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歌詞の一文が長いのが好き

最近ヒットチャートではリズミカルに短いフレーズを重ねる曲が増えたような気がする。令和のスピード感か。クールなスピード感の曲でクールなダンスを踊るグループが次々に出てくるなぁという印象。

時代に逆行するかもしれないが、一文が長いと味わいが深まりやすいと思っている。そんな曲を平成J-POPを中心に挙げてみたい。


この中で誰が一番だなんて 争うこともしないで バケツの中誇らしげに しゃんと胸を張っている

世界に一つだけの花 / SMAP

▲子供にも親しみやすいような言葉とメロディーだが、考えさせられる。


君が大人になってくその季節が 悲しい歌で溢れないように 最後に何か君に伝えたくて 「さよなら」に代わる言葉を僕は探してた

奏 / スキマスイッチ

▲小説のような繊細な描写。このエモさは長い一文にこそ宿る。


"ありがとう"って伝えたくて あなたを見つめるけど 繋がれた右手がまっすぐな想いを 不器用に伝えてる

ありがとう / いきものがかり

▲二人の幸福感を丁寧に伝える。話は逸れるが「ありがとう」という身近な言葉にソラシドレ(調を変えるとドレミファソだろうか)という音階をつけているのが、一周まわってテクニカルというか、洗練ゆえのシンプルさという感じで凄い。


この長い長い下り坂を 君を自転車の後ろに乗せて ブレーキいっぱい握りしめて ゆっくりゆっくり下ってく

夏色 / ゆず

▲長い一文、案外アップテンポな曲にも合う。「長い長い」と「ゆっくりゆっくり」の反復法も効果的だ。


さて。

ボカロオタクの私としては、平成ボカロ名曲の歌詞からも長い一文を抜き出さないわけにはいかない。

ただ平成J-POP名曲よりは見つけにくかった。様々な才能ひしめく動画サイトでは、やはり短いキラーフレーズで即座にリスナーの心をつかむ曲が注目されやすかったのか。


巡り会いも結局運命で 全ては筋書き通りだって 都合良く考えられたら 寂しくはないのかな

Calc. / ジミーサムP

▲ボカロでも失恋ソングだと長い一文が見つかりやすかった。短文では掬いきれない情念を感じる。


ドーナツの穴みたいにさ 穴を穴だけ切り取れないように あなたが本当にあること 決して証明できはしないんだな

ドーナツホール / ハチ

▲ハチ(米津玄師)は解釈しづらい歌詞を書くことも多いが、この曲にはクリアに(やや説明的なほどに)理屈が通っている。


ねえ君は今さら僕の息を吸って「大好き」だなんて言ってみせるけど それならもういっそ ボンベのように一生 僕が吐く言葉吸って息絶えて

二息歩行 / DECO*27

▲彼が令和にヒットさせた「ヴァンパイア」が短文で畳み掛けてくるのとは対照的だ。2008年から今まで活躍するボカロPの、引き出しの多さを感じる。


お読みくださり、ありがとうございました。

「最近のヒット曲でも長い一文あるぞ」といった情報提供も随時お待ちしております。