見出し画像

深掘り! 水中写真家・越智隆治さん[後編] ”生き物たちを尊重し調和していく”という想いを永遠にもって・・・

イベント初日から大変盛り上がっている
ダイバー・ダイビングショップ・海洋研究者・環境活動家と、海の魅力や今・未来について直接話せるオンラインイベント
Online Diving Expo(オンライン ダイビング エキスポ)2020が、緊急事態宣言にも負けず、2021年1月15日(金)〜17日(日)の3日間の日程で開催されています。

画像1

このダイビングEXPOを主催している[株式会社United Oceans]の代表であり、このイベントの発起人のお一人、メディアでもご活躍の水中写真家、越智隆治さんに、イベントの魅力と、世界中の海に潜って来た越智さんが見てこられた海と地球と人について深掘りさせていただいています。

心を動かされるたくさんのお話を伺うことができたので、前編後編の2回にわかって、深掘り記事にまとめさせていただきました。
(越智さんのプロフィールと前編は下のバナーからご覧いただけます。)

◆世界中の海で目にした忘れられない光景 〜このイベントにかける思い〜

新聞社の仕事を辞め、水中写真家として世界中の海で大型海洋生物と泳いできた越智さん。

近年、その世界中の海で、目に焼き付いて離れない光景を何度も目にするようになっていきます。

世界中の海で目にした光景

・ゴーストネット(海に捨てられた漁網)が海洋生物に絡まっているシーン
・プラスティックバック(ビニール袋)が首やヒレに巻きついている様子
・体の一部を船のプロペラで切断された姿
・ヒレが釣り糸に絡まって千切れてしまっているところ
・死んでしまったクジラなどの内容物からプラスチックバックなどが出て来る光景

便利すぎる人の暮らしの先で、海の生き物たちが傷ついている姿を見ることが少なくないのだそうです。

画像16

越智さんの言葉です。

(越智さん)ーーーー

そういうのを見るにつけ、前々からダイビング業界を中心に環境のことを考えるような場を作っていければなという思いがあって、オンラインコミュニティを立ち上げました。

“考え方が違うと人とか人間じゃない生き物たちを尊重して接していく”
そういう想いを永遠に持って生き物たちに接していこう。

ということを考える人たちのを集めたコミュニティーです。

今回のイベント(オンラインダイビングEXPO2020)は、そのメンバーが中心となって運営しています。
ーーーーーーーーーーー

画像2

越智さんたちが立ち上げられたオンラインコミュニティに興味がある方は、下のバナーから詳細ページを開いていただけます。


人の生き物への接し方にも変化が

越智さんご自身、以前はゴミを見つけたら黙って拾って持ち帰る。周りに声を大にしていうということまではしていなかったそう。
けれど、本格的に環境問題にも取り組んでいこうと動き出したのには、人の生活による海の環境の変化だけではなく、人生き物の触れ合い方の変化も目にするようになったからだと話してくださいました。

(越智さん)ーーーーー

前はプラスチックゴミが海に落ちていても、黙って拾って持って帰るという感じだったんです。新聞社ではそういうことを書いていたけれど、辞めてからそういう問題からは遠ざかっていました。

でもずーっとやっていく中で、楽しんで感動してもらうのはいいことだと思っているんですが、今は大きいデジタルカメラを持つ人も多くなってきて、海洋生物について相手に思いやりを持ってもらえたらという思いがあるけど、「撮影したい」「近づきたい」という思いの人が多いなと思うことがあるんです。

ルールとかを厳しくいう方ではなかったけれど、観光客が海に増えていて、今まで1・2隻でゆっくり行けていたのに、「クジラと私」の写真をインスタにあげるのが流行ったりして、動物園に見に来て写真を撮るような感じの人が増えてしまった。

一人一人に話したら理解してくれるのかもしれないけれど、そういう人たちが増えてくると、クジラも怖がって逃げてしまったり、経験の少ない船長さんが競争のようにむやみに船を走らせていたり、スピードを出しすぎてクジラに激突して沈没するようなことが起こっていたりします。

今まではクジラのことを好きな人が少人数でやっていたことが、クジラに興味がない人まで来てしまうことでボートのエンジン音を聞いただけで逃げるようになってしまったんですね。

写真を撮りたいという思いはあるけど、彼ら(海洋生物たち)がなるべく嫌がらない方法でアプローチをしていたのが、そういうことを考えることが増えて来てどうにかしないといけないと思い始めました。

今までは発信を促進する活動はしていなかったけど、やっていかないといけないと思うようになりました。
ーーーーーーーーーーー

画像3

(糸が絡まってヒレがちぎれそうになっているクジラ)

こうして、ダイバーそれそれが少しずつ意識して過ごし行動していくだけではなくて、ダイバーや環境活動をする方がつながり、一つになって、力を合わせたり共に発信しながら行動を起こしていける土台を作っていこうと、今回のオンラインダイビングEXPOの開催に踏み切られたのですね。


◆水族館でお泊まり会?…潜らなくてもできること

今回の活動以外に、環境に関わって取り組んでおられることがあるのかを聞いて見たところ、とても面白い取り組みを教えてくださいました。

(越智さん)ーーーーー

水族館でのお泊まり企画

これは、野生の生き物ではないので、人によってはちょっと「どうなの?」という方もおられるかもしれないんですが、
鴨川シーワールドのカレンダーの撮影をしたことがあり、夜水槽の前でのお泊り企画をしたことがあるんですね。

お母さんと小さいお子さんが結構参加してくれて、イルカやアシカの水槽の前で寝袋を持っていって泊まるんです。またやってほしいという声もありました。

小さい子どもたちが野生の生物に接することはなかなか難しいけど、夜にどういう活動をしているのか見る機会もあり、興味を持ってもらえるきっかけにもなるかなと思って、またやりましょうと伝えたら、鴨川シーワールドさんも是非と言ってくださいました。(今はコロナのためやれていません)
ーーーーーーーーーーー

画像4

こんな水槽の前でお泊まりできるなんて、ワクワクしますね。まずは楽しく海の生き物のことを知ることで、命を尊重して共に生きていくという気持ちが芽生えるきっかけになるのだと思います。


◆石から紙?…写真展での取り組み

ご自身の写真展でも、環境に配慮したチャレンジをしておられるそうです。

(越智さん)ーーーーー

石から紙?

今開催している写真展なんですが、
作品をプリントするのに、普通は印画紙など(木から作られた紙)を使うのですが、今回は石(石灰石)から作っている紙にプリントしてそれを展示するんです。

ライメックスと言って、石灰石から紙を作るというものです。

画像5

なぜ紙にこだわるのか

なんで僕がそれをやりたいって思ったかというと、
プラスティックを大量に使いすぎているのが問題になっていて、企業がプラスチックをやめて植物性由来の製品を使って包装をやったりとかっていうのがある。(髪の包装紙やストローなど)
細かいところではあるけど、ちょっと前までは森林伐採で二酸化炭素とか言われていたのに、そっちに戻っちゃうのってどうなのかなと思いました。

紙もプラスティックも便利だけど、森林伐採で木がなくなっているのが問題になったり、マイクロプラスチックなど、地球上にプラスチックが大量に出て問題になったりというのは、「作りすぎてる」っていうのがあると思う。

そんな中で、これをやっているのは日本の企業なんですけど、紙(木)に戻るんではなくて別の素材もあるんだよという提案がしたいと考えています。

画像6

何かを使っていかなければいけないのであれば…

それから、ライメックスの紙というのは、普通の木から作るときの10分の1の水の量で作れるのだそうです。

専門家の間では50年後地球が水不足になるとも言われていて。

こういうものを使っていくということが値段は高いけれど、何かを使っていかなければいけないのであれば、選択肢に入れていくことも地球のことを考える一つの手段なのかなと思っています。
ーーーーーーーーーーー

画像7

改めて、

”考え方が違う人とか人間じゃない生き物たちを尊重し調和していく”という想いを永遠に持って、生き物たちに接していこう。

という越智さんの志が、一つ一つの取り組み、挑戦につながっているのだなということを強く感じます。


◆Online Diving Expo(オンライン ダイビング エキスポ)2020について

越智さんをはじめ、越智さんの志に共感した方達が立ち上げたイベント、Online Diving Expo(オンライン ダイビング エキスポ)2020が、2021年1月15日(金)〜17日(日)の3日間の日程で開催されています。

昨年11月に開催予定でしたが、コロナの収束が見えない現状も踏まえて、こうしてオンラインでの開催に踏み切られました。

”考え方が違う人とか人間じゃない生き物たちを尊重し調和していく”という想いを永遠に持って、生き物たちに接していこう。

という志のもと、その思いを世界中に広げ、世界中のダイバーや環境活動に取り組む人・企業がつながって、そして次世代に美しい海を残していく為のイベントです。

あらゆる方面で、海に関わり、ダイビング・研究・発信をしておられるスペシャリストたちの講演をきくことができ、
さらに、そのような方達と実際に言葉を交わして交流することができます。

画像8

ープログラムをご紹介

15日は夜の部からスタートし、16日・17日は昼の部と夜の部を開催。

各回、前半は上記でも紹介した魅力ある講師による講演 、後半は全国各地、そして世界で活動するダイビングショップや研究者などの出展ブースを回って交流できる交流タイムが設定されています。

ここでは特別講演のプログラムをご紹介します。

● 1月15日(金) 19時〜
沈没船!?水中遺跡!?トレジャーハンター!?歴史の謎を解き明かし、貴重な水中遺跡を保護する海洋考古学者のお仕事とは?

水中考古学入門~海に眠る歴史を紐解く~
(船舶考古学研究者 山舩晃太郎 氏)

画像9


● 1月16日(土) 13時〜
「ゴミ」という言葉がない国があります。
中目黒でのゴミ拾いがミクロネシアに渡ったお話。

Think Globally, Act Locally
~ゴミ拾いという市民活動が海を渡る~
(フォトジャーナリスト 道城征央 氏)

画像10


● 1月16日(土) 19時〜
広い海の中の流れをどのように調べるか知っていますか?
海の酸性化や日本の海の周りの温度について聞いてみよう。

海の天気予報と変わりつつある海
(ジャムステック主任研究員/海洋予測解説サイト「黒潮親潮ウォッチ」担当 美山 透 氏)

黒潮親潮ウォッチ


● 1月17日(日) 13時~ 
女版マイケルムーアと呼ばれた、日本人映画監督
捕鯨に関する賛否の両者の主要人に取材した映画『ビハインド・ザ・コーヴ』の監督に聞くイルカ・クジラのお話

捕鯨賛成派から見たイルカ・クジラに良い環境
(映画監督・八木 景子 氏)

画像12


● 1月17日(日)19時~ 
ゴミを真面目に拾ってはいけない!?ダイビング系、超人気youtuberによる、楽しくゴミと向き合う方法

スイチャンネル流、海ゴミへの向き合い方
 ~真面目に拾わずゆるーく向き合う!~
(ユーチューバー・すいチャンネル 氏)

画像13

(プログラムの写真はイベントHPより)

面白そうなテーマがありましたか?

===============================
▼イベントのお申し込みはこちらからどうぞ!▼

1/16夜 https://peatix.com/event/1720827/view
1/17昼 https://peatix.com/event/1720829/view
1/17夜 https://peatix.com/event/1720831/view

===============================

テレビ番組を見る感覚で、視聴していただける上に、チャットを通してその場で質問やメッセージを送りやり取りすることもできます。

また、講演後の交流タイムには、普段なかなかお話を聞けない、面白い活動をされている方に質問をしたり、ダイビング関係の方・環境関係のかたとつながりを作ることができます。

興味のあるテーマがあれば、ぜひご来場ください。

タイムテーブルはこちらのバナーからページを開いて確認いただくこともできます。


ー参加方法

参加には、パソコン(カメラ・マイク・スピーカー)とインターネット環境があれば、【どなたでも】【無料で】参加できます。

インターネットは、Google Chrome(グーグル クローム)から開きましょう。

webbrowserのコピー

ダウンロードが必要な方はこちらから。
>>Google Chromeをダウンロードしてインストールする

その後、イベントの入室ボタンを押すと、Remo(オンラインイベントツール)が開きますので、初めての方はアドレスの登録(無料)をして、入室します。

参加や設定の詳細は、下のホームページから確認することができます。


ーイベント詳細・ご参加

イベント内容、パソコンの設定や参加方法の詳細などは、イベントホームページのメニューからもご覧いただけます。
参加用のリンクもページトップに表示されていますので、そちらからご参加ください。

▼イベントホームページはこちらです▼(バナーをクリック)

ZOOMとも違うツールでの開催で、一番最初は難しさを感じる方もいらっしゃるかもしれません。
けれど、初回の登録だけやってしまえば、あとは本当に簡単な操作で楽しんでいただくことができます。

外出を控えてお家で過ごしていらっしゃる方も多いと思います。

面白そうと思っていただけましたら、ぜひこの機会に参加してみられてください。

海を愛するスタッフたちが、貴方をお待ちしています。

画像15


◆編集後記

私たちcontigo編集部は、昨年夏に開催されたプレイベントから、このイベントを追いかけています。

一人でできることには限りがあっても、つながり仲間となることで実現できることが必ずある。

コロナで会う機会が作れなくても、遠くて一同に集うことが難しくても、このようなオンラインイベントを通して、世の中を楽しくよりよくしていける活動が広がっていくことを願っています。

▶次の記事は、「水中モデル」の稲生薫子さんへのインタビューです!



最後までお読みいただきありがとうございました。

記事作成:Contigo編集部 汐口あゆみ
広報秘書・コピーライターとして活動。ヒトモノコトのストーリーを引き出し文章化することを得意とし、ニュースレター・チラシ・ランディングページなどの文章を執筆。人と人を言葉でつなぎ、講師のセミナーやイベントのプロデュース、企業の人間関係構築のサポートを行う。

よろしければサポート(投げ銭)いただけましたら嬉しいです。