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気候変動も生物多様性も〜持続可能な世界を目指そう

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双子の条約と言われる、「気候変動枠組条約」と「生物多様性条約」だけど、後者はどうしても分かりにくいですね。でも、持続可能な世界の実現には、避けては通れません。どちらも一緒に学んで… もっと読む
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#クレジット

世界銀行のCPレポート 斜め読み(1)

世界銀行(世銀)は、こちらのダッシュボードを通じて、世界のカーボン・プライシング(CP)の情報を発信しています。 説明をしておくと、CPには次の3つの種類に区分されます。 排出量取引(Emisssion Trading Scheme:ETS)のみであれば、ICAP(International Carbon Action Partnership)も重要な情報源です。 導入されている国・地域がマップやリストで示されますし、排出権価格(Allowance Price)のチャー

米国から目が離せない?!

4月9日、SBTiによるスコープ3削減に当たってクレジットの利用を認める旨の声明を発端として、サステナ界隈がざわつき始めたのは、皆さんご承知の通りでしょう。 実際問い合わせも多く、取り急ぎ、個人的な見解をご案内しました。 もしご覧になっておられないようでしたら、是非。 これに至る伏線は複数あり、さほど驚きではありませんでしたが、やはり、足元で起きている現象を俯瞰して、今何が起きているかを把握する「Insight」と、これらを解釈して将来何が起こりそうかを予測する「Fore

クレジットがお店に並び始めた?!

クレジットについては繰り返しご案内しているところですが、そもそも論として、次の欠点がありました。 あくまでも私の見解なのですが、こんな「商品」誰が買うのでしょうか? もちろん、J-クレジットを扱うプロバイダーやコンサルも複数存在していますし、私も利活用をご案内していましたが、やはり相対での取引となってしまい、「気軽に」購入できるものではなかったというのが現実です。 なので、はっきり言って、これまでは商品性(?)を十分に理解している「プロ」のみぞ扱う「商品」だったと言えま

ブルーカーボンのおさらい(3)

皆さんの関心が高まってきたことを受けて、改めてブルーカーボンについて、簡単なおさらいをしております。 1回目は、ブルーカーボンの定義についてお話ししました。 2回目は、ブルーカーボンを取り巻く情勢について。 3回目の今回は、ブルーカーボンの登録・認証スキームである「Jブルークレジット」についてご案内していきます。 「Jブルークレジット」とは、パリ協定の発効に伴い、いわゆるブルーカーボン生態系のCO2吸収源としての役割その他の沿岸域・海洋における気候変動緩和と気候変動適

2023年のVCMを振り返ってみよう(3)

cCarbonのレビューを拝借して、2023年のVCMについて振り返って見るシリーズも3回目。2回目はクレジットの多様性について説明しました。 この4年を見るだけでも、方法論やプレーヤー、使用しているクレジットスキームなど、多様になっていることが、分かってきました。 今回は、発行量の時期的な移り変わりを、一緒に見ていきましょう。 1回目に、償却量(retirement)について見たときに、季節性を考慮しても、12月が突出して多かったことをお伝えしました。他方、発行量(is

2023年のVCMを振り返ってみよう(2)

cCarbonが、2023年のVCMについて分かりやすくレビューをしてくれていました。ですので、それを参照しつつ、個人的なコメントも織り交ぜて、お届けしております。 前回は、カーボン・クレジットの償却量(二度と使えなくする処理で、利用量と考えてもらってよいです)について説明しました。今回は、その種類と発行量について見ていきたいと思います。 方法論毎の発行量がこちら。 2020年から2023年までの4年間という短い期間ですが、再エネ導入からREDD+、そして高効率機器への

ISO14068−1を深掘りしてみた(2)

COP28が始まってすぐの11月30日、GHG算定担当者お待ちかねの、「ISO14068−1 Carbon neutrality」がリリースされました。 それを受けて、第一報をお届け。 引き続き、内容について読み込んでいます。 1回目では、「3.1 Terms related to carbon neutrality」の「3.1.1 carbon neutral」に注目、詳しく読んでいたところ、3.1.1 本文のみだと、吸収除去系(removal)だけでなく削減回避系(

頼もしい、佐賀の仲間~SAGA COLLECTIVE

佐賀を拠点に環境のコンサルティング、とりわけクレジットの利活用を通じた地域活性化に注力してきました。2009年の国内クレジット立ち上げ当初から関わり、県のクレジット創生も支援しましたし、J-VERの販売協力や、県内企業の脱炭素のお手伝いも行ってきました。 名刺も「多良岳・有明海の海」間伐促進プロジェクトのクレジットでオフセットするなど地域密着で活動していたつもりですが、灯台もと暗し。 佐賀に根ざした事業活動を行っている、11の事業者が「SAGA COLLECTIVE」とい

価値基準は、金銭価値から環境価値へ

クレジットが創成されるためには、計画書(PDD:Project Design Document)を作成して実施するだけではダメで、実施した後に検証を受けなければなりません。計画書が登録される際には第三者検証機関による「有効化審査」を受けますが、必ずしも、実施後にクレジットが発行されるとは限りません。 ただ、これでは、実施した後、実績確認を行って検証を受け、めでたくクレジットが発行されてからしか販売できません。プロジェクト実施中は収入が見込めないため、特に初回の場合はこの期間

23年6月 待望のCoP公開へ

「高品質なクレジット」とは何ぞや? ボランタリーかコンプライアンスに関わらず、カーボン・クレジット周りでは、その存続に関わる重大なイシューとして議論されているところ。 その品質、創り方については、ICVCMによる「Core Carbon Principles:CCP」、使い方、開示方法については、VCMIによる「Claims Code of Practice:CoP」が共通ルールになるべく、鋭意開発中でした。 そして、ICVCMは昨年「Core Carbon Princ

COP27前のクレジット動向を確認(1)

昨日から始まった、COP27。 仕事しながら、公式サイトでプレナリーのライブ映像をラジオ感覚で聴いていましたが、特筆すべき点は何も無し。(当たり前ですが) ただ、ベラルーシからの代表団が呼ばれたのに「ダレモイナイ」 「なかなかやるなぁ」 その前にウクライナが「ロシアが、全面的な戦争を仕掛けているため、排出量などの算定が難しくなっている。ウクライナ侵攻が気候変動対策での国際協力を貶めている。」と批判したので、さて、どう反論してくるのか、と期待したのですが。 閑話休題、実

ブルーカーボンのご案内

以前、ブルーカーボンを推進している旨、お伝えしたことがありました。 「ブルーカーボンとは何ぞや?」については、こちらを参照頂くのが一番良いです。国内の第一人者、港湾研究所の桑江先生が、こちらで説明されています。 そのなかで、このようにご自身の経験を交えて紹介されています。 具体的にはどんなことをやっているのか、どのような思いで実施されているのかは、こちらのブログが分かりやすく、共感できます。 もちろん、桑江先生も寄稿されています。 さて、ここで改めてご案内するのは、