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「第25回 手塚治虫文化賞」の結果を見て思ったこと。

「第25回 手塚治虫文化賞」の受賞作が決まった。

今日、4/28(水)の朝日新聞朝刊によると、「鬼滅の刃」、「約束のネバーランド」、「ランド」の競り合いになったとあったが、ジャンルは違えど、長年、短歌の新人賞に応募してきた私にとって、興味深く思えたことがあったので、noteに書いてみたいと思う。

選考対象は、昨年刊行・発表された作品で、最も優れた作品に贈るマンガ大賞は、社外選考委員が持ち点15点(1作につき最高5点)で投票した一次選考の上位作品9作と、専門家や書店員の推薦1位の作品を合わせ、ウェブ会議方式の最終選考会で議論したという。

1次選考結果は、紙面には、5位まで掲載されており、1位は、「鬼滅の刃」と「約束のネバーランド」。マンガ大賞に輝いた「ランド」は、5位。

議論の過程で、「ランド」が支持を集めたと書いてあったが、「鬼滅」は、社会現象を生み出した功績を理由として朝日新聞社が特別賞に決めたという。

昨年に続き、「鬼滅」は、1次選考と推薦で1位だったというので、妥当な結果なのかも知れないが、「鬼滅」は良くも悪くも話題性に富んでいただけに、落としどころが必要だったのかな?という気がしてしまった。率直に書いてしまうと、私には、何故、そこまで、朝日新聞が、「鬼滅」にこだわるのか?分からなかった。アニメ「遊郭編」の放送も控えているとはいえ……。

私は「鬼滅」のファンではないし、「約束のネバーランド」や、「ランド」のファンでもない。どれも有名な作品なので、話の筋は知っているし、アニメ化されたものは見たことがある。ただ、どれも私向きではなかったので、原作の読破はしていない。

ちなみに、「鬼滅」の隣には、「※関係者推薦1位」とあった。説明が全くないので、何のことやらさっぱり分からず、誤解を招くと思った。専門家や書店員の推薦の事だと思うけど……。

ちなみに、社外選考委員の名前は明記されているが、社内の方は書かれていない。私は、こちらも気になった。

記事の下が、何故か、「鬼滅の刃 塗り絵帳」の広告だったのも。

補足しておくと、「鬼滅」は、昨年の「第24回 手塚治虫文化賞」でも、一次選考結果では1位(※関係者推薦1位)。里中満智子選考委員と秋本治選考委員に絶賛されていたが、「完結まで見極めたいとの声が出た」ため、「ニュクスの角灯(ランタン)」が受賞に決まった。ちなみに、「ニュクスの角灯」は、一次選考結果4位までには入らなかったらしく、一次選考の上位8位までの何位に入っていたか?は分からなかった。(紙面には、一次選考4位までしか書かれていなかったため。)

ちなみに、昨年の特別賞は、長谷川町子。こちらも、朝日新聞社が決めた。

人が人を選ぶことだから仕方がないのかも知れないけど、やはり、選考結果って、よく分からないところがあるよな……。私は「鬼滅」推しではないけど、結果を見る限り、一次選考結果は何だったんだ……って思うし……。一次選考結果には、専門家と書店員の推薦が含まれているので、全く売り上げなどとは関係ないとは言い切れないと思ってしまうし……。やはり、よく分からない世界。

この記事を書くに辺り、「鬼滅の刃かペリリューか 悩んだ里中満智子さん(2021年4月28日 12時30分 朝日新聞デジタル)」という記事も読んだ。

里中選考委員の選評には、

 今年こそ「鬼滅の刃」をマンガ大賞に! と思いつづけていた。(中略)「鬼滅の刃」は子供にもわかる表現で敵味方それぞれの立場を描いていて、手塚作品の世界と通じている。(中略)
 最終選考会では「ランド」を強く推す委員が多かった。私自身はかねて山下和美作品は「見逃してはならぬモノ」と捉えていたので異存はない。

とあった。

私も、少年マンガが大人にも広く受け入れられ、時として、少年中心のものではなくなってしまうこともある中、子どもに受けたマンガは貴重だと思うが、ネットやTwitterで、「鬼滅」のラストが賛否両論だったのを見ていただけに、正直、ここまで、里中選考委員が「鬼滅」を推したい理由は分からなかった。(里中選考委員のいう、子供にもわかる表現で敵味方それぞれの立場を描いていて、手塚作品の世界と通じている漫画は、「鬼滅」の他にもあった/あると思うし。)

大変申し訳ないが、何で、そこまで、「鬼滅」にこだわるの?というのが、私の正直な感想だ。

「鬼滅」がリスペクトしたと言われている漫画、「ジョジョ」などにも光が当たって、たくさん読まれたというのなら、私も、「鬼滅」は特別賞にふさわしいと思うのだが……。社会現象を生み出した功績を理由として朝日新聞社が特別賞に決めたと言われてもね……。

ちなみに、中日新聞によると、「特別賞」は、マンガ文化の発展に寄与した個人・団体に贈られるとあったが、キメラ漫画とも言われる「鬼滅」に、何かそのようなことがあったのか?は、アンチじゃなくても疑問。それこそ、これからだろう?って気がする。


鬼滅の刃/五峠呼世晴(集英社) 全23巻

約束のネバーランド/原作・白井カイウ、作画・出水ぽすか(集英社)  全20巻

ランド/山下和美(講談社) 全11巻


ニュクスの角灯(ランタン)/高浜寛(リイド社) 全6巻


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