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子どもたちと映画をつくるワークショップ

映像探究学習コンビビです。
2023年8月18〜19日の2日間、"ビビっ!とくる映画づくりキャンプ2023夏"を開催し、小学4年生から中2年生まで5人の子どもが世田谷区下北沢に集まって、映画づくりのワークショップを行いました。
今回は2日間で、映画の物語(シナリオ)づくり、撮影と編集、そして出演(演技)という3つのパートのエッセンスをギュッっと凝縮したプログラムをつくりました。それぞれのパートはもっと深掘りしていくことももちろんできる(そういったプログラムも今後行っていく予定です)内容ですが、できるだけハードルを低く、みんなで映画づくりをする体験をしてもらうためのいろいろな工夫をして、いい時間になりました。

1日目: 

アイスブレイク: 演技のハードルを下げる

まずは緊張をほぐすためのアイスブレイク。「はぁっていうゲーム」という子どもたちにはおなじみのカードゲームを使って、参加者同士の距離を縮めました。このカードゲームはベストセラーになるだけのことはあってとてもよく練られており、遊びながら人前で演技するハードルを下げることができます。仲良くなりながら、映画の世界に入っていくいいイントロになりました。

演技のワーク: 即興の練習

続いて演技の時間。相手にプレゼントを渡すという設定で、その後の対話は30秒から60秒で即興演技(インプロ)をするというワークを行いました。やる前は戸惑っていた子どもたちも、やってみるとみんな上手にこなします。即興演技を撮影し、それをみんなで鑑賞。自分の演技を観るのは抵抗があるティーンもいましたが、そこで気づいたことや感じたことをシェアして、背景やアングルなど、撮影という行為を具体的にイメージしてもらうとっかかりとしました。

物語のワーク: キャラクターと世界観の構築

続いて物語づくり。子どもたちからは、この時間が一番楽しかったという声が多く聞かれました。「おばけと子ども」というキャラクターの性格や趣味、背景を考えるワークを行いました。

ランチタイムには、下北沢のお母さんの台所、かまいキッチンのお弁当をみんなでパクパク。

シナリオづくりのワーク: 

午後はシナリオづくりの時間に入っていきます。
午前中に作ったキャラクターをどういうシナリオで動かすか、すこし多めに時間をとって物語を膨らませていきます。いくらでも物語を膨らませていってほしいところですが、今回はワンシーンという制限を加えて、最後のセリフは「うそ」で終わることにしました。この時間も子どもたちはとても楽しかったみたい。

絵コンテとロケハン:

続いて伝えたいイメージを構想し、実現するために必要な絵コンテづくりのワークに入ります。まず宮崎駿さんの『となりのトトロ』の絵コンテを参考に、演出家(監督)はどんなことを考えて絵づくりをしていくのか、演出の重要性や方法について学びました。カメラのアングルやその効果、どのくらい細やかにその設定を事前に考えるのかを子どもたちには実感してもらいます。
そして絵コンテを書く前に、会場のCOS下北沢周辺をロケハン。撮影する場所が変わったら、伝わるイメージも変わること。そのためにはどの場所で、どの角度から撮ればいいのか。無限の可能性の中から自分なりの視点をつくっていきます。


そして絵コンテづくりへ。絵コンテは得意な子、すぐにはイメージをコンテにできない子もいましたが、一通り作業が終わったらみんなでシェアして意見を言い合います。そして今日撮影するシナリオを1つみんなで相談しながら決定。この日撮影するシナリオはこれ:

こども 「ううーーここどこ?」
ドクロ 「はい、じごくに来た記念プレゼント」
こども 「はぁ、いてぇー・・・てゆうか、おれだれだっけ?」
ドクロ 「やっと来たな! お前おれといっしょに車でひかれたんだぞ」
こども 「え〜、じゃあここあの世!」
ドクロ 「ああ、でお前もしかして、きおくないのか?」
こども 「そうみたい。ぜんぜん何もおぼえてない!」(あんただれ)
ドクロ 「でもなんでお前だけ後から来たんだ?」
こども 「何か時空の流れにへんなふうにのっちゃったみたい」
どくろ 「うそ! そんなんあんの!」

Sくん作成のシナリオ


撮影①:

撮影の前に技術面でのインプットをすこし。対話を撮るにもいろいろな方法があることを、小津安二郎監督の映画『おはよう』を参考に学び、ルーズとクローズアップの比較についてもレクチャ。
その後、撮影・編集を行いました。今回の撮影場所は向かいの永正寺さんの参道を使わせていただきました(永正寺の藤木ご住職、ありがとうございました!)。
非常に熱い暑い時間帯でしたが、子どもたちは何度もリハを繰り返して、納得いくまで撮影を続けました。演者が笑いのツボにハマってしまい20回くらい同じシーンを撮影していたのも楽しい思い出(^^)。

永正寺さんでの撮影

編集タイム&1日目終了


撮影した素材をiPadに移動してiMovieで編集する時間。撮ったと思った素材が見つからなかったり、カットとカットが思ったようにつながらなかったり、編集していたら思いつくアイディアなどもたくさんあったようです。こうした小さな失敗や反省も次の日への糧になっていました。試写会をするスケジュールになっていましたが、編集担当が「納得いくまでやりたい!」ということで試写は明日までおあずけに。

2日目:

アイスブレイク:

1日目の内容を振り返りながら、また「はぁっていうゲーム」でアイスブレイク。このゲーム、みんなほんとうに好きだし、場も和みます。昨日よりも演技が上手になっているような。

撮影②:昨日のシナリオを別のコンテ、別の監督で撮影:

昨日撮影したシナリオで、午前中は別コンテ、別監督での撮影をしました。同じシナリオでも演出の仕方、撮り方が違うことでまた違った味わいに。 この撮影素材は午後編集に入ります。


別シナリオの絵コンテ作成:


撮影が終わったら、続いて昨日作成したシナリオのうち、みんなで相談をしてもう1つを選び、そのシナリオの絵コンテを作成。今日撮影するシナリオはこちら:

こども (ぶつかる)わっ、すいません
ゆう子 わっ子どもだ。だめだよこんな時間に出歩いてたら。
こども 子どもじゃないです。
ゆう子 子どもだよ? 親からはぐれちゃったの? そうだ。飴をあげよう。
こども いらないです。それより、お姉さん? からだ大丈夫ですか?
ゆう子 え?
こども からだ、やばいですけど。
ゆう子 ああ、大丈夫。死んでるから。それより飴…
こども えっ? 死んでるって…
ゆう子 うん。嘘。

Tさん作成のシナリオ

撮影③: 

ランチを挟んでこの別シナリオの撮影に進みます。今日はCOS下北沢の階段を使って、室内での撮影を行いました。
コンビビのオトナはほぼ見守っているだけというくらい、子どもたちは自分たちで考えて、試行錯誤して、いい画を撮るために奮闘していました。すでに2回も撮影を経験しているので、保険として撮っておいたほうがいい素材のこともしっかり理解して撮影を進めていました。そして参加したみんなが、昨日とは違う役割をできたので、自分はシナリオ、演技、撮影、どこが好きなのか、楽しいのか、自分なりに腹落ちしたようです。

編集作業:

残り時間を使ってラストスパート!


2チームに分かれて撮影した素材を編集しました。はやめに編集を完成させたチームは、エンドロールのクレジットをつけて、さらにBGMもいれています。今回はありモノのBGMは使わないという制限をしていたので、持ち寄った小さな楽器(笛、ちいさな鉄琴、鍵盤ハーモニカなど)をこれまた即興で鳴らしながら録音し、うまくはめ込んでいました。

試写会:

2日間で作成し、完成した3つの作品をみんなでお菓子を食べながら鑑賞会。自分が役者として出ている作品はちょっと観るのが恥ずかしい子もいたりしつつ、撮ったときのことを思い返したり、あるいは撮影した素材がこんなふうに編集されて作品になっていることに素直な驚きを感じたり。

まとめ:

2日間の映画作り、子どもたちは私たちの想像の斜め上を行く創造性を発揮してくれたように思いました。恥ずかしがってなかなか踏み出せないかと思っていた演技も全員がなんなく楽しみながら突破して、キャラクターやシナリオづくりも自分のイメージで遊びながらカタチにしていきました。難関だと思っていた撮影も、さすがデジタル・ネイティブ世代と言いましょうか、複雑なカメラの使い方も、編集での音入れやカットのつなぎといった作業もなんなくこなして表現をカタチにしていってくれました。
私たちがなによりいいなと思ったのは、それぞれが自分のこだわりや主張をしつつも、喧嘩することなく(喧嘩をしないことがいいことだとは思わないですけれども)、話し合いをしながら協力して3つの作品をつくった、そのプロセスがとても頼もしく思いました。参加してくれた子どもたち、どうもありがとう!
今回行った映画づくりワークショップのプログラムは、カイゼンをしつつ今後も続けていく予定です(ご期待ください)。また新しい映像づくりの探究の場を用意していきますので、ぜひいろいろな子どもたちに体験してもらいたいです。

感想ダイジェスト:

【Fさん(小6)の感想】
(楽しかったこと)「重い本をもちながら階段をかけたりのぼったりした事と、キャラせっていをかんがえ、絵コンテをかいたこと!!
(撮影)どこからとろうか、考えるのが、とてもたのしかった!!
(演技)アドリブはむずかしかったけれど、だい本があるのは、とてもたのしかった!!

【Tくん(小4の感想】
(楽しかったこと)物語をつくるの楽しかった
(撮影)うごかしてとるのがむずかしかった
(演技)わらわないのがたいへんだった

【Aさん(中1)の感想】
(楽しかったこと)作るのはたのしい!結構わくわくする!
(撮影)撮るのがすごく楽しかった!自分が撮影したのが映画?(映像)になるのがうれしい

【Yくん(中1)の感想】
(物語)自分でキャラクターを作ったり物語を考えたり、全て1から考えれて楽しかった。
(撮影)どこから撮ったら印象強くなるかとか、人の目線でアングルを動かしたりできて楽しかった

【Tさん(中2)の感想】
(物語)シナリオ作りはあまり自信がないが、人の作ったシナリオを絵コンテにするのはやりたい。
(演技)アイスブレイクやアドリブでの演技が楽しかった。


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