きっと、大人の女性のための本だと思う。
2021/1/26 読書記録no.19『試着室で思い出したら、本気の恋だと思う。」尾形真理子
先日、仕事終わりにBOOKOFFに寄った時、ふと手に取った本。
タイトルにレースが少しかかっているデザインが、
とても可愛くて、儚い気がして、
なんか読みたくなって、購入しました。
中身は、短編集なので、
仕事の休憩中に、比較的サラッと読み進めることができました。
内容を簡単に説明すると、
あるアパレルショップに訪れる女性一人一人のストーリーが
短編集として描かれています。
あらすじ。
年下に片思いする文系女子、不倫に悩む美容マニア、
元彼の披露宴スピーチを頼まれる広告代理店OL…。
恋愛下手な彼女たちが訪れるのは、路地裏のセレクトショップ。
不思議な魅力のオーナーと一緒に自分を変える運命の一着を探すうちに、
誰もが強がりや諦めを捨て素直な気持ちと向き合っていく。
繊細な大人たちの心模様を丁寧に綴った恋物語。
著者。
尾形真理子
1978年東京都生まれ。
2001年、博報堂に入社し、コピーライター、制作ディレクターとして活躍。LUMINE、資生堂、東京海上日動あんしん生命、TIFFANY&Co.、
キリンビール、日産自動車などの広告を手がける。
朝日広告賞グランプリ他受賞多数。10年に本作で小説家デビュー。
印象的な言葉。
P44 似合うのと、似合いすぎるのは、違うのか。
その二つが別のものだと思うと、合点がいく。
P47 「勝負する」というのは、
「目の前にいる人を常に真正面から受け止められるか」
P50 新しい色を何度も重ねていく手間と気持ちを、
私は面倒くさがっていた。
P69 モテるということと、
人を好きになれるということは、どうやら違うみたいだ。
P86 体は少しずつ、変化していくのが普通です。
太ったとか、痩せたとか、垂れたとかだけじゃなく、
年とともに内面が変化することで、
見た目の印象も変わってきたりするようです。
若い頃は勢いで着られても、年を重ねると服も人を選ぶということ。
年を重ねてもっと違うパンツが着こなせるようになるということ。
P88 自分にとっての「いい人」は、自分で決めるしかないのだから。
アパレルショップに訪れる女性たちは、服を買っていきます。
女性一人一人それぞれにストーリーや背景があって、
どんな思いで服を買うのか、何のために服を買うのか、
これまでの服が似合わなくなった自分の移り変わりなど、
女性なら、きっと何かに共感して、
思い出を振り返ってしまうんじゃないかなって思いました。
そんなことを言っているけど、
私は、ほとんど「恋」の経験がないのですが、
この本を読んでいて、
恋をすると、こうやってふとした瞬間に思い出すのか…と、
気づきでしたね。
恋、してみたいな、とも思いました。
さらにこの本は、一話一話が終わるごとに、
写真のように言葉が書かれているんです。
これが、とても素敵でした。
なんだか、ホッとするような、そんな気持ちになりました。
丁寧に生きていきたいな、とも思いました。
ちゃんと、自分を見つめて、洋服とも向き合いたい、とも思いました。
片思いでも、叶わない恋でも、
臆病になりそうな恋でも、
両手で抱きしめてあげたい、とも思いました。
感情表現がとても上手で、
景色描写がとても綺麗で、
読んでいて、恋に疎い私でも夢中になって読んでしまいましたね。
大人の女性のための、
可愛らしい、そんな本だと思います。
恋をした時、また読んでみたいな。(いつ訪れるかは、わからん。笑)
おりょう☺︎