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「どうせやるなら楽しくやろうぜ」お祭り野郎からの学び

今週の火曜日、以前記事にしたセミナーが開催された。
そこで講師がこんなエピソードを紹介してくれた。

「顧客向けのDMの封入作業を2000通、皆でやっていた。
すべてが完了した時に部下がそのDMに1枚資料を入れ忘れたと言い出した。
おい、2000通終わったばかりじゃないか、いい加減にしろよ、と怒りが込み上げる。
とはいえ、やらなくてはならないので封をしたDMを1つ1つ空けて1枚1枚皆で再び入れ始めた。
なんでこんな無駄な作業をさせやがって。
イライラしながら作業をしていた自分。
そこに社長がやってきた。
封入作業をやるのかやらないのかを笑顔で聞いてきた。
やりますよ、
と不貞腐れて答えた自分。
本当にやるのか、
もう一度笑顔で聞いてくる社長。
やるって言ったでしょ、
と先ほどより語尾を強める私。
じゃあ、楽しくやろうぜ、チーム作って競争しよう、負けたチームが勝ったチームにビールを奢る、
こんなことを社長が言い出した。
最初は訳が分からなかったがやっていると楽しくなっている自分がいた。
結局、2000通の作業は楽しく終わり、美味しくビールを飲んだという出来事があった。
生きていればこれは不幸だ、アンラッキーだと思える出来事が多い。
それを、なんで俺がと捉えるのか(他責)、仕方ないやるか(妥協)、と捉えるのか。やらないという選択肢があるならば良いが
やると決めたならばありがとう、このおかげでチーム力が高まったぜ(絶対積極)と捉えてやった方が楽しいじゃん」



5年ほど前、前職の時代の話。
部下が担当していた施設でやらなければならない書類が整っていないことが判明。
しかもかなり膨大な数。
その部下の上司であった私は役員から厳しく叱責を受け、翌朝の金曜日、始発の新幹線で施設に向かう。
把握して処理するにはかなりの時間、そして人員が必要な状態であった。
役員に報告したところ、私の部署の人員すべてかき集めて土日で何とかしろ、と指示を受ける。

土曜日の朝、全国各地から部下がその施設に集まる。
総勢12名ほど。
皆、急に土日を潰し、しかもやらなければならない作業の膨大さは何となく理解している。
重苦しい雰囲気が漂う。
私も部下の失態とはいえ私の管理責任。

雰囲気も重くなる。

「祭りですよ、祭り」

部下の1人が急に笑顔で言い出した。

「こんな機会無ければ各営業所メンバーと一緒に作業すること何てないですよ、祭りですよ祭り」

何を言っているんだ君は、お通夜の席で万歳三唱しているようなコントラスト。

しかし、その一言で全体の張りつめた空気感が緩んだのは間違いない。
部下を土日に招集して作業をさせる罪悪感があったが、どんな罪悪感を持っていたとしても今、やらなきゃいけない作業量が減るわけではない。

夕方、作業は夜通しやっても間に合わなさそうな量だった。
「よし、23時までにここまで終わらせて1時間だけ皆で飲みに行こう」
砂漠に1本旗を立てた。
皆、旗が分かると作業スピードが上がった。
前日急に言われて休日返上、生産性のない尻拭い、でもやらなきゃいけない作業。

そして23時の乾杯、皆の笑顔。


そのエピソードを思い出した。

いろんな不条理な出来事は起こる。
何で俺が、と他責したくなる時もある。
仕方ないやるかと受け止めて時もある。
でも、どうせやるんでしょ、
「祭りだ」
とむしろポジティブに楽しもうぜ。

この「祭りだ」と言い出した、めでたいお祭り野郎は今、我が社のメンバーである。

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