今紺しだ

▷短歌を詠む一介の学生です ▷歌集を出しました(固定記事参照) ▷マガジン「一首評」も…

今紺しだ

▷短歌を詠む一介の学生です ▷歌集を出しました(固定記事参照) ▷マガジン「一首評」も何卒 ▷学生短歌会「京大短歌」所属 ▷よく聴く音楽はボカロです(マガジン「好きな曲」も是非) https://consida.wixsite.com/tanka

マガジン

  • 作品発表・広報・その他

    歌集関連情報を書き綴ったり、作品を置いたり、創作について思ったことを喋ったり……

  • 好きな曲

    ボカロ曲が多いです。

  • 読書記録

    読書の感動を言語化する練習です。

  • 一首評

    詩歌の鑑賞。短歌の一首評が多いです。

  • データサイエンス関連

    初学者が自分の勉強のために書いた記事です。万全を期していますが、正確でない場合があります。

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歌集を上梓しました

書籍情報 書名: 歌集 晴れ上がり 著者: 今紺しだ(リンクから経歴をご覧になれます) 発行: TEMMA BOOKS(通販あり) 発売日:2024/05/07 ISBN: 978-4-911105-16-0 価格: 税込1760円 取り扱い書店様 ストアーズ  WONDER STANDARD       (出版社からの通販です) 大手通販   楽天ブックス        Amazon オンライン  詩集のお店 よこやま書店(SOLD OUT) 京都府    京都

    • tuki.『一輪花』鑑賞

      「晩餐歌」で一躍有名になった歌手 tuki. さんの、切なくも力強いバラード「一輪花」。当時中学生の tuki. さんが歌唱だけでなく作詞作曲もされたそうですが、巧みな比喩や韻が情感を増幅しています。 一番Aメロから順に鑑賞していきます。 イントロ無しで歌い出して、続きの気になる歌詞で即座にリスナーを引きつけます。動画サイトでスキップさせない効果もありますね。 「私」に大きな影響を与えた人がいて、その人と離別か決別か何かがあったらしいことを序盤で明かし、すっかりリスナー

      • 書評への感謝、そして関西弁毒舌お姉さんとの攻防

        角川『短歌』2024年9月号 の書評のページで廣野翔一さんが拙著『晴れ上がり』を取り上げてくださっています。総合誌で評していただけるなんて、夢みたいです……! ※ 以下、引用部分を括弧内太字にします。どれも引用元は角川『短歌』2024年9月号 p227、廣野翔一さんによる書評です。 天衣無縫とはいかないなぁ書評の一文目を引用(私の脳内ツッコミを添えて)させていただくと 〈青春の瑞々しさ、〉 私の十八番なんでね…… 〈みたいな話ができる歌集だが、それより〉 あっ違う方向い

        • 小金森まき『変異の途中』鑑賞

          たにゆめ杯4で最優秀賞(たにゆめ賞)となった、小金森まきさんの10首連作『変異の途中』を鑑賞して勉強したいと思います。 個人的に好きな作品なので、おそらく我流な読みになってしまいますが……。 作品や選評を含めた選考結果は下記リンク(上記ツイート内にあるものと同じです)から閲覧できます。 たにゆめ杯選考結果報告資料 では一首目から順に。 視覚的なイメージが鮮明に浮かびますし、爽やかで続きを読みたいと思わせてくれる比喩です。連作世界への導入(船出)にピッタリだと思います。

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        記事

          歌詞の一文が長いのが好き

          最近ヒットチャートではリズミカルに短いフレーズを重ねる曲が増えたような気がする。令和のスピード感か。クールなスピード感の曲でクールなダンスを踊るグループが次々に出てくるなぁという印象。 時代に逆行するかもしれないが、一文が長いと味わいが深まりやすいと思っている。そんな曲を平成J-POPを中心に挙げてみたい。 ▲子供にも親しみやすいような言葉とメロディーだが、考えさせられる。 ▲小説のような繊細な描写。このエモさは長い一文にこそ宿る。 ▲二人の幸福感を丁寧に伝える。話は

          歌詞の一文が長いのが好き

          平井大『Stand by me, Stand by you.』鑑賞

          たくみな人称の切り替えによって、甘さを中和するかと思いきや、むしろ増強してしまう激甘ラブソング。 A-Bメロでは「ボク」の視点から「キミ」との仲むつまじい日々が描かれる。 サビに飛ぼう。 サビでは「75億分の一人(ボク)」と「(75億分の)一人(キミ)」の物語が、三人称の視点から語られる。カメラをぐっと引き、世界全体を視野に収めるのだ。 「ありきたりな」「当たり前のように」と一見ドライに突き放す言い方をするが、「キス」等の甘さを踏まえると「世界の中ではありきたりな恋で

          平井大『Stand by me, Stand by you.』鑑賞

          TOMOO『Super Ball』 丸くて幼くてカラフルな心(スーパーボール)を隠し持って、四角く刺々しい社会(ビル等)を生きる美学を歌う。「そのままでいい(うつむいたまま・丸いまま)」と「強くあれ(踊って・つらぬいて)」を両立させる。 転がりだす、歩くなど動詞が効果的だ。

          TOMOO『Super Ball』 丸くて幼くてカラフルな心(スーパーボール)を隠し持って、四角く刺々しい社会(ビル等)を生きる美学を歌う。「そのままでいい(うつむいたまま・丸いまま)」と「強くあれ(踊って・つらぬいて)」を両立させる。 転がりだす、歩くなど動詞が効果的だ。

          条件分岐型短歌連作『空色マルチシナリオ』

          こんばんは、短歌はお好きですか?あるいはゲームはお好きですか? この記事では、私のご用意した短歌30首をゲームとしてプレイしていただきたいと思います! マルチシナリオ型のゲームのように、あなただけの物語が展開していきます。 あなたは最短経路で青春を脱出できるでしょうか!? GAME START! 01  君と見た空の色さえ褪せてゆく徐々に心が石化してゆく 02  ぼくがなにも言わないうちにネモフィラは青く光って消えてしまった きみを よびとめる →03へきみを

          条件分岐型短歌連作『空色マルチシナリオ』

          Omoinotake『幾億光年』鑑賞

          Omoinotakeのヒット曲『幾億光年』について、「光」「声」「時間」「距離」等に着目して鑑賞していきます。 やわらかな歌い出しですが、相手への思慕や、それにもかかわらず声も聴かせてもらえない(電話もできない?)隔絶が提示されます。 思い出への執着が、具体的で身近な描写から伝わってきます。 一緒に暮らしていたのでしょうか、親密な関係だったことが窺えます。 歌詞の随所に「音」や「声」の表現が出てきます。 一緒に過ごしている間は思い出が更新されていきますが、離別の後は

          Omoinotake『幾億光年』鑑賞

          tuki.『一輪花』 クリアな比喩で離別を歌う。愛が雨(哀しみ)に変わり、風(弱さ)に揺れても「凛と立つ」一輪の(孤独な)花(主人公)。サビのaとiの韻には明るさがある。 「咲き続けるために」変わっていくという歌詞は、細胞が恒常性維持にエネルギーを要することも連想させる。

          tuki.『一輪花』 クリアな比喩で離別を歌う。愛が雨(哀しみ)に変わり、風(弱さ)に揺れても「凛と立つ」一輪の(孤独な)花(主人公)。サビのaとiの韻には明るさがある。 「咲き続けるために」変わっていくという歌詞は、細胞が恒常性維持にエネルギーを要することも連想させる。

          憧れのボカロPから考えたプロの定義

          「この人の作るボカロ曲、素敵だな」に該当するボカロPは沢山いて、一人を挙げろと言われると悩ましい。一方「この人の仕事の仕方に憧れる」に該当するボカロPなら真っ先に挙げたい人がいる。40㍍Pだ。 誰?と思われた方、次の記事をチラ見していただければと。 ボカロも短歌も中々それだけで生計の立つ領域ではなく、その必要もないと思う。ではプロフェッショナルをどう定義するかだが、ここでは私は「信頼され仕事を任せられること」としてみたい。 そういう意味ではエンタメ業界の内外でのタイアッ

          憧れのボカロPから考えたプロの定義

          スピッツ『ロビンソン』 相反する言葉を結びつけて不思議な世界を築く。 「二人だけの(個人的)国(公的)」「宇宙の(真空)風(空気)」「しかめつら(嫌悪?)まぶしそうに(憧憬?)」「ありふれた(日常)この魔法(非日常)」「待ちぶせた(必然の遭遇)夢のほとり(偶然の遭遇)」等。

          スピッツ『ロビンソン』 相反する言葉を結びつけて不思議な世界を築く。 「二人だけの(個人的)国(公的)」「宇宙の(真空)風(空気)」「しかめつら(嫌悪?)まぶしそうに(憧憬?)」「ありふれた(日常)この魔法(非日常)」「待ちぶせた(必然の遭遇)夢のほとり(偶然の遭遇)」等。

          忘れたなら「かなった」根拠はなく、「きっと叶わなかった」と述べても不思議ではない。人生を満ち足りたものとして振り返るからこその「きっとかなった」であろう。 懐かしいモチーフ、素朴な言葉遣い、素直なリズム。明るい童心を隠し持ったまま年齢を重ねた人の、優しさや幸福感が伝わってくる。

          忘れたなら「かなった」根拠はなく、「きっと叶わなかった」と述べても不思議ではない。人生を満ち足りたものとして振り返るからこその「きっとかなった」であろう。 懐かしいモチーフ、素朴な言葉遣い、素直なリズム。明るい童心を隠し持ったまま年齢を重ねた人の、優しさや幸福感が伝わってくる。

          文法的にも韻律的にも据わりの悪い「抜け出してプールサイド」に臨場感がある。後半「のが見えた」も字足らずで、「走る」のスピード感を増幅する。動詞数も多めだ。 授業や規則を抜け出した少年少女に、変則的で勢いのある文体が似合う。この正体不詳の、一瞬の「ひかり」は青春そのものだろうか。

          文法的にも韻律的にも据わりの悪い「抜け出してプールサイド」に臨場感がある。後半「のが見えた」も字足らずで、「走る」のスピード感を増幅する。動詞数も多めだ。 授業や規則を抜け出した少年少女に、変則的で勢いのある文体が似合う。この正体不詳の、一瞬の「ひかり」は青春そのものだろうか。

          都市生活を俯瞰的に捉えた比喩。 「地下鉄が地上に出る瞬間」は「鯨が海面に出る瞬間」のように少し息が楽になる。列車(鯨)に飲み込まれては吐き出される人々は確かにプランクトンのようだ。 この「面持ち」は無表情と解釈した。満員電車で疲れて出勤するのだろうか。「我ら」に臨場感がある。

          都市生活を俯瞰的に捉えた比喩。 「地下鉄が地上に出る瞬間」は「鯨が海面に出る瞬間」のように少し息が楽になる。列車(鯨)に飲み込まれては吐き出される人々は確かにプランクトンのようだ。 この「面持ち」は無表情と解釈した。満員電車で疲れて出勤するのだろうか。「我ら」に臨場感がある。

          hirihiri & lilbesh ramko feat.IA『残響ディスタンス』 電子音をおしゃれに使ったボカロ曲。人の声の入る部分もあり、ボカロの機械らしさが際立つ。 意味の不明瞭な歌詞の中で「君」への思慕だけが鮮明に立ち現れる。ロボットが不器用に人を愛するかのようだ。

          hirihiri & lilbesh ramko feat.IA『残響ディスタンス』 電子音をおしゃれに使ったボカロ曲。人の声の入る部分もあり、ボカロの機械らしさが際立つ。 意味の不明瞭な歌詞の中で「君」への思慕だけが鮮明に立ち現れる。ロボットが不器用に人を愛するかのようだ。