたくさんいる、歴史と呼ぶにはあまりにも生々しい。

とはいえ休みなので、私たちは旅に出た。

我々は、年じゅう週末になるとあちこち小さな国内旅行やホテル暮らしをしていて、夏休みと冬休み(とできたらゴールデンウィーク)は少し長い外国の旅に出る。しょっちゅう旅行に行っているわりに、しかし私はパッキングがあまり得意ではなくて、いつもあたふたする。ともすれば旅行でも家と同じ暮らしをしようとするきらいがあるので、荷作りはいつも盛りだくさんで大がかりになるから。気に入りコーヒーカップも持って行きたいし、できればシャンパングラスだって鞄に詰めたい。いい音で音楽を聞きたいから、スピーカーも持って行きたいし、なんならいつもの枕も持参したい、といった具合で。

旅行用のバッグは、ロンシャンのプリアージュМを。機内持ち込みだけで足りる。

だからあるときふと、逆説的に暮らしを旅にしてみようか、と思った。普段の生活と、旅の境界を徐々に溶かして、旅するみたいに暮らせたらいい。

まずは、ファッション周りを見直した。私はとにかくバッグと靴が好きなので、つい買い集めがち(あだ名は「むかで」)なのだけれども、ぎゅっと好きなものだけ絞り込む。とはいえ、実用本位のモノトーン・ミニマリズムは退屈だから、大きめの書類の入るバッグはピンクに、それにカジュアルにも使えるシャンパンゴールドのモノグラム地のハンドバックと、きちんと見える黒の小ぶりのハンドバッグ、それにボストンバッグ代わりに使うトートバッグ(これまたピンク)に、紫のナイロンのボディバッグ、これはアウトドアにも。ドレスアップのときには、華やかなビーズや刺繍のポーチをクラッチバッグ代わりに使う。靴は、バレエシューズ(定番と差し色)それに白のレザースニーカーと、ベージュグレーのコンバース。それに冬用のブーツを1点。その代わり、足元のおしゃれに、発色のきれいなカシミヤのタイツを買った。

華やかな刺繍のポーチは、旅先で見つけることが多い。

ワードローブも、限られたアイテムを着回す楽しみを突き詰めていったら、本当に好きなものを、少量選ぶスタイルになった。コーディネートの中心を、薄地の華やかなドレス数枚にして、それにシンプルなニットやシャツを合わせて一年中着回す。スカートを2枚持つ代わりに、シルクの上等なスカーフを1枚買う。そうしたら、洋服は天然素材の質のよいものが、実は軽くてかさばらなくてよいこと気が付いた。カシミヤのセーター、シルクのブラウス、リネンのシャツ。重ね着にも使えて部屋着の代わりにもなる、華奢なデザインのキャミソールを何枚か。下着はこまめに手洗いすれば、そんなに数はなくてもよくて、素敵なデザインのものを選んで買う。ジュエリーは、記念日の思い出に買い求めた、ゴールドとプラチナを数点ずつに、パールのネックレス(これは伊勢志摩に旅行に行った時に買った)。これをトラベル用のジュエリーケースの収納して使う。

そして、旅用にしまっておいたものは、毎日の生活でどんどん使う。チタニウムのシェラカップ(スノーピークのを買った)は、計量カップにもなるし、料理の時の小さなボウルの代わりに使えて便利。旅用の小さなケトルは、2人分の湯沸かしにはむしろ最適。こんなふうに日常使いの小物は、トラベルサイズを買うことにする。スピーカー、ヘアアイロン、アロマディフューザーなどなど。旅行用のトイレタリー・ポーチは、いつもバスルームにぶら下げておけば、補充も点検も楽ちん。

普段から、収納にトラベル用品を使う。

生活周りの品々を、旅仕様で見直してみたら、無駄や使い捨てが少なくなって、ぐっとコンパクトになったのは、よい効果。そして、生活用品と共用するので、旅のグッズは、出発の前にまとめて買うのではなくて、普段の生活の中でじっくり選ぶことができるようになった。今、時間をかけてゆっくり選んでいるのは、

  1. バスローブ代わりに着る薄手(コットンかシルク)のローブ。

  2. 上質なトラベルサイズのタオル

  3. 携帯用のシャンパングラス

  4. 素敵な練り香水

  5. 携帯用のネスプレッソ・マシン

  6. 小さいボストンバッグ

といったところです。日本に一時帰国したら、アウトドア用品をじっくり見たい(アゼルバイジャンにはあまり売っていないから)。よい出会いがあるといいな。

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