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天皇制という制度は存在しない

 先の天皇陛下の御譲位により元号は令和に改元され、私たちもこの元号にだいぶ慣れてきた気がします。
 この御譲位の一連の流れや、今後の皇位継承の話など皇室に関する様々な議論が交わされていますが、そもそも「天皇制の是非はどうなの?」といった議論も耳にします。 
 
 その「天皇制」なんですが、憲法に「天皇」の項目があるので、日本国の制度の1つとして捉われがちですが、厳密にいえば天皇陛下の御存在は制度ではありません。
 天皇陛下の御存在は「国体」、つまり国の形であり、私たちの国が日本国としてある、根拠なのです。
 どういうことかというと、国・国家というものは、それ自体が形成される根拠があり、それに基づいて統合・構成された、主権・領土・人民を有する集合体です。
 ですから、どの国にも国が国として統合・構成される、歴史的且つ精神的な根拠があります。例えば、アメリカはイギリスから自由を求め独立。フランスは圧政からの革命。他にも、宗教や思想、戦いの英雄による建国などがありますよね。
 私たちの国、日本はというと、戦争や分断でもなく、宗教や思想でもなく、それが天皇陛下の御存在に起因しているということになります。集合体としての人と土地が天皇の権威で統合されているのです。 つまり、これは制度ではなく私たちの国が日本国としてある根拠であり、国の形なのです。

 更に話を進めると、日本は「天皇のしらす国」と言われます。これは古事記や日本書紀などに由来する表現で、「治ス」とも「知ラス」とも書き表せますが、この場合、知ラスと書くとわかりやすいでしょう。これは、日本は天皇がお知りになられる国ということ。天皇陛下は常に国のこと国民のことを知って思い、その繁栄を願い祈られる。
 これって、家族のあり方と同じに思いませんか? 日本国を1つの家族として考える。それが、私たちの国が天皇陛下の御存在とともに日本国として長い歴史を育んできた素晴らしい根拠なのです。
 家族が一緒に過ごすのは制度だからですか?家族に世話を焼くのは制度だからですか?親が子を養い、子が親を敬うのも制度だからですか?違いますよね。同様に、天皇陛下がいらっしゃり国民が統合されていることは制度だからではないのです。

 ここまでお話すれば気づくと思いますが、私たちの国はいにしえから、制度化された天皇の権力によって統治される国なのではなくて、天皇の権威によって統合される国なのです。これは世界の歴史に類を見ない国のあり方です。

 天皇制の是非を問う前に、この国のあり方がとても平和的で崇高なものなのだということを今一度確認したいものです。

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