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ISO14068−1を深掘りしてみた(2)
COP28が始まってすぐの11月30日、GHG算定担当者お待ちかねの、「ISO14068−1 Carbon neutrality」がリリースされました。
それを受けて、第一報をお届け。
引き続き、内容について読み込んでいます。
1回目では、「3.1 Terms related to carbon neutrality」の「3.1.1 carbon neutral」に注目、詳しく読んでいたところ、3.1.1 本文のみだと、吸収除去系(removal)だけでなく削減回避系(avoidance)のクレジットでもオフセットに使えるように思われ、クエスチョンでした。
というのも、Note 1で、オフセットに使用されるカーボン・クレジットは一定の基準(第11章)を満たすこと、及び、排出削減若しくは除去強化が行われた後にのみオフセットできる、とされていたからです。
2回目の今回は、この点を突っ込んでみたいと思います。
まずは、カーボン・クレジットの「一定の基準」が記載されている第11章です。
タイトルは「11 Offsetting the carbon footprint」
「11.1 General」には一般的なことが書いてあります。
1.再利用防止(償却すること)
2.オフセットの前に排出削減又は除去強化を行うこと
3.ダブルカウントの防止
4.残余排出量のオフセットは除去強化クレジットのみ
5.クレジットの見込み購入奨励(主張・宣言は償却後)
4.がその回答になっています。
ですが「残余排出量(residual emissions)」という言葉に拘って下さい。
「Introduction 0.3 Carbon neutrality and net zero GHG emissions」には、「ネットゼロは、一般的に、排出量が削減され、残余排出量のみが残り、オフセットすべき排出量が除去クレジットのみに制限される状態である」となっています。
![](https://assets.st-note.com/img/1703670005540-CQIuVvBlnk.png?width=800)
そして、「カーボンニュートラリティは排出削減・除去強化活動を実施することにより、排出量が削減されている継続的な改善の過程と考える」とあります。
![](https://assets.st-note.com/img/1703670071846-8itY7DYtu5.png?width=800)
これを併せて考えると、継続的な削減活動を行いつつも、2050年に至るまでに削減しきれず残っている「排出量」と、究極的にまで削減を行った結果、それでも2050年段階で残っている「排出量」は区別されており、後者を「残余排出量(residual emissions)」と呼ぶのだと判断できます。
したがって、4.の意味するところは、ネットゼロ達成のためには「除去強化クレジット」、つまり吸収除去系(removal)クレジットしか使えないということなのです。
なお、前者の排出量のことは「unabated emissions」と呼ぶそうです。
「3.1 Terms related to carbon neutrality」の中で定義されているのですが、その説明では両者の区別が曖昧で、判断に迷いそうでしたので、序文を参照しました。
ところで、紹介したこの序文ですが、よく見ると、もう1点重要なことがさらっと書いてあります。
ネットゼロは、一般的に地域や組織に適用されるが、製品には適用されない。
カーボンニュートラリティは、一般的に組織や製品に使用される。
考えて見ると分かると思いますが、ナルホドと思ってしまいました。
さて、ネットゼロには、吸収除去系しか使用できないことが分かりました。
で、カーボンニュートラリティ達成には、実は削減回避系でもよいのです。
「???」となる方もいらっしゃるかと思いますが、次回をお楽しみに〜
![](https://assets.st-note.com/img/1703671845230-ORLk4kDSQl.png?width=800)
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